PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

メーカーや研究所での豊富な経験をもとに、科学的な事実に基づく解決策を提示し、企業活動をサポート

豊富な化学技術知識で研究開発および製造をサポートするプロ

辻村豊

辻村豊 つじむらゆたか
辻村豊 つじむらゆたか

#chapter1

材料や素材の研究開発や製造、技術承継に関する困りごとにきめ細かく対応

 「今使っている材料のほかにいいものがないか知りたい」「サンプルを入手したけれど素材を評価できる設備も人材もいない」

 「播羊(ばんよう)化学研究所」の代表、辻村豊さんは、そうした要望に応える技術コンサルタント。化学メーカーや研究所での豊富な経験をもとに、分析や開発、製造などについて助言するだけでなく、専用のラボラトリーで実証実験や試作も行い、少量でも対応しています。

 「例えば、これまで使っていた樹脂が突然廃番となり困っているという企業からのご依頼。室温で硬化する代替品をお探しでしたので、市販のものから樹脂と硬化剤を20パターン実験し、適した組み合わせをご提案しました。製造を継続できるとお喜びいただけました。特許を取得したものの注目されないという企業からの相談では、ポイントを分かりやすく伝える資料を用意。海外展開も見据えて英語版も作成しました。」

 辻村さんは、技術系の若手社員の育成も得意としています。技術顧問を務めていた企業では、その会社に1人だけだった技術職に基礎知識を教え、報告書の書き方も指導。数年後、その社員が新たな商品の開発を主導するまでに成長したそうです。
 
 「研究開発は属人性が高く、ある人が退職すると、扱っていたテーマも続けられなくなってしまうということがよくあるんです。そのため、報告書として残すことが重要だと私は考えています。書式は自由でいいのですが、最低限押さえておきたい項目や検索しやすいタイトルの付け方など、有用な報告書づくりのポイントをお伝えしています」

#chapter2

産官学で研究に従事。画期的な樹脂の開発・製造・特許取得に携わった経験も

 辻村さんは、京都工芸繊維大学を卒業し、大阪大学大学院に進学。博士課程を修了し、応用化学分野で博士号を取得しました。その後は、京都工芸繊維大学ベンチャーラボラトリーや、産業技術総合研究所関西センターで研究員に。半導体製造装置メーカーや化学メーカーなどにも勤務し開発業務に従事。産官学のいずれも経験したことが強みです。

 「大学とコラボレーションしたい場合もぜひご相談ください。双方のパイプ役となって、企業さまが求めているものを齟齬なくお伝えします。大学教授の話が難しい、得られたデータの読み方が分からないといったときも、丁寧に説明いたします。研究施設を利用したいけれどハードルが高いという場合も橋渡しをします」

 2003年から12年間勤務した「ナガセケムテックス」では、熱可塑性エポキシ樹脂の開発と製造に携わりました。加熱により硬化した後は形状が変わらないエポキシ樹脂に、熱を加えることで再び状態変化する性質も持たせることに成功。特許取得にも尽力しました。

 「原料が液状のため扱いやすいという熱硬化性樹脂の長所と、再加熱で溶融しリサイクル性・リユース性が高い熱可塑性樹脂の長所を併せ持つことから、画期的だと産業界で評価を受け、複数のメディアにも取り上げられました。量産化に向けた試作や、製造装置の調整まで手掛けました」
 熱可塑性エポキシ樹脂は、自動車用の安全部材として採用されたり、スポーツシューズに応用されたりするなど、その用途を広げているとのことです。

辻村豊 つじむらゆたか

#chapter3

その場その場で最高の絵を描けるように努力を続ける

 2017年、辻村さんはこれまで培ってきた知見を広く役立てたいと、兵庫県相生市矢野町で起業しました。「播羊」という会社名は、自身がひつじ年生まれであること、そして、播磨地区に根差して活動していきたいという思いが込められています。
 「いくつか考えた社名候補から、妻がこれがいいと言ったんですよ」と笑顔を見せます。

 全国の企業や大学から重要な研究のために訪れる、大型放射光施設「SPring-8」(兵庫県佐用郡)からも近いのが特長だとか。
 「遠方の研究者が効率よく実験ができるよう試料を手配するほか、帯同してきた学生がちょっとした作業ができる場として利用してもらえたら」と辻村さん。

 今後は専門分野にとらわれず、幅広いサポートをしていきたいと話し、柔軟な発想の源となっているのが、「メール雑誌会」です。自然科学分野で発表されたさまざまな英語の論文を読み込み、解説や所感をメールマガジン形式で配信しています。

 「切り取られた情報ではなく、一次情報に接することで先進的で本質的な知識を得られます。また、あえて専門外にも目を向けることで、発想力も鍛えられるのではと思っています」

 辻村さんがコンサルティングにおいて心掛けているのは、誇張したり危機感をあおったりするのではなく、科学的な事実に基づいてアドバイスをすること。

 「顧客に対して、その場その場で最高の絵が描けるように努力し、誰がやっても決められた手順どおりにやれば同じ答えが出せるという、科学的な解決策を提示します」

(取材年月:2023年8月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

辻村豊

豊富な化学技術知識で研究開発および製造をサポートするプロ

辻村豊プロ

技術コンサルタント

合同会社 播羊化学研究所

原料や素材の研究開発、製造工程、PRなどに関する企業様のお困りごとを丁寧にサポート致します。専用の実験室で実証実験や試作も可能、少量からOKです。更に技術系社員の育成、技術承継の相談なども対応します。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ神戸に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または神戸新聞社が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO