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街をつくり、暮らしを支えるインフラ工事に欠かせない測量で地域の未来を創る

インフラ整備から災害対応まで、正確な測量で暮らしを守るプロ

槇憲房

槇憲房 まきのりふさ
槇憲房 まきのりふさ

#chapter1

道路や橋、トンネルなど公共事業を中心に実績を積み、高精度の測量を実施

 「道路や橋、トンネル、上下水道など、生活や事業活動に欠かせないインフラを建設する上で欠かせないのが測量です。私どもは精密な測定により、街をつくり、暮らしを支える一翼を担ってまいりました」

 力強く語るのは、札幌市西区に本社を置く「モリ技術コンサル」の代表取締役・槇憲房さん。政府や自治体、地方公共団体などが行う北海道エリアの公共事業を中心に請け負い、実績を積んできました。

 「土地の形や面積、高低を測り、地形を詳細に把握することで、機能性や安全性を備えた建造物を建てることができます。竣工後に再度測量し、構造などが設計通りに施工されているか、不具合がないかを検証します。インフラは一度建設されれば長年使われる、いわば公共財です。地域の未来を創っているのだと心得て、正確な仕事を徹底しています」

 一口に測量と言っても、すべての測量の基礎となる座標を求める基準点測量、標高を定める水準測量、土地の境界などを調査・確認して面積を出す用地測量など、いくつも種類があります。槇さんのもとでは、発注元の目的に即したデータを提供するため、レーザーや衛星システムなど新技術を取り入れ、さまざまな観測方式を使い分けています。

 「公図や地積測量図など土地の登記に関する資料、公共用地と民間地といった官民境界に関する資料などを収集するところから始まり、資料に基づいて境界点を明確にしていきます。境界確認の際は現地で関係権利者の立ち会いのもと行いますので、コミュニケーションも大切にしています」

#chapter2

祖父・父から受け継いだ“地図に残る仕事”の誇りと熱意を胸に事業にまい進

 戦後、1949年に測量法が公布され、同法律のもとで1953年に基本測量長期計画の第1次計画が策定されました。

 法整備や戦後復興が進む中、槇さんの母方の祖父であり、北海道庁で土地整理係に従事していた森時政さんは1955年、札幌市手稲区に測量事務所を開設。創業当時は測量のほかボーリング工事も手掛けました。1967年に測量業者として登録するとともに有限会社化。1974年に槇さんの父・昭憲さんが代表取締役に就いた後も、着実に事業を成長させてきました。
 
 「小学生の頃から会社の手伝いをしていた。現場について行って、父のまねをして測量用ポールを持って立ってみたりしていましたね。人工衛星を活用したGPS測量も、地形や構造物を立体的に捉える3D測量もない時代でしたが、『地図に残る仕事』という技術者たちの誇りと熱意は、今も昔も変わっていない気がします」

 祖父や父の背中を見て育ちますが、車好きの槇さんは、北海道札幌工業高校を卒業後、北海道自動車短期大学(現北海道科学大学)を経て車両メーカーに就職。営業職として顧客の要望に応じてトレーラー、トラックボデイを販売していました。

 「大地を捉える測量はもう一つの夢として胸の中にあり、いつか叶えると決めていました。30歳の節目に勤務先の東京からUターンしました」

 帰郷後は前職の経験を糧に営業を担当し、行政の発注部門と対話を重ねるなど案件の受注にまい進。槇さんの入社とほぼ時を同じくして、会社は1997年に株式会社化。2014年には父に代わって代表に就任しました。

槇憲房 まきのりふさ

#chapter3

地図サイト、位置情報アプリなど活用が進む測量のやりがいと技術を次世代へ

 3代目として社を率いる槇さん。今後は、精度の高い測量を民間企業や個人に向けても提供していきたいと言います。

 「測量技術の進化により、一昔前に登記された土地を改めて計測すると数値や面積が変わってくる場合もあります。固定資産税や相続税は登記されている面積で計算されますので、所有地や管理地の計測で相続に備えることもできます。関係者さまの理解と同意を得られるよう丁寧に説明しますので、境界問題についてもお気軽にご相談ください」

 企業理念は「確かな技術と知識で個人の財産を守り、地域および社会の持続的発展に貢献する」。災害発生時には北海道測量設計業協会の一員として、初動調査から復旧・復興まで一連の対応に取り組んできました。

 また、札樽地区測量設計協会にも参画。同協会の会員企業が結成した札樽若力会では、測量業のイメージアップのため、小学校での測量体験学習会などを実施しています。

 「カーナビゲーションや地図サイト、スマートフォンの位置情報アプリなど、測量成果を使ったツール、サービスは生活に浸透しています。公共事業の減少が示唆されている中でも、安定した需要が見込めます。経済や産業を活性化するほか、私たち一人一人が安心して生活するためにも測量は重要な役割を果たしますので、若者に興味を持ってもらいたいですね」

 次世代に知見を継承していきたいと意欲を燃やす槇さん。測量体験学習会を開催したり、北海道・札幌市が主催する産業イベントに参加したり、測量関係団体の一員としてPRに取り組んでいます。

(取材年月:2024年10月)

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槇憲房

インフラ整備から災害対応まで、正確な測量で暮らしを守るプロ

槇憲房プロ

測量業

株式会社モリ技術コンサル

札幌で70年の実績。「確かな技術と知識で個人の財産を守り、地域および社会の持続的発展に貢献する」を経営理念とし、公共事業を中心にサービスを提供し、インフラ整備を支えます。

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