家族も入居者も幸せになる老人ホームを紹介するコーディネーター小山千夏

家族も入居者も幸せになる老人ホームを紹介するコーディネーター

小山千夏

家族の気持ちに寄り添い、希望にかなった施設選びから入居までサポート

　「介護の問題は“ある日突然”やってきます。十分な情報がなく、お困りのご家族さまの力になります」と呼び掛けるのは、神奈川県茅ヶ崎市に拠点を置く「リプランニング協会」の代表理事・小山千夏さん。老人ホーム紹介コーディネーターとして、入居先の相談に迅速かつ丁寧に対応しています。

　「退院期限が決まっている方の場合、急を要し、比較検討する間もなく施設を決めなければなりません。料金・エリア・介護度などの『条件』だけで選ぶと、入居後にミスマッチが生じることがあります。限られた時間の中にあっても、ご本人やご家族の気持ちに寄り添い、希望にかなったご提案をいたします」

　小山さんは日ごろからホームに足を運び、理念や施設サービス、管理者の人柄など、各事業所の特徴を把握しています。

　「ご本人の心身の状態、医療行為の有無、ご家族の意向などを確認し、時期や予算といった要件も踏まえて施設をいくつかご案内します。見学にも同行し、入居まで責任を持ってサポートをさせていただきます」

　また、施設へ預けることに罪悪感を抱いている家族が少なくないため、機能面だけでなく「自宅に似たアットホームな空間を」など環境面の要望も細やかにくみ取ります。

　「寂しい思いをするのではと後ろめたさを感じている方もいらっしゃいます。不安や迷いを受け止め、そっと背中を押してあげることが私の役目だと心得ています」

　木々に囲まれ春には満開の桜の下で車椅子でお茶会を楽しんだり、プランターで趣味の土いじりをしたり、「笑顔で過ごせる場所」での暮らしをサポートしています。

エンディングを前向きに語る社会を作るため、講演会やセミナーを開催

　「コーディネーターの仕事は天職です」と小山さん。かつて家族を介護する中で課題を見いだしたことが現職につながっていると言います。

　「女性が面倒をみるのが当たり前とされていた時代で、母と共に9年間、祖母を自宅で介護しました。最期まで見守れたことに喜びを感じる一方で、長きにわたり家族の自己犠牲を伴う介護のあり方に疑問を持ちました」

　在宅介護には限界があることを身をもって知った小山さんは、「家族以外を頼る」という選択肢を提示することを大切にしています。

　「ご本人が意思表示できない場合、ご家族が今後について判断しなければなりません。『自分たちがみるべきではないか』という葛藤を手放し、心理的負担を和らげて『がんばらない』ことを前向きに捉えていただけるよう伴走します」

　対話を通じて胸の内にある答えを引き出すコーチングを学び、家族に対して「ご本人が何を望んでいると思いますか」「皆さんはどのような生活を送りたいですか」と問いかけ、心の声を紡ぎ出しています。

　「当方はサービス内容などに不満が生じないように、カウンセリングで詳細にニーズを聞き取ります。2020年に創業して以来、約1900組のご家族とご縁をいただきましたが、ミスマッチやクレームはありません」

　納得できるエンディングを迎えてほしいと考える小山さん。「縁起でもない」と死をタブー視せず、どうありたいかをポジティブに語れる社会を作るため、自治体や企業で講演会やセミナーも開催予定です。

女性がなりたい自分をかなえ、自分の人生を生きるためのセッションも用意

　妻として家庭を切り盛りしたり、母として子どもを育てたり、ライフステージに応じた役割に縛られる女性に向けて、小山さんはありのままに輝くためのセッションも行っています。

　「やりたいことがあっても我慢して、『私がやらなくてはいけない』という責任感で、誰かのために生きる息苦しさを感じている女性は多いのではないでしょうか。他の誰でもなく、『自分のために自分の人生を生きる』お手伝いをいたします」

　社名の「リプランニング」は、英語で「再び」を意味する「Re」に由来しています。「本来の自分とつながり、自分らしい再出発をしてほしい」という願いを込めています。

　「子育てが落ち着き、何か始めたいけれど見つからないといった方にはスタンダードコースで、なりたい自分を明確に描き、行動に移していくためのマインドを整えます。得意なことや培った経験知でビジネスをしたいたいという方には、起業のノウハウを学ぶコースも用意しています」

　小山さんは老人ホーム紹介コーディネーターの養成スクールも展開。経済的に自立したい、資格を生かして社会に貢献したいという人を応援しています。

　「私自身、やりたいことが分からず、目の前に起こることを言い訳にして、自分の気持ちにブレーキをかけてきました。同じように、『私にはできない』と一歩踏み出せずにいる女性たちに力を与えたいと思っています。私がロールモデルとなり、それぞれが望む人生を生きられるように後押ししていきたいですね」

（取材年月：2024年11月）

老人ホーム紹介コーディネーターとして「家族以外を頼り、がんばらない介護」を提案

家族の気持ちに寄り添い、希望にかなった施設選びから入居までサポート

エンディングを前向きに語る社会を作るため、講演会やセミナーを開催

女性がなりたい自分をかなえ、自分の人生を生きるためのセッションも用意

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