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経営者の思いに寄り添い、地域課題に取り組む社会福祉法人の経営基盤の強化をサポート

社会福祉法人に特化した会計・財務のプロ

金志煥

金志煥 きんしかん

#chapter1

会計・税務を中心に、経営に関するコンサルティングや資金調達などにも対応

 「中小規模の社会福祉法人では、人材や資金が不足し、経営基盤が盤石ではない状況が見て取れます。経営者はさまざまな局面で決断を迫られますが、悩みや不安を打ち明けることができず孤独を感じている方もいるのではないでしょうか。日々の業務だけでなく、中長期的な観点から、皆さんが安定した経営が続けられるよう同じ土俵に立ち、お力になります」

 こう語るのは、神戸市の「金公認会計士事務所」の代表・金志煥さん。30年以上勤めた大手監査法人では、自治体や公益法人など非営利法人の監査やコンサルティング業務を担当しました。培った知見をもとに、2015年から社会福祉法人に特化した会計や税務などをサポートしています。

 「当方の仕事は、数字を見るだけでなく、そこにどんな問題点や課題があるのかを見極め、経営をよりよい方向へと導くこと。事業全体を俯瞰(ふかん)し、改善策を提示します。保育所、老人福祉施設、障がい者支援施設など、数々の現場を見てきた経験から、個々のケースに応じて、経営の立て直しを図るコンサルティングや資金繰り、資金調達など、幅広く対応できるのが強みです」

 社会への貢献を目的に設立された社会福祉法人の経営では、事業の継続性や安定性が重視されます。民間企業にはない会計処理を行う必要があり、高度な専門性が求められます。

 「なぜそのような処理をするのか、その根拠となる法令をきちんと理解していなければ、事業の成果を正しく決算書に表すことも、経営に対して適切にアドバイスすることもできません。社会福祉法人特有の法制度や会計の仕組みを熟知する当方にお任せください」

#chapter2

財務診断で経営状態を把握し、対話により経営者に「気付き」を与える

 「経営上の課題は、財務診断を通して明らかにしています」と金さん。現状、財産がどれだけあるのか、1年間の業績はいかほどだったのか、支払資金はどれだけ増減したのかを決算書から読み解き、経営状態を把握します。

 「施設を滞りなく稼働させるには、実務を担う職員やスタッフが必要となりますので、財務の他、組織体制に関するヒアリングも細やかに行い、人材確保や組織運営についても一緒に考えます」

 金さんは対話を心掛け、月1回のペースで面談を実施。常に意識するのは、経営者が次のアクションを起こせるよう「気付き」を与えることだとか。

 「最近では、求人広告に載せる文言について助言しました。どの求人媒体を見ても、給与や勤怠、福利厚生といった処遇ばかりを打ち出した内容が多いんです。労働条件だけでなく、『私たちはこんなミッションを持っています。ぜひ一緒に働きましょう』と、相手の心に刺さるようなメッセージを発信すべきだとお伝えしました」

 自分たちが掲げる「社会のために」という理念をアピールし、共感してくれる人を採用することが大切。入職後は志と責任を持って職務に励んでくれる可能性が高く、定着率が上がり、組織もうまく回ると言います。

 「当方は先々の備えとしてM&Aもお手伝いすることができます。経営が難しくなった場合、また後継者がいないとき、事業譲渡が有用な手だてとなります。利用者の暮らしと従業員の雇用を守るためにも、前向きに進めていきましょう」

#chapter3

経営者の思いと、「ヒト・モノ・カネ」のバランスを取ることが事業安定の鍵

 金さんは、専門的な知識やスキルを生かしてボランティア活動する「プロボノ」にも参加。高齢者らの生活を擁護する法定後見事業や、ひとり親家庭の子どもの学習支援に取り組む非営利法人に赴いた経験が開業へと背中を押しました。

 「期間限定のプロジェクトだったので、やれることはごくわずか。継続的にフォローする必要性を感じました。法律や家庭の事情がからみ、いろんな課題を抱えているのに深く関われない“もやもや感”もあり、独立後は社会福祉法人など非営利団体に専念していこうと決めました」

 2016年に社会福祉法が改正。組織行動を統制するガバナンスの強化や、事業運営の透明性を確保することなどが求められていますが、十分に対応が追いついていない法人もあるのだとか。

 「福祉施設には、高齢者や子ども、障がい者といった利用者がいます。経営が立ち行かなくなり、利用者の行き場がなくなると大きな社会的損失になります。今、問題があるのなら、解決しておかないと大変な事態を招くかもしれません」

 事業安定の鍵を握るのは、経営者だと強調する金さん。なぜなら、経営に必要な資源は「ヒト」「モノ」「カネ」であり、現場のことをよく理解して、これらを動かす立場にあるからです。

 「非営利法人の運営は、協力者の存在がなければ成り立ちません。賛同を得るには、困っている人に救いの手を差し伸べたいといった経営者の思いが大事。目的を遂げる過程では、資金を上手に配分し、人材をそろえ、質の高いサービスを提供していくことが重要なので、そのあたりのこともお話ししていきたいですね」

(取材年月:2024年2月)

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金志煥

社会福祉法人に特化した会計・財務のプロ

金志煥プロ

公認会計士・税理士

金公認会計士事務所

大手監査法人で非営利法人の監査やコンサルティングを担当し、法人が抱える悩みや課題を肌感覚で理解しています。コンサルティングや資金調達など、個々のケースに応じて必要なサポートを提供することが可能です

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