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家族の暮らしに寄り添い、街の景色や風土になじみ、時間とともに味わいを増す住まいを提案

理想の暮らしや変化に寄り添う住宅設計のプロ

杉本雅子

杉本雅子 すぎもとまさこ
杉本雅子 すぎもとまさこ

#chapter1

コストやメンテナンスのしやすさも考えながら、家族やペットが健やかに過ごせる住まいをプランニング

 「住まいはご家族が歴史を刻んでいく場所です。日々の生活を楽しみ、思い出を紡いでいくために、どう暮らしたいかを一緒に整理するところから始めましょう」

 そう呼び掛けるのは、兵庫県西宮市の「一級建築士事務所アトリエフーガ」の代表・杉本雅子さん。住宅の新築やリフォーム・リノベーションを中心に設計に取り組んでいます。

 「打ち合わせではご予算、休日の過ごし方や来客の頻度、子どもが巣立った後は趣味に打ち込みたいなど将来にわたって細やかにヒアリングします。間取りやデザインのご要望も踏まえ、思い描く理想の暮らしを図面に盛り込み、具現化します。設計と並行して施工会社の選定・見積もり金額の査定も行い、工事現場に足を運んで監理を行い、お引き渡し後も施主さまとのお付き合いが続いています」

 老後を見据え「車いすや要介護になった際に備えたい」といった声も寄せられます。寝室から近いトイレや浴室の配置、ケアに適した広さ、手すりやスロープを付けやすい下地まで含めてプランニングします。

 「お体の状態に合わせて住環境を整えることが、安全性や利便性の向上につながります。介助用の設備を増設できるよう配管を仕込むなど、必要になったときに柔軟に対応できる余白を残すことを意識しています」

 また、ペットとの快適な毎日もサポート。「滑りにくく掃除がしやすい床にしたい」「散歩後に足を洗える場所がほしい」などのリクエストに対して、愛犬家住宅コーディネーターとしての知見と長年愛犬と暮らしてきた自身の経験を生かし、人もペットもストレスなく過ごせる素材や動線を取り入れます。

 「家族やペットの状況は時がたつにつれ変わります。先々の変化を考慮したうえで、健やかな日常をかなえていくことが、設計者の役割だと思っています」

#chapter2

木や土など、ぬくもりとやさしい風合いに満ちた自然素材の住まいも展開

 杉本さんは大学で住まいと環境について学び、卒業後は大手ハウスメーカーに入社。豊かな人生を創造するにふさわしい住宅を提供するべく、検討を重ねます。

 「社会人として仕事を始めた頃は大量供給が求められる時代で、住まいが社会や家族に与える影響を広い視点で考える機会を得ました。実務を積むうち、1軒1軒にもっと丁寧に向き合いたいという思いも強くなりました」

 転機となったのは阪神・淡路大震災です。生まれ育った神戸の街並みが一変し、洋館などの趣のある建物が失われていく様子を目の当たりにしました。

 「仮設住宅やプレハブが並び、均質な印象になっていくことに言葉にならない寂しさがありました。人々に親しまれ、大切に慈しまれる過程で建物の存在感が生まれ、街の個性として表れるのだと痛感しました」

 震災後は、自然素材を用いた民家型住宅を得意とするアトリエ系の設計事務所へ転職。木や土、紙などが醸し出す温かさや、手仕事の痕跡が残る家づくりに携わる中で、月日を経るほどに深まる住まいの価値に気付きます。大学院に進み、デザインマネジメントを学んで造形工学を修了し、2003年に「一級建築士事務所アトリエフーガ」を設立しました。

 「今まで培った経験をもとに、自然素材の家づくりを大切にしています。お手入れにより色つやが出て、日に日に美しさと愛着を増していくのが特長です。無垢材や漆喰を用いた家はやさしい風合いで、化学物質をできるだけ減らしたい方や、家族やペットの健康を重視する方から選ばれています」

杉本雅子 すぎもとまさこ

#chapter3

地域の拠点づくりに取り組むメンバーとして活動し、古民家再生などに従事

 高台から広がる眺望を臨み、光と風を取り込んだ若夫婦の新居、独立性を保ちながら、一家団らんができる広々としたリビングを配した二世帯住宅など、多彩な住まいを手掛けてきた杉本さん。

建築家らで組織する「テトラプラス」のメンバーとしても活動。古民家を宿泊施設に再生したり、観光・商業施設にリニューアルしたり、子どもたちの福祉施設を新たに造ったり、多くの人が集う地域の拠点づくりに力を注いでいます。

 「アトリエフーガではご家族の暮らしに寄り添った住まい、テトラプラスでは、地域や社会に開かれた場所を創出するのが趣旨です。いずれも、時間とともに味わいを増す場をつくりたいという思いは共通しています」

 杉本さんは大学や大学院で建築やインテリアの非常勤講師を務めています。行政の各種審議会にも所属し、景観・森林・都市計画といった分野で助言や提言を行っています。

 「次世代を育成することも大事な役割だと感じています。歴史と文化を守り、暮らしやすい地域を育てていきたいと考えています」

 山と海に恵まれた神戸や西宮は、気候の違いや高低差など、暮らしやすさの条件は一律ではありません。立地を精査するだけでなく、周辺環境や街の空気感まで読み取り、その土地になじむ住まいを提案したいと言います。

 「家は個人のものですが、窓一つ、屋根の形一つが景色をつくっていく要素になります。街の一部を成すことに住む人が誇りを持ち、風土に溶け込む家を展開していきたいですね」

(取材年月:2025年12月)

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杉本雅子

理想の暮らしや変化に寄り添う住宅設計のプロ

杉本雅子プロ

建築士

一級建築士事務所アトリエフーガ

理想の暮らし方をヒアリングし柔軟に設計。時間とともに味わいが増す自然素材を用いた住宅を提案。コストやメンテナンス性も重視し、施工会社の選定や見積もり査定、工事監理、入居後のフォローまで一貫して行います

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