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乳がんサバイバーとして、がん患者の心に寄り添いながら、ウィッグ選びをアドバイス

がん患者の心に寄り添うウィッグアドバイザー

武田さわ子

がん患者の心に寄り添うウィッグアドバイザー 武田さわ子さん
武田さわ子さん 相談風景

#chapter1

『Brilliant Breeze』のウィッグのおかげで抗がん剤治療を乗り切った

 戸塚駅からバスで5分。閑静な住宅街に、医療向けウィッグ『Brilliant Breeze』のサロンがあります。

 株式会社明和企画のウィッグアドバイザー武田さわ子さんは、がんサバイバー。2009年に乳がんの宣告を受け、右乳房を摘出しました。抗がん剤治療中は、脱毛を経験。落ち込みがちな時期を支えてくれたのが、『Brilliant Breeze』と同じ会社のウィッグだったといいます。

「がんを乗り越えられたのは、ウィッグをかぶることで外見を気にせず外出ができたことが大きかったです。友人とランチへ出かけたり、旅行にも行きました。人と会えば楽しい話題に笑顔も出ますし、治療に対しても前向きになれました」と振り返ります。

 乳がん罹患率が高いのは、40~50代。仕事や子育てなどライフサイクルの中でも多忙な年代です。最近では、抗がん剤治療を外来で受けながら、日常生活を送れるようになり、脱毛等の副作用をどう乗り切るかが課題になっています。女性にとって、脱毛などによるボディイメージの変化を受け入れるのはつらいもの。それだけに、外見を整えるケア――アピアランスケアの重要性が高まっています。
 そこで、武田さんは、ウィッグが心の支えの一つだったという体験から、「ウィッグを通したアピアランスケアで、がん患者の心に寄り添いながら、QOL向上のサポートをしたい」と、ストレスフリーな医療向けウィッグ『Brilliant Breeze』の販売を手掛けるため、起業しました。
 
「脱毛が始まっても必ずしもウィッグは必要ではないかもしれません。しかし、仕事や子どものイベント、冠婚葬祭、免許の書き換えなど帽子やスカーフではすまされない場面もあるでしょう。ウィッグによって、自分らしく過ごせる効果も高いです。いざというときにあわてないためにも、ウィッグを早目に用意しておくといいと思います」

 『Brilliant Breeze』は、ヘアメイクアップアーティストの鍛紀子氏がプロデュースする明和企画のオリジナルブランドです。「人工毛を使っていますが、見た目がナチュラルでおしゃれ。私自身も、いくつか医療用ウィッグを見て回りましたが、鍛先生のウィッグは本当にいいと思えました」

#chapter2

闘病中の方にもやさしい工夫がいっぱいのウィッグ

 『Brilliant Breeze』は、闘病中の方にやさしい工夫を凝らしています。
① 地肌に触れるネット部分は国産の抗アレルギー素材を使用。伸縮性があり、軽くて、通気性もいいので、かぶったときのストレスが少ない。
② 見た目が自然で、上質な人工毛を使用。耐熱、静電気防止、形状記憶等の加工を施し、長期間スタイルが保てます。
③ 自宅で愛用のシャンプー、リンスで手洗いができ、お手入れがラク。
④ 一つ一つが完成品のため、スタイル調整が不要で、当日に持ち帰れます。
⑤ 自分でもサイズ調整ができます。

 武田さんは経験者として、「闘病中は自分で手入れやサイズ調整ができることは、とても大切」と言います。「脱毛が進むと頭の周りが小さくなってきますが、治療中は体調が予測できず、サイズ調整のために購入店にウィッグを持って行くのも大変です。常に清潔でジャストフィットのウィッグがあることで毎日を安心して過ごせます」

武田さわ子さん 顧客にウィッグを装着する風景

#chapter3

落ち着いたサロンで試着しながら、なごやかな時間を過ごせる

 閑静な住宅街にあるサロンは、落ち着いた雰囲気です。ウィッグはショートスタイルを中心に、常時20スタイルほどを用意。人目を気にせずに試着ができます。価格帯は15~20万円。「脱毛期間の1年半~2年間の美容院代に相当する金額です」と武田さん。

「治療や体調にさまざまな不安がある中で、納得できるウィッグに出会うのは難しいもの。訪問したウィッグ店が勧めるままに購入される方も多いようです。当サロンでは、試着だけでもOK。『Brilliant Breeze』を通して、素材や縫製などウィッグがどんなものなのかを知っておくと、いざという時に安心です。がんサバイバーとして、サロンに来てくださる方には、不安を分かち合いながら、ウィッグ以外でもアドバイスができることがあると思います。気兼ねなくおしゃべりを楽しんでいってください」と武田さんは言います。

 来店者からは、「他社のサロンも訪問してみたものの、スタッフの対応にがん患者を思う優しさが感じられませんでした。ここでは、武田さんががん経験者で安心できました」という声が届いています。「ご夫婦での来店でしたが、ウィッグを試着された奥様がパッと明るい笑顔になり、ご主人も嬉しそうだったのが印象的だった」そうです。
 アピアランスケアは本人だけでなく、見守る人の心のケアにもなるのかもしれません。

 明るく親しみやすい人柄の武田さん。ウィッグを試しながら、武田さんとおしゃべりができる時間は心なごむひととときになるはずです。

(取材年月:2018年12月)

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専門家プロフィール

武田さわ子

がん患者の心に寄り添うウィッグアドバイザー

武田さわ子プロ

ウィッグアドバイザー

株式会社明和企画

乳がんサバイバーとして、自らの体験を生かして、「抗がん剤治療等を受けるがん患者の役に立ちたい」と、アピアランスケアとして重要視されるウィッグの情報提供と販売を行う。

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