高齢者に生きがい&居場所を創出する健康マージャンのプロ
津野修
Mybestpro Interview
高齢者に生きがい&居場所を創出する健康マージャンのプロ
津野修
#chapter1
「普段から頭の体操をしていますか? 今日、何人とお話をされましたか?」と問いかけるのは、「健康マージャン北海道」の代表・津野修さん。札幌市内で3店舗のマージャン店を展開し、教室や大会を主宰しています。札幌の区民・地区センター約20カ所では、週1~2回サークルも開催。60~70代の主婦を中心に集い、お茶会のような和気あいあいとした雰囲気です。
「マージャンは、牌(パイ)と呼ばれる136枚の札の絵柄や数字をそろえ、点数を競うテーブルゲームです。さまざまな組み合わせを考えることで脳が活性化され、4人1組で対戦するため、初対面でも自然と会話が生まれます」
認知症防止の脳トレとして、社会参加のコミュニケーションツールとして活用が拡大。高齢者らを対象にした「全国健康福祉祭(ねんりんピック)」や、文化の祭典と言われる 「国民文化祭」の正式種目にもなっています。
「かつてはギャンブルのイメージがありましたが、当方では『(お金を)賭けない・(お酒を)飲まない・(たばこを)吸わない』が3原則。女性や初心者も純粋にゲームに興じ、メンバーと交流を深めてもらえます」
牌がそろった時の喜び、負けた時の悔しさ、あと1枚来れば勝てる緊張感など喜怒哀楽を体験できるのが特徴。勝利そのものではなく、勝ち方自体にこだわる奥深さもあり、自分と向き合う時間にもなるそう。
「気軽にゲームや会話を楽しみたい方はサークル、ゼロから学びたい初心者、腕を試したい実力者は、教室や大会も行っている店舗がおすすめで、どちらもお一人で参加できます。アクティビティの一つとして取り入れたい高齢者施設やデイサービスの方もご相談ください」
#chapter2
津野さんは若かりし頃、社長になる夢を追いかけて上京。警備会社勤務や学習塾経営など多様な経験を積みますが、東京の生活に疲れて訪れた北海道でマージャンに出合います。
「ルールも知らなかったのですが、たまたま働いた場所がマージャン店で、店主が高齢だったことから店の運営を任されるようになりました。お店を法人化して実家に帰省した際、父から『そんな仕事はやめろ』と叱責されましたが、その言葉が逆に原動力になりました」
経営にいそしむ中、頭脳スポーツとして健全なマージャンを推奨する「日本健康麻将協会」に共感し、1998年に加盟。さらに2011年、「ねんりんぴっく熊本大会」で健康マージャンに取り組む熊本の男性と知り合います。大学教授を定年退職したばかりの方で、地産地消の雀卓を作って地域の活性化にも尽力し、新聞に取り上げられるほど注目を集めていました。
「彼に感銘を受け、2012年に『健康マージャン北海道』を立ち上げました」
地元で普及に努め、現在は津野さんの活動を視察に来る同業者も。日本健康麻将協会では理事を務め、北海道と東北地方を管轄。明治安田生命の協賛を得て各地域で教室も開講し、大勢の人が足を運んでいます。介護施設などでは仲間づくりや、高齢者の生きがい創出にも貢献しています。
「マージャンは性格がよく出るゲームです。うれしい時も悔しい時も、その反応に人となりが表れます。当方では言葉づかい態度などマナーも大切にし、皆さんが気持ちよくプレイできるように配慮しています」
#chapter3
「健康マージャンの裾野が女性を中心に広がり、特に最近は男性の参加者が増えていることに意義を見いだしています。会社勤めを終えた定年後、自宅に引きこもりがちな人も少なくないため、マージャンが外出の機会になり、地域の居場所づくりに寄与できれば幸いです」
マージャンはルールを覚えれば、年齢に関係なく一緒に卓を囲んで遊ぶことができます。親が仕事に出て、日中は子どもと高齢者で過ごす時間が多い地方の過疎地では、世代を超えたコミュニケーションツールにもなると津野さんは考えています。
「義父母の家にマージャン牌をプレゼントしたところ、義父が孫に教え始め、やがて家族全員で親しむようになりました。田舎では娯楽が少ないので大喜びでしたね。ゲームを通して、スマホばかり見ていた子どもとの会話も増えたと言います」
近年は、打ち手の戦略を練り、牌が出る確率などを検討する中で集中力や数学的思考力が養われ、周囲に気を配る礼儀が身に付くと、子どものマージャン教室も増えています。また、サッカーや野球などと同じように、麻雀プロ選手が活躍する競技として、チーム対抗戦「Mリーグ」なども開催されるように。俳優やアイドルのように有名人の雀士も増え、若い世代も目を向け始めています。
「祖父母・親・子の3世代で一緒に楽しめる頭脳スポーツとして、これからも健康マージャンの魅力を伝えていきたいですね。一緒に盛り上げてくれる講師やアシスタント、ボランティアもお待ちしています」
(取材年月:2025年3月)
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Profile
高齢者に生きがい&居場所を創出する健康マージャンのプロ
津野修プロ
健康マージャンの教室・サークル・大会の運営
NPO法人健康マージャン北海道
札幌で高齢者に向け、健康マージャンを普及。サークル・教室・大会を通じ、脳トレや地域のコミュニケーションの場を提供。「賭けない・飲まない・吸わない」を原則に、安心して参加できる環境づくりを心掛けている。
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