性能を引き出す丁寧な施工で暖かい家づくりをかなえる断熱のプロ刈田義男

性能を引き出す丁寧な施工で暖かい家づくりをかなえる断熱のプロ

刈田義男

断熱に特化した業者として「低燃費で全室暖房できる家」を目指す

　「省エネルギーで心地よい住まいづくりをお手伝いします」と話すのは、「断熱気密サポート」の代表・刈田義男さん。岩手県紫波郡を中心に、断熱材・気密部材の販売・工事を手掛けています。

　「建物の構造に合わせ隙間なく連続で施工しないと、期待される効果は得られません。また気密性能が低いと結露が発生し、家の耐久性や健康に影響を与えます。我慢することなく暑さ寒さのストレスを感じることもなく暮らせる家が理想です」

　建築業界では電気や水道の専門業者がいるように、刈田さんは断熱に特化した設備業者として住環境を整備。ガラスを主原料に不燃性を備えたグラスウールや、新聞など古紙を用い吸放湿性に優れたセルローズファイバー、夏の暑さ対策にも有効な木繊維断熱材など、繊維系の素材を屋根・天井、壁、床にくまなく吹き込み、充填します。

　「日本の住宅は世界的に見ても断熱性能が十分とは言えず、電力・灯油などの消費量が多いのが現状です。温度差でヒートショックを起こす恐れもあり、当社は『健康に暮らせ、低燃費で全室暖房できる家』を目指しています」

　事前の依頼により、熱量が逃げる量を表すUA値や燃費計算を行って断熱仕様の提案、完工後には専用機械を使い住宅の隙間面積を計算し、気密性能の測定も行っています。

　「断熱材を施すことで快適な住空間を作れるうえ、光熱費を抑え経済面でもメリットがあります。高断熱住宅によりエネルギーとコストを削減し、お客さまの満足度につながるようサポートをしています。

高断熱・高気密住宅の有用性を伝えるため、施工から手掛けることに

　刈田さんが「断熱気密サポート」を創業したのは1994年。断熱材メーカーに勤めていた時に、高断熱・高気密住宅の価値を伝え、普及を促進しなければと痛感したのがきっかけでした。

　「営業をしていた当時の断熱工事は大工さんの仕事でした。物を売るだけでは製品の良さは伝わらず、また優れた製品でも施工が正しくなければ性能が発揮できないので、その直面する課題を克服するために材工で受注できる体制を整え、断熱工事専門会社として高品質な住宅づくりをサポートしようと考え、会社を立ち上げました」

　設備が充実する以前は「夏は暑く、冬は寒いのは当たり前」といった風潮でしたが、30年以上断熱材を扱う中で、家を新築する人やリフォームをする人の要望にも変化が見られるようになってきたと言います。

　「今は我慢するのではなく、ストレスなく健やかに過ごせる家をつくるという認識が浸透しています。起業した当時はエアコンを付けている家は少なかったですが、昨今の猛暑からクーラーは不可欠でしょう。電気代も年々上がっていますから、省エネを意識されるお客さまも増えているように感じます」

　長きにわたり外気の影響を受けにくい家を実現するには、専門知識やスキルが欠かせないため、人材育成にも力を入れています。

　「断熱工事・気密化工事を専門とする会社として、これまで培ったノウハウを生かし、自信を持って、夏は涼しく、冬は暖かい快適な住まいをかなえたいと思っています」

断熱性能を発揮するための実技指導を実施

　2025年4月に省エネルギー基準の適合義務化がはじまり、すべての新築の建築物は省エネルギー基準の適合が求められます。2030年にはさらに基準の等級が上がることを受け、刈田さんは依頼があれば現場で実技指導などを行い、高気密・高断熱住宅の普及活動に努めています。

　「断熱を検討される際、最初は当社に工事を任せていただき、次回からは自分たちで施工するという形でも対応可能です。実際に当社の施工を見ていただき、こういうやり方をすれば断熱性能を発揮できるということを理解してくださると思います」

　室温を一定に保ち、健康的に過ごせる家を1軒でも多く増やしたいと常々考えている刈田さんは、断熱の有用性を広めることを目標に掲げます。

　「数年前のテレビ番組で、岩手県は寒冷地であるにも関わらず、北海道の住宅と比べると体感温度が低いという内容が放映されていました。今は改善されつつあるものの、北海道並みの断熱ができている家はまだ少ない印象です。リビングは暖かいけれど、廊下やお風呂場に移動すると寒いといった問題を解消して、脳卒中や心筋梗塞など、寒暖差を原因とする病気のリスクを減らしたいですね」
　また、ガラスや古紙など資源をリサイクルした断熱材で循環型社会の形成へ。冷暖房の効率を上げて化石燃料などの燃焼を低減し、CO2の排出量を削減することで環境保全にも貢献。SDGs（持続可能な開発目標）に取り組み、人にも地球にも優しい社会づくりに励む会社として認知度を高めていきたいと語ります。

（取材年月：2025年3月）

省エネルギーで、ストレスなく快適に過ごせる家づくりをサポート

断熱に特化した業者として「低燃費で全室暖房できる家」を目指す

高断熱・高気密住宅の有用性を伝えるため、施工から手掛けることに

断熱性能を発揮するための実技指導を実施

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