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Mybestpro Interview

ジャズシンガーとして音楽の魅力を伝え、歌を志す若い世代をサポート

音楽の楽しさを伝え歌い手の個性を引き出すボーカル指導のプロ

藤本直子

藤本直子 ふじもとなおこ

#chapter1

お酒とおしゃべり、生演奏を楽しめるジャズクラブ「afro blue」を展開

 熊本市の中心部。熊本城のお膝元に位置する中央区新市街の銀杏中通りの一角で、ジャズクラブ「afro blue(アフロ・ブルー)」を営む藤本直子さん。
 グランドピアノを配したステージの正面にはライブシートを設け、バーカウンターや革張りのソファをゆったりとレイアウトした客席も用意。開放感あふれる空間で、日替わりでライブを開催しています。

 「カバー曲やオリジナル曲など幅広いナンバーを披露しています。大ホールで鑑賞するのも、イヤホンで気軽に聴くのもいいけれど、当店では気の合う仲間とリラックスしてお酒やおしゃべりに興じながら、ミュージシャンの巧みなプレーを間近でご堪能いただけます」と藤本さん。

 ジャズシンガーとしても活躍し、40年余りの実績をもとに、後進育成のためボーカルレッスンにも取り組んでいます。

 「ジャズはイントロの長さやアレンジなど全て自由。ミュージシャン同士が息を合わせると、時に魔法のように一音一音がキラキラ輝くような瞬間があります。即興で作り上げるメロディーと一体になれるよう、発声や歌唱の技術、歌詞の意味まで、ボーカルについて基礎からお伝えします」

 一定のレベルに達した人は、同店のステージに立つことも可能。素晴らしいミュージシャンと一緒にセッションすることで、若い歌い手がぐっと成長するのを何度も見てきたと言います。
 「その方独自の“歌の世界”が生まれる場面に立ち合えるのがうれしいですね。特に20~30代の若い世代に、音符をなぞるだけではない“自分の歌”を歌う喜びを知っていただけたらと思います」

#chapter2

ボーカルレッスンでは、歌唱技術からステージパフォーマンスまで丁寧に指導

 シンガーとして「生涯、常に勉強」をモットーに掲げる藤本さん。日々多彩な楽曲に触れ、感性やスキルを磨いています。

 「往年のジャズの名曲を歌う時は先人とつながっている気がしますし、20~30代のスタッフたちとカラオケに行き、新しい曲と出会うのも新鮮で好奇心を刺激されます。ジャンルも時間も世代も越えて広く愛される作品に親しんでほしいですね」

 発声練習からスタートするボーカルレッスンは「分かりやすく、楽しく」を心掛け、生徒が選んだ数曲をマンツーマンで指導。藤本さんが候補曲をいくつか歌い、その中から選ぶこともあります。
 「体が楽器となりますから、喉だけでなく全身を使って歌うことが大切です。実際に聞くと、体から出る声とマイクに頼って歌う声は全然違います。声を響かせる感覚をつかめるように、姿勢や呼吸法からレクチャーします」

 歌唱については、藤本さんの模範歌唱をなぞり具体的なテクニックを身につけます。
 「日本の歌にはないリズムスタイルのジャズが難しく感じるのは当たり前。最初はリズムの捉え方や息遣いなどをまねることで、理解が深まります」

 ミュージシャンの演奏と合わせた練習ではパフォーマンスも学びます。
 「ジャズでは、ボーカルが伴奏者に声や手で合図することで演奏が始まります。これを『カウントを出す』と言い、カウントの出し方で曲のテンポが決まります。自信を持って本番を迎えられるよう、ステージに立つための所作からお教えします」

#chapter3

常連客やミュージシャンとの絆を深め、「afro blue」の財産を次世代へ

 幼少の頃から歌が大好きだった藤本さん。ラジオから流れるジャズ歌手、サラ・ヴォーンの歌声に衝撃を受け、ジャズを歌い始めたのは17歳の頃です。高校卒業後は上京して音楽専門学校に進みます。

 「アメリカに行くと言ったら両親に猛反対されて、東京で学ぶことにしました。在学中、19歳で受けた新人Jazz Vocalオーディションで優勝し、六本木、銀座、新宿などのクラブやライブハウスで経験を積みました」

 プライベートでは20代半ばで結婚、出産。地元・熊本のジャズシーンを盛り上げたいとの思いが芽生え、家族とともに「afro blue」をオープンしました。
 「店名はアフリカ民謡をベースとしたジャズの名曲から。出演するのは若手もベテランも、確かな技術と表現力を兼ね備えた個性派ばかりです」

 演奏の質にこだわる同店は「プロミュージシャンによる生演奏とお酒が楽しめる店」として人気を博し、熊本県内外にファンを増やしてきました。

 「開店以来30年以上通ってくださるお客さまも多くいらっしゃいますし、ミュージシャンたちとも絆を深めてきました。ハード面では音響設備も整え、私どもが築いてきた“財産”を、次の世代のために活用していきたいと考えています。ジャズの世界で『スタンダード』と呼ばれる定番曲が繰り返し演奏され、歌い継がれているように、音楽の文化をつないでいきたいですね」

 歌を志す若い世代を導き、ジャズの魅力を伝える藤本さん。afro blueには今夜も、音楽と笑顔が満ちています。

(取材年月:2024年7月)

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藤本直子

音楽の楽しさを伝え歌い手の個性を引き出すボーカル指導のプロ

藤本直子プロ

ジャズシンガー/ジャズボーカル講師

アフロ・ブルー

プロミュージシャンとしての豊富な経験をもとに、ジャズをベースとした歌唱やパフォーマンスをマンツーマンで楽しく親切に指導。やる気次第でアフロ・ブルーのステージやイベント等へ出演するチャンスもあります。

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