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Mybestpro Interview

ホームページが当たり前になった今、ユーザーの好奇心をかき立てるため立体的な仮想空間の構築を

仮想空間に3Dの企業や店舗、展示場などを構築する専門家

平井靖

平井靖 ひらいやすし
平井靖 ひらいやすし

#chapter1

バーチャル空間を作る「エアメッセ」で電子博物館や図画コンクールを実現

 インターネット上にメタバースと呼ばれる立体的な仮想空間を構築し、訪れた人が交流、ショッピング、学習などを楽しめる場を提供している「セキュアロジック」の代表・平井靖さん。「エアメッセ」という名前で、バーチャルの展示会や見本市を展開しています。

 「そもそもメタバースや仮想空間とは何なのか。百聞は一見にしかずなので、ぜひ私が手掛けた神奈川県よろずバーチャル商店街、藤沢市の電子博物館・みゆネットふじさわ、日本大学理工学部のバーチャルオープンキャンパスなどをご覧ください。奥行きのある世界を体験できます」

 自社の認知度が高まったのは、リアルな催しが中止されたコロナ禍。現在はホームページに加えて、自らの仮想空間を持つ企業や団体、店舗が増えていると言います。

 「画像やPDFで情報発信したり、ECサイトのリンクを貼ったり、ZoomによるウェビナーやYouTube配信といった双方向のコミュニケーションも可能です。しかも『エアメッセ』はブラウザで動作するためアプリのダウンロードが不要で、パソコンでもスマホでも利用できます。訪問者の行動ログを取ってマーケティングに活用する方もいますね」

 公的機関との取引も多く、海上保安庁の図画コンクールでは巡視船内の撮影データでVR(仮想現実)の展示会場を作り、約160校、1800点に上る子どもたちの作品を掲載したことも。

 「普段は入れない機関室や特別室などを360度で捉えてビジュアルを構成し、船内を周遊するウォークスルー機能で通路の壁などに作品を掲げれば見学と鑑賞を両立できます。アイデアは星の数ほどあります」

#chapter2

学生時代からベンチャー精神に満ち、時代を見据えてメタバースの世界へ

 平井さんは学生時代から先進的なベンチャー気質にあふれ、まずは父親のアドバイスを受けビジネスの基礎を身に付けるべく老舗の共同印刷に就職。その後、念願をかなえ誕生間もない第二電電(DDI)に転職します。

 「当時のDDIは一般的な企業の3倍のスピードで動いている印象で、私はツーカーセルラー東海の立ち上げに携わりました。机も椅子も無い準備室で床に座って業務に臨み、文字通りゼロからのスタートで面白かったです」

 スカウトで赴いた日本ヒューレット・パッカードでは、シニアコンサルタントとして活躍。「業績が低迷した個人を責めるのではなく、適材適所の人材配置をできなかった会社が責任を負うべき」という企業文化に引かれるも、新たなチャレンジを求めソフトバンクBBへ。エジプト考古学で知られる吉村作治初代学長と共にサイバー大学を開校しました。

 移籍したSBIホールディングスでもSBI大学院大学の設立に関わり、カリキュラム設計や校舎のレイアウト作成、教授陣のリクルートなどに奔走しました。

 「新規プロジェクトで経験を積み、満を持して『セキュアロジック』を興しました。投資家に魅力を感じてもらえるよう、他社が手掛けていない領域に挑戦するためメタバース事業に参入した次第です」

 数十年先を見据えて着手したビジネスに「やや時代を先取りしましたね」と謙遜するも、インパクトを与えるコンテンツはユーザーに好評。顧客からも「訪問者の滞在時間が延びた」と喜ばれています。

平井靖 ひらいやすし

#chapter3

デジタルな世界でも人間味を大切に、集客や採用につながるコンテンツを提案

 メタバースの制作費用はテンプレートを使えば数万円程度から、およそ1カ月で完成するものがほとんどとか。ホームページと併せて訴求力を備えたVRコンテンツを持つことで、集客、採用、製品やサービスの紹介といった領域で効果を期待できると話します。

 「仮想空間はCGでも実写でも構築でき、建物や内装、資料、人物など必要な素材の撮影にも伺います。ディプレイモニターの画像をクリックすれば動画を閲覧できたり、インフォメーションのパネルから問い合わせができたり、具体的で臨場感のある内容に仕上げます」

 今後は企業や店舗の情報をAI(人工知能)に学習させて案内役のコンシェルジュとし、ユーザーの検索ニーズに応える仕組みも整えたいと考えています。

 「現在の主流であるSEO(検索エンジン最適化)対策は、発信者側のテクニックに左右されます。『エアメッセ』は正しい情報を発信するという基本を守り、ユーザー思いのプラットフォームでありたいですね」

 この先10年もすれば、メタバースは当たり前のように普及するだろうと語る平井さん。デジタルな世界でも人間味は大切にしたいと続けます。

 「例えば飲食店では料理人の写真を載せ、店の歴史やひと皿に込める思いを語ってもらいます。また、個人的にも人間的な感覚やチャレンジ精神を失わないよう、思想家の中村天風の哲学を実践したり、筋力トレーニングを重ねたりしています。心身を健康に保ち、メタバースの発展を見守りたいですね」

(取材年月:2024年12月)

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専門家プロフィール

平井靖

仮想空間に3Dの企業や店舗、展示場などを構築する専門家

平井靖プロ

バーチャル空間制作プロデューサー

セキュアロジック株式会社

仮想空間に顧客のオフィスや店舗を作り、商品の販売、情報発信、ユーザーとの交流などを可能に。撮影した物体をあらゆる方向に回転させて閲覧できる機能など、魅力的な仕掛けで訪問者の滞在時間を延ばすのが得意。

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