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Mybestpro Interview

「伝わる映像」を通して、企業とユーザーをつなぐ

映像制作で企業の思いを届ける映像ディレクター

和泉陽光

和泉陽光 いずみようこう

#chapter1

ビジュアルのかっこよさだけに頼らず、伝えるべき本質を映像に込めて

 「映像を作る上で大事にしているのは、ビジュアルのかっこよさだけではなく、伝えたいことがユーザーにきちんと届くことです」と話すのは、「よこはまメディアアーカイブセンター」代表理事で、映像プロデューサー・ディレクターの和泉陽光さん。WEBCMや企業VP(ビデオパッケージ)など、幅広い企業映像を手掛けています。

 中でも豊富な実績を誇るのが、プロダクトの機能や使い方を伝える製品紹介の映像。電子機器や化粧品業界を中心に、全国から依頼を受けています。

 制作にあたって、和泉さんが何より重視するのは、「クライアントが何を求めているか」を理解することだそう。初回のヒアリングや企画段階のディスカッションなど、丁寧にコミュニケーションを重ねます。
 「企業には、動画を作る目的やユーザーに伝えたいメッセージがあります。だからこそ、最初にゴールを共有し、同じ方向を向いた上で、お互いに納得できるものをつくりたい。制作が始まる前の、『こうしよう、ああしよう』と意見を交わす段階が、前向きな未来に向かっていく楽しさがありますね」と語ります。

 和泉さんは、独立以前から、映画やドラマ、テレビCM、出版社の動画コンテンツと、さまざまな制作現場を経験してきました。
 「映画制作ではストーリーを伝える表現力が求められますし、動画コンテンツでは画像やイラスト、テキストなどの既存の素材を生かす編集力が培われました。どのジャンルであっても、目的に応じた効果的な映像をつくるためのアイデアには自信があります」と力を込めます。

#chapter2

実績多数のプロダクト紹介映像で、大手メーカーから高い評価

 長年、大手電機メーカーの製品紹介映像を担当し、今も指名で依頼が舞い込むという和泉さん。印象に残っている案件の一つが、イヤホンのWEBCMです。発売当時は画期的だった、指で触って操作できる「タップ操作」の機能を伝えることがテーマでした。
 「テレビCMのように尺の制約はありませんが、クライアントからは『短く、端的に具体的な使い方を紹介したい』というリクエストがありました。実写に、アニメーションを交えて機能を説明することで、CMのようなインパクトを与えつつ、操作方法もわかりやすく見せることができ、そのバランスを評価いただきました」

 また、カメラのLog撮影機能の紹介映像も、クライアントから特に好評だったそうです。
 「Log撮影後の画像加工処理(カラーグレーディング)によって、映像の印象がどのように変わるかを伝える映像を制作しました。モデルを起用してストーリーを展開させながら、画像処理のビフォーアフターを見せる構成を提案したところ、気に入っていただき、機能紹介の文章作成まで頼まれたのには驚きました」と笑います。

 対応ジャンルは、製品紹介のみならず、リクルート用の会社案内や社史紹介、展示会用など、多岐にわたります。和泉さんは、制作目的や被写体が異なっても、基本的な向き合い方は変わらないと強調します。
 「目的は違っても、重要なのは伝えるべき本質が何かを見極めることです。そこが明確になれば、コンセプトや表現方法はおのずと決まってきます」

#chapter3

映画から出版社の動画コンテンツまで、表現の幅の広さが強み

学生時代から映画に魅了され、大学院で映画を学びながら、自主映画制作に没頭していた和泉さん。「芸術的な側面がある映画に惹かれ、自分も後世に残る作品をつくりたいという思いが強かったですね」と振り返ります。

 卒業後、映像制作会社に就職し、大学の部活動紹介のプロモーション動画を中心に担当。大会の記録撮影やインタビュー撮影などを通して、現場経験を積みました。その後、大手出版社グループで、新規事業として動画制作部門の立ち上げに関わったことが大きな転機になったと話します。
 「書籍や雑誌などのプロモーション動画を制作する部門で、プロデューサー・ディレクターを務めました。出版物の写真やイラスト、テキストといった素材を生かして映像化する業務を通して、表現の幅が広がったと思います」

 2017年には、友人と共に、「よこはまメディアアーカイブセンター」を立ち上げました。法人名には、職人の伝統技術や大学教授の独自の理論など〝形がなく簡単に受け継ぎにくいもの〟を、映像で記録して後世に残したいという創設当初の思いが込められています。現在は、企業映像が主軸ですが、その理念は変わらず息づいています。

 今やスマホの普及により、誰もが簡単に動画を撮れる時代ですが、「どう撮り、どう表現するか」で、映像の質は大きく変わります。
 「どんな映像にしたいかなど、具体的なイメージはなくても大丈夫です。伝えたい思いを受け止め、キャリアの中で積み上げてきた技術や経験をもとに、〝伝わる〟映像に仕上げます」

(取材年月:2025年8月)

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専門家プロフィール

和泉陽光

映像制作で企業の思いを届ける映像ディレクター

和泉陽光プロ

映像ディレクター

一般社団法人よこはまメディアアーカイブセンター

製品紹介のWEBCMをはじめ、企業映像の実績多数。映画やテレビCM、出版社の動画コンテンツなどで培った多彩な表現力を発揮します。企業の思いを汲み取り、「かっこいいだけでない、わかりやすさ」を重視。

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