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CM、ミュージックビデオ、映画など、映像作品の世界観を表現する光とライティング

ハイクオリティーな映像制作と照明の専門家

慶野幸司

慶野幸司 よしのこうじ

#chapter1

ハリウッド映画や話題作に関わり、重要な役割を果たす照明に興味を持ったことから照明技師を目指す

 「ライティングによって世界観を台無しにすることもあれば、引き立てることもあり、ライティングが果たす役割は非常に重要だと思います」と話すのは、「LightNix(ライトニックス)」の代表・慶野幸司さん。数々のCM、ミュージックビデオ、ドラマを担当してきた照明技師(Lighting Director)です。

 ライティングの世界に入った当初から映画を中心にCM、MVなど数多くの撮影に携わります。
 「クエンティン・タランティーノ監督の『キル・ビル』、北野武監督の『座頭市』、市川準監督の『竜馬の妻とその夫と愛人』など話題作に関わる機会を得て、照明を究めたいと決意しました」

 「監督が描くコンセプトを基に、ライティングプランを構築していく。その段階ではいわばペン書きの状態で“光色”はまだない状態です。撮影現場でライティングを行いことにより、作品の世界観をより良く表現させるのが私たちの役割だと考えています」

 各種案件に従事する上で心掛けているのは2つあると言います。1つは『コミュニケーション』。
 「撮影時、特に重視しているのはコミュニケーションです。監督やカメラマンとのセッションを通じて光を作り込んでいく形を大切にしています。このシーンではどこにフォーカスしたいのか、商品の魅力を視聴者にどう伝えたいのか、演者をどう表現したいのか。撮影意図を十分理解し、光度や色彩、光質感を踏まえた上でライティングをして表現します」

 もう一つは『発想力』。
 「発想力は大切な要素です。『これはできない』ではなくどうしたらできるのか?こちらに重きをおいています。発想力は日常生活の中で養われていくものだと思うので日頃から光に対するアンテナを張り巡らせています。撮影現場では限られた時間の中で、瞬時に決めなくてはならない場面が多々あり、必死ですね」

#chapter2

技法や数式にとらわれない目指すべき『ライティング』

 多様なメディアコンテンツが台頭し、映像を目にする機会が非常に多い現代。フィルムからデジタルへの移行を経験した撮影現場での変化を、慶野さんは次のように語っています。
 「フィルムルックが好きな方もいればデジタルルックが好きな方もいる。人それぞれ好みの問題で、さまざまな意見があって当然ですよね。どちらともライティングによって画が引き立つようにこだわりを持ってやっています。手法や技法は積み重ねてきたキャリアの中で培われてきていますので、今はいかに新しいことにチャレンジするかに注力を注いでいます。精神的な部分で言うならば『作品に真摯(しんし)に向き合う姿勢』ですかね」

 今後目指しているライティングについては「年齢性別問わず色々な方々とセッションして現場作りができれば」と慶野さん。
 「縁あってこの仕事を始めてから運良く素晴らしい出会いばかりでした。そして幸運なことにこの仕事が今も続いていることに本当に感謝しています。ジャムセッションのような、お互いをリスペクトして認め合い、『その瞬間にしか生まれない光』を求めてこれからも喜怒哀楽を光で表現していきたいと思います」

#chapter3

多彩な表現をかなえるライティングシステムを構築し、映像制作もスタート

 2016年には法人化し、株式会社LightNixを立ち上げました。慶野さんはライティング手法にもこだわり、動的に演出したりするカラー、ムービングライティング、多様な配色のLEDライティングを追求。独自のシステムを構築しました。2024年からは映像制作事業も立ち上げ、ORβIT「PATIENCE」のMVでプロデューサーを務めるなど、業容を広げています。

 「OrβIT 「PATIENCE」MVは、忘れることのできない素晴らしい作品となりました。監督のHiro Kimuraさんをはじめ、携わっていただいた全ての皆さまに感謝いたします。今後も映像制作においては、クライアント、アーティストの思いを直接くみ取れる距離感で心に響く作品を制作していければ嬉しいです」

 照明技師としてはフィルムカメラの時代に培った審美眼で、ハイライトからシャドーまで幅広い階調を使って、立体感や奥行きのある絵作りができること。プロデューサーとしてはクリエイティブな発想、そして経験豊富な技術を備えたスタッフを編成できることが、強みだと言います。

 「登場人物の心情を表し、空間に時間や季節感を与え、一つ一つの現場で結果を出すことにかけてきました。映像に関することで何かお力になれることがありましたら、是非お声掛けください」

(取材年月:2024年10月)

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専門家プロフィール

慶野幸司

ハイクオリティーな映像制作と照明の専門家

慶野幸司プロ

照明技師

株式会社LightNix

ハリウッド映画や話題作、大手企業CMや有名アーティストのMVなどにも携わり培ったスキルで、作品の世界観を完成させる照明をデザイン・施工するプロフェッショナル。映像制作も手掛けています。

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