医療・介護・製造業に特化した「ほめ育」コンサルティングのプロ児玉ゆかり

医療・介護・製造業に特化した「ほめ育」コンサルティングのプロ

児玉ゆかり

人材を褒めて育てる「ほめ育×コンピテンシーマネジメント研修」を提供

　看護師歴40年のキャリアを持ち、西宮市で「上昇志向デザイン研究室」を主宰する児玉ゆかりさん。医療・介護業界に従事する個人の成長を促し、組織を活性化する「ほめ育」コンサルタントとして活動しています。

　「ほめ育」は、ほめ育財団代表理事・原邦雄さんが、コンサルティング会社などで培った人材教育の経験と脳科学、心理学の知見をもとに理論と実践値で体系化した「ほめて育てる教育メソッド」。500以上の企業や教育機関で導入されています。

　「特長は、ほめる基準を明確に定めること。業績アップを目指す場合、病院・施設で “業績を上げる”とは、お客さま（患者さま）に喜ばれた結果です。誰しも必ず頑張っていることがあるので、スタッフを観察し、顧客満足度につながる行動は大いにほめる。ぶれない評価を習慣化、浸透させることで、職場環境の改善や離職防止などが期待できます」

　一方、基準に反する行動をきちんと叱ることも大切だと説きます。
　「人は悪いところばかり指摘されると聞き入れにくいですが、普段からほめられ認められていると実感していれば、注意を受け入れて自らの糧にできます」

　児玉さんは「ほめ育×コンピテンシーマネジメント研修」を手掛けます。6カ月の「基礎研修」と、12カ月で具体的な運用までマスターする「基礎から組織づくりコース」を用意。

　「『コンピテンシー』とは、高いパフォーマンスを発揮する人物に共通した行動特性のこと。打ち合わせにより各社・病院・事業所に合わせた評価軸『ほめ育コンピテンシー』を作成し、人材育成に伴走いたします」

脳神経系の患者と関わる中で「言葉と行動」の関係に注目し、母校でも講義

　病棟勤務や訪問看護を通じ、脳神経系に疾患を持つ約34万人もの患者と接してきた児玉さん。ケアの中で“奇跡の体験”を重ね、コミュニケーションに興味を抱きました。

　「ある会社創業者の方を在宅看護していた時、寝たきりで、ご家族も意思疎通を諦める状態だったのですが、昔を思い起こすような言葉を掛け続けると、はっきりと事業のこと、経営のことについてお話しされるようになったんです。他にも寝たきりの状態から起き上がり『六甲おろし』を歌うまでになった方など、継続的な声掛けによって患者さまの言葉や行動が引き出される経験をしました」

　児玉さんは言葉と行動の関係性に着目。臨床の現場でコミュニケーションの技術を磨き、実践の成果を伝えるべく、母校の看護専門学校で教べんを執ります。

　「実習では話し方で患者さまとの関係性が変わり、適切なケアを提供できるかも変わります。うまくいくパターンとそうでないパターンを分析して講義に落とし込み、ロールプレイで体感してもらうと学生たちが変わりました。実習がつらくて泣いていた学生が、最終日に患者さまと別れを惜しみあって涙する場面も見られ、胸が熱くなりましたね」

　約10年にわたり講師を務め、2020年に人材育成の分野で起業。原さんと出会い「ほめ育」の考え方に共感したことから、医療・介護分野に特化したほめ育コンサルタントとして始動し、同じ志を持つ仲間とチームも結成。全国の病院や介護施設に赴き、離職防止・チームビルディング・職場環境の改善に伴走しています。

家族・本人が納得できるサービスは、人が集まる医療・介護業界づくりから

　日本では少子高齢化が加速し、労働人口の減少から医療・介護を支える人的資源が不足。現場の負担が増し疲弊しつつあります。

　児玉さんは両親の介護・看取りの際、家族の立場から問題の深刻さを痛感したと言います。
　「事業所や働く人によってモチベーションやスキルに大きな差があることを身をもって知りました。家族も本人も納得できる質の高いサービスを届けるには、医療・介護業界を人が集まり、働き続けたいと思える職業に変えなくてはと、使命感に駆られましたね」

　在宅介護サービス事業所の開業をサポートした際は、経営者と目標設定に取り組むと事業が伸展し、手ごたえを感じました。
　「『人気の事業所にしたい』とおっしゃる社長さまに目標をお聞きすると『月間●件の契約』と数値目標だけをお答えでした。スタッフの方々も同じでしたね。そこで、実現のための方策について対話を重ね、掘り下げるうちに、理念として掲げる『他喜力』に立ち戻られました」

　目標を「契約件数の多い事業所」から「他の人、利用者や家族を喜ばせる事業所」へとシフト。全社で共有したことで、「売り上げが伸びて忙しすぎ、スタッフも増やしました」とうれしい報告を受けたそうです。

　ビジネスと人生の両面で成長を促すほめ育コンサルティングで、医療・介護業界、そして日本の未来を明るい方向に導くため奮闘する児玉さん。
　「研修導入に活用できる助成金もご紹介しています。個の力を伸ばし、士気を上げ、組織力を高める仕組みを一緒に作りましょう」と呼びかけます。

（取材年月：2024年5月）

個人の成長を促し、組織を活性化するコンサルティングで医療・介護業界の未来をサポート

人材を褒めて育てる「ほめ育×コンピテンシーマネジメント研修」を提供

脳神経系の患者と関わる中で「言葉と行動」の関係に注目し、母校でも講義

家族・本人が納得できるサービスは、人が集まる医療・介護業界づくりから

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