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在庫品や旧製品を価値に変え、障がい者に就労機会を提供するビジネスモデルを構築

企業の余剰品を買い取り、障がい者と共に仕分けして再販するプロ

宮田輝延

宮田輝延 みやたてるのぶ

#chapter1

余剰在庫を買い取り、障がい者らと仕分け・梱包してECモールで再販

 メーカーの半端品や卸業者の余剰在庫を買い取り、大手EC(電子商取引)モールで再販している「テムズ」の代表・宮田輝延さん。住宅設備、家電、自動車関連製品、金物、化粧品と、さまざまな品を扱っています。

 「他にも文具や時計など、可能な限り価値ある価格で購入するのが私の主義です。個人事業者にも大手企業にもご利用いただき、型落ち品、不ぞろいのセット品、ケースが傷付いたものも引き取っています。最近はブレーカーやスイッチなどの電材が不足気味のため、高額査定につながっています」

 最大の特長は、一般企業などに勤めるのが難しい人に労働の機会を提供する就労継続支援B型事業所を併設し、精神面に障がいを抱える人と一緒にビジネスを展開していること。

 「弊社は面談を通じ、一人一人の体力やメンタルの調子に配慮しながら業務内容や量を決めます。仕分け、梱包、帳簿付けなどのうち、どの作業を何時間なら担当できるのか、適材適所で任せられるのが強みです」

 さらに健常者を含む全国の個人事業主と提携し、自宅の空きスペースを活用してもらい同様の仕事を依頼。身支度、通勤、育児、職場の人間関係といった負担を軽減でき、体調不良時も休憩しやすいため人数も増加傾向にあると言います。

 「就労先として例えば工場を勧められるも、環境に適応できず長続きしない人が多いと聞きますが、弊社の条件であれば無理なく働けますよね。おかげさまで仕入れ先企業からは『在庫を買い取ってくれるだけでなく社会貢献できる』と評価され、他の支援事業所から能力の高い方を紹介されることもあります」

#chapter2

学生時代からネットビジネスを経験し、就労継続支援B型事業へ参画

 高校時代からネットオークションに親しんでいたという宮田さん。市場のリサーチに没頭し、大学生になると業界の会社経営者に出会って気に入られ、アルバイトに誘われます。

 「どんな業務も引き受けたことから、社長の信頼を得てネットショップの店長も任されました。仕事が楽しい上に自分のペースで取り組めて、従業員の採用も担当するようになりました」

 ネット通販の分野で経験を積んで28歳で独立。立ち上げた「テムズ」は恩のある前職と一線を画すため、イタリアのブランド品を扱う輸入ビジネスからスタートします。

 「現地でバッグや靴を買い付け、スーツケースいっぱいに入れて帰国していました。しかし頻繁な長距離移動に限界を感じ、国内での商売を考え始めました。新たな仕入れ先を探す中、大手家電量販店から相談を受けたことが転機になりました」

 聞けば同業の小売業者は人気製品のみを買い取る傾向にあり、宮田さんはあえて“売れないもの”も一緒に購入。次第に取引先も扱うアイテムの数も増えていきます。

 「多くの人に感謝され、自分の仕事をますます誇れるようになりました。そんな折、コンサルティング業務を請け負っていた物販業者からB型事業に参入してはと勧められ、他社との差別化につながると判断しました」

 障がい者と接し、気付いたのは高度な集中力。健常者が音を上げるような作業も根気よく続ける様子を見て、一人一人の強みを生かせば皆で成功できると確信し、当面は事業拡大を目指しています。

#chapter3

在宅で月10万円以上を得る人も。海外にも販路を増やし活躍の場を提供

 宮田さんにとって仕事の醍醐味は、企業と障がい者の支援を両立させた永続的な事業モデルを構築できること。「余剰在庫をすぐに現金化したい」「活躍できる場所を見つけたい」といった要望に応え、「数年前の製品を安く買いたい」など自社のECサイトを訪れる消費者も含め、誰もがメリットを享受できる仕組みづくりに注力したいと続けます。

 「通販事業において価格競争は不可避ですが、私たちはその勝負に執着する気は無く、社会的な役割も追求します。地方では求人が少なく、障がい者の働く場はさらに限られますが、私たちと共に頑張っている方は在宅ワークで月10万円以上の収入を得ています。現在は約40人に業務を委託しており、うち半数が在宅ワークです」

 中には取扱商品数や作業場所を確保しようと、集合住宅から戸建てに引っ越した人もいるそうで、自分らしい働き方で業容を拡大。宮田さんも、アジアやアメリカをはじめ海外市場への進出も図り、国内の在庫品を販売できるネットワークを拡張。改めて、困った時には頼ってほしいと企業と障がい者の双方に呼び掛けます。

 「これまで以上に多様な商材を扱えるようになり、支援できる業界も増えるでしょう。特に建築会社など、大量の受発注を繰り返し、旧製品と新製品の入れ替えに苦労している方々に弊社の存在を知ってほしいですね。業務量が増えれば、多くの障がい者に活躍の場を提供できます。ぜひ、“サステナブルなビジネス”に参画してほしいですね」

(取材年月:2024年12月)

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専門家プロフィール

宮田輝延

企業の余剰品を買い取り、障がい者と共に仕分けして再販するプロ

宮田輝延プロ

通販事業者

株式会社テムズ

メーカーや卸業者から旧製品などを買い取り、障がい者に仕分けや梱包を任せ、ECプラットフォームでアウトレット価格で再販売。商品の購入者も含めてメリットを享受できる、サステナブルな事業を手掛ける。

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