PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

最先端の研究開発から生まれた環境にやさしい材料「Nano Sakura」を世界に

次世代の環境エネルギー分野を切り開く研究開発のプロ

森良平

次世代の環境エネルギー分野を切り開く研究開発のプロ 	森良平さん
環境エネルギーイメージ画像

#chapter1

大手企業の研究室に負けない最先端の研究開発で環境・エネルギー分野に貢献

 プラスチックごみや産業廃棄物による海洋汚染問題、世界人口増加に起因する地球温暖化問題など、地球を取り巻く環境・エネルギー問題は年々深刻さを増しています。環境問題はもはや待ったなしの最優先事項。GSアライアンス株式会社の代表、森良平さんは、最先端の材料研究を通じ、正面から環境・エネルギー問題に向き合い続けています。

 GSアライアンスでは、次世代のリチウムイオン電池やアルミニウム系電池、水と二酸化炭素に完全に分解する生分解性樹脂材料、バイオマス系廃棄物から作るバイオエタノール、量子ドットなどのナノテクノロジー製品を主に研究開発しています。特に注目されているのは、自社開発した生分解樹脂材料「Nano Sakura」。環境破壊の一因であるプラスチックごみ問題にアプローチする環境配慮型製品として国内外で関心を集めています。

「『Nano Sakura』は生分解性樹脂をベースにした材料で、すでに多くの企業や研究所で検討されています。ただ、プラスチックのような石油製品に生分解性の材料を混合しても、分子レベルでは石油製品の部分が自然界に残ってしまうのが実情です。そこで、私は石油の代わりに植物由来のセルロースナノファイバー、ポリ乳酸、自社製の生分解性樹脂などを使い、完全に分解できる100%自然素材の形成品を作り、『Nano Sakura』ブランドとして製造販売することにしたのです。最近は生分解性樹脂を謳う製品がだんだん増えてきていますが、生分解性樹脂だけでは強度が弱い、成形が難しいなどの理由で、100%天然バイオマス材料から作っている製品は世界にもまだほとんどありません。私の知る限り、同様の製品で石油ゼロのものは他にないと思います」と森さん。

 現在、製造している「Nano Sakura」ブランドは、スプーンやフォーク、ナイフなどのカトラリーとボトル。今後もさまざまなニーズに合わせてお皿、コップ、トレイなどの商品を製造販売する予定です。また、ポリ乳酸やデンプンは将来的に人間の食料と拮抗する可能性があると考え、今後はデンプン系生分解性樹脂や非可食性バイオマス原料であるセルロースをベースにしたセルロース系生分解性樹脂を成型品に用いる予定です。セルロース系生分解性樹脂は限りなく地球環境に優しい生分解性樹脂材料。環境にとことん配慮した究極の「Nano Sakura」シリーズが続々と登場しそうです。

#chapter2

研究への興味に突き動かされ。代々受け継ぐ老舗会社の経営と先端的材料の研究を兼務

 京都大学大学院の博士課程で学んだ工学博士。森さんの肩書を見た人は、絵にかいたようなエリート人生を思い浮かべるかも知れません。しかし、森さんは「反対意見やお叱り、時には嘲笑もある中、研究に対する興味と情熱でここまでやってこれたのですよ」と笑います。

 川西市で80年続く老舗会社の跡取り息子だった森さんは、大学院卒業後に、家業である冨士色素株式会社に入社。しかし、どうしても研究への興味が断ち切れず、2010年に研究開発を専門に行うGSアライアンス株式会社を立ち上げました。しかし、事業化するまでに時間がかかるのが研究開発というもの。老舗会社の跡取りの宿命か、周囲から厳しい言葉を浴びることもありました。そんな紆余曲折がありながら、「私がこうして研究を続けて『Nano Sakura』を作り出せたのは、冨士色素株式会社の社員のみなさんの理解と支えがあったからです」と森さんは語ります。

 時代が求める最新材料が大学や大企業の研究室ではなく、バイオ、材料工学の両方の技術に詳しい工学博士が経営する民間企業から生み出された背景には、多くのヒューマンドラマが詰まっていたのです。

次世代の環境エネルギー分野を切り開く研究開発のプロ 	森良平さん

#chapter3

川西市から世界へ。地球のプラスチック汚染を軽減する新製品をすべての人に

 研究開発にはすべて関わり、自分で理解して、できるだけ最短で開発を行うことが森さんの方針。以前は研究開発から営業、特許権利関係まですべて一人で行っていましたが、現在は優秀な研究者たちとともにチームで開発を行っています。

「研究者の世界は経験と実績がものをいいます。定年などで企業や政府の研究機関を退職した一流の研究者たちが、弊社の研究に手を貸してくれているのです」

 2019年に日本バイオプラスチック協会のグリーンプラマークの認定を受けた「Nano Sakura」は、国内での営業はもちろん、英語のプレスリリースも発行し、すでに原料ペレットは国内外への販売を開始しています。2020年からは形成品の「Nano Sakura」ブランドの流通販売がいよいよ始まり、原料ペレットとともに、多数の問い合わせが入っているそうです。

「研究開発の段階を経て、製品を生産できる体制が整いました。100%自然素材の地球環境にやさしい製品として、世界中に『Nano Sakura』ブランドをPRしていきたいですね」と森さん。川西市から生まれた最先端の材料が世間を席巻する日もそう遠くなさそうです。

(取材年月:2019年12月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

森良平

次世代の環境エネルギー分野を切り開く研究開発のプロ

森良平プロ

製造販売

GSアライアンス株式会社

生分解性樹脂材料「Nano Sakura」など、国内外の環境・エネルギー分野で認められる最先端の研究・技術開発に強み。100%天然素材の「Nano Sakura」製品の製造販売で地球環境の改善に貢献。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ神戸に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または神戸新聞社が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO