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スマート農業が普及するオランダの技術を取り入れた施設を設計・施工

先進地・オランダの技術を取り入れた農業施設の設計施工のプロ

北原陽介

北原陽介 きたはらようすけ
北原陽介 きたはらようすけ

#chapter1

温室、畜舎、格納庫などの建設工事で、農家の収量増加、省力化に貢献

 「農業を計画的に経営していくためには、天候に左右されない仕組みづくりが不可欠です。ICT(情報通信技術)などを生かしたスマート農業の導入をサポートすることで、収量増加や省力化につなげ、生産者の方々に微力ながら貢献していきます」

 こう話すのは、北海道北広島市の「リーフ」代表の北原陽介さん。野菜や果物、花き類などを栽培する農業施設の設計・施工を行っています。

 「当方で請け負うのは、温室や育苗施設、畜舎や堆肥舎、麦や米の乾燥室、トラクターなどを格納する倉庫とさまざま。地元北海道だけでなく、本州、四国、九州と各地からオファーをいただきます。大型案件も多く、中には工期が1年近くに及ぶものもあります」

 全国から引く手あまたの北原さん。一番の強みは、施設園芸の本場・オランダの高度なノウハウを備えていることだと言います。
 「オランダは国土が狭い分、ハウスなどの活用が盛んで、システムも進化しています。温度や湿度、日射量、施肥などを自動制御するスマート農業が日本よりも進んでいるんです。私どもは、こういった先進的な分野で知見を養い、日本ではまだ例が少ない新型設備を立ち上げてきました」

 依頼主の期待に応えるために、現場ではいつも真剣勝負で「従業員には自分の家を建てるのと同じ気持ちで取り組むよう徹底しています」と北原さん。
 リピーターも珍しくないそうで「『またリーフさんにお願いしたい』『これからもよろしくね』といった言葉を掛けられると、頑張ったかいがあったとうれしくなりますね」と笑顔を見せます。

#chapter2

軟弱な地盤に打ち込む「鋼管杭」の接続技術で特許を取得、工期短縮と工費削減を図る

 宮城県のとある町にある広大な農地。日の光を浴びてきらりと光る鉄骨製の三角屋根が、はるか遠くまで連なっています。北原さんのもとで開設したイチゴ用の温室で、広さはなんと約4万平方メートル。「規模が大きかったので、施工のために現地には半年以上通いました」と振り返ります。

 茨城県では、サンゴの砂礫を培地にすることで高糖度のミニトマトを多く収穫できる1万8000平方メートルの溶液栽培施設を完成させました。
 「日本で新しく開発された栽培技術と、オランダの環境制御システムを導入した施設です。苗木が整然と並ぶさまは、農園というより野菜工場といったイメージですね」

 北の大地を拠点に実績を積む中で、安全性の問題にも向き合い、軟弱な地盤で用いられる「鋼管杭」の接続に関する特許を2022年に取得しました。
 「釧路湿原に代表されるように、北海道の平野は過去に湿原だった場所が多く、泥炭と言われる地層で地盤が弱いんです。建物を建てる際は、基礎の下まで鋼管杭を打ち込み、耐震性を高める必要があります。私どもは、杭と建物の接合部分の技術を開発し、工期の短縮と工費の削減を図ることができるようになりました」

 北原さんは、一口に農業施設と言っても、立地や気候といった諸条件により、工法や資材は変わると強調。「積雪に対して効果的な対策を施した上で、本州で展開しているような大型の温室を北海道で実現できないかと思案しています。乗り越えるべき課題はありますが、夢は膨らみますね」と意欲的です。

北原陽介 きたはらようすけ

#chapter3

活躍の場は海外にも。南米・ボリビアでは樹木の育苗用温室のスーパーバイザーを担当

 組織を率い、これまで数々の要望に応えてきた北原さん。もともとはデザイナー志望で、札幌市立高等専門学校に進学しますが、才能にあふれる同級生たちの姿を目の当たりにし、方針転換。実家が営む園芸用花き類の農場を手伝いながら、いすやテーブルなどの製作に打ち込みます。

 「幼い頃から農業は身近な存在でしたので、すぐになじみました。当時から農業施設の施工に携わり、経験を重ねていくうちに仕事が面白くなって。いつしか家具よりも施設づくりに重心を置くようになりました。さらなる飛躍を目指すためにも、家業を離れることにしました」

 北原さんは、国外にも活躍の場を広げています。南米のボリビアでは、温室の建設工事で指揮をとるスーパーバイザーを担当。日本で培った技能を、地球の裏側の国で発揮しました。
 「ボリビアは、アマゾンの熱帯地域からアンデスの山岳地帯まで標高差の大きい国です。私が手掛けたのは、高地に生える樹木の苗木を育てる大学の研究用でした。航空機を乗り継いで約50時間の移動は大変でしたが、その分、やりがいがありましたね」

 海外の現場は、新型コロナウイルス感染症の影響で中断していましたが、2023年にはアフリカ南部の内陸国・ボツワナでもスーパーバイザーを務めることに。
 「今後は、海を越えて事業を拡大していくことも考えています。農業における建築の技術力を、国内だけでなく世界に発信していきたいですね」と力強く語ります。

(取材年月:2022年10月)

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北原陽介

先進地・オランダの技術を取り入れた農業施設の設計施工のプロ

北原陽介プロ

農業施設の設計施工

株式会社リーフ

施設園芸の本場・オランダのスマート農業を取り入れた施設を設計施工。農家の収量増加と省力化に貢献します。「鋼管杭」の接続に関する特許技術で、工期の短縮と工費の削減を図っています。

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