PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

家庭向けの製品づくりに取り組み、「石で人々の人生にいい波動を起こしたい」

人々の人生に幸せの波動をおこす石のプロ

太田清登

太田清登 おおたきよと
太田清登 おおたきよと

#chapter1

採掘場を保有し、庵治石の切り出しから加工、施工まで一貫して対応

 日本を代表する天然の石材、庵治石(あじいし)。結晶が緻密に結びついているため耐久性が高く、きめの細かい地肌ゆえの美しさも備えます。墓石や彫刻などに広く用いられることから、庵治石の伝統的な産地、香川県高松市では石材産業が発展してきました。

 「数多くの石材店がありますが、切り出し・加工・施工まで一貫して行っている企業のなかでも、弊社は長い歴史と豊富な実績を誇ります」
 そう話すのは2023年に創立150年を迎えた老舗企業「丸仲石材」の代表・太田清登さん。自社の採掘場で採れる石を使用し、墓石、燈籠、庭石、記念碑、建築、室内外オブジェ、記念品、室内外明りなどを手掛けます。

 「時代によって、また現代でも年齢ごとに求められるものは異なります。消費者の多様なニーズに応えられる石屋にならなくてはならないと私は考えています」
 戦後は墓石の需要が高まった石材業界でしたが、やがて高度経済成長を迎え、2000年以降は安価な輸入品も手に入りやすくなり製造業全体の数が減少しました。時代の変化とともに人々の価値観も移り変わり、以前ほどお墓にお金をかけない方や、実用性を重視する方が増えたと言います。

 インターネットが普及するなど、便利な生活を送れる現代。一方で土、石、木といった自然素材に触れる機会が減り、ストレスがたまりやすい状態が続いていると警鐘を鳴らします。太田さんは「石で人々の人生にいい波動を起こしたい」と声をあげ、固定化された石屋のイメージを払拭するべく始動。家庭向けに、石を活用したオブジェや家具、インテリア雑貨の制作にも力を入れています。

#chapter2

1873年創業した老舗の石職人として庵治石の取り扱いについて熟知

 丸仲石材は江戸時代末期、先祖が石材業を始め、1873年の創業。初代の太田幾蔵さんが石職人として独立開業し、事業の礎を築きました。3代目にあたる太田仲太郎さんが近隣住民から「仲さん」の愛称で親しまれていたことから、1972年には「仲」の文字を社名に冠して法人化。香川県外の仕事も次第に増加していきます。そして1997年、太田清登さんは37歳で5代目を継ぎ、現在は国内にとどまらず海外で開催される展示会出展などにも意欲を見せます。

 幼い頃から石に触れ、早くから家業を手伝っていた太田さん。時には遠方に赴き、職人たちと肩を並べて、2人1組で200キロにもなる巨石を運ぶこともあったとか。
 「昨今は運搬機器などが開発されていますが、その頃は手作業も多く、石を担ぎ上げるにも慎重に息をあわせ、1歩踏み出すにも細心の注意を払いました。重量物ですから少しのズレが大きなケガにつながります。若い頃は体も十分にできておらず、石の扱いに苦労もしましたね」

 石職人の数も年々減少傾向にあります。庵治石は繊細な模様が特長ですが、地層の性質上、傷が多く見られます。加工時には傷を避けて裁断する熟練の業が求められます。

 また石の切り口や、磨きによっても見え方はさまざまに変化。「艶やかな光沢を出したい」「ごつごつとした岩肌を残してほしい」など、顧客の要望にそった作品を創造するため、素材それぞれの個性を見極め、素材を最大限に生かした加工をして顧客の要望に応じた製品を完成させた後、現場でバランスを整えた施工へと進めます。

太田清登 おおたきよと

#chapter3

丸仲ブランドの石を用い、デザイン力と加工技術でオリジナル製品を展開

 「長年の経験と石の持ち味を生かしたデザイン力、精度の高い加工技術が強みです。より良い仕上がりを求め、食事も忘れて1日中試行錯誤を繰り返すこともありますね」

 石職人でありながら、ストーンデザイナー&プロデューサーの肩書をもつ太田さん。五代目就任後間もなく、オリジナルブランド「Fertile soil(ファーティルソィル)」を立ち上げました。顧客のリクエストに合わせてデザインを描くところから、現場での加工、客先での配置まで、すべての工程を担い、インテリアオブジェ、テーブルや照明、花器など数々のアイテムを生み出しています。

 さらに、石のブランド化を進めたいと、保有する山から採取できる庵治石を四つのランクに分けています。「中細目」と「中目」といった石目や色目の違いから分類し、最高級品の「丸仲PUREMIERE(マルナカプレミア)」をはじめ、「仲讃美(ナカサンビ)」「白美讃(ハクビサン)」「雄讃(ユウザン)」と名付けました。

 住まいの中にも天然素材である石を取り入れ、眺めたり、手で触れたりすることで心穏やかな気持ちになってほしいと願う太田さん。暮らしになじみ、日常的に使ってもらえればと、過去には、石の表面の質感を布にして、ファッションに生かせないかと挑戦したこともありました。
 「残念ながらうまく裁縫用の生地布にはできませんでしたが、石は表情が豊かで、一つ一つが魅力を持っています。今は採掘場自体を観光資源にできないかなど、いろいろと考えを巡らせています」と熱く語ります。

(取材年月:2023年7月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

太田清登

人々の人生に幸せの波動をおこす石のプロ

太田清登プロ

石材店

株式会社丸仲石材

151年の歴史を持ち、石の採掘、ハイクォリティーなデザイン、特殊な加工技術、配置バランスを整えた施工を行います。お客様の想いを形に素材を最大限に生かした室内外のインテリア、オブジェも創作しています。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ香川に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、またはテレビせとうちが取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO