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知的財産にビジネス戦略の視点を加えた提案。経営のノウハウをもつ元銀行マン弁理士

ビジネスに生かせる特許・商標のプロ

信末孝之

信末孝之さん
じっくりと開発者の話を聞き取る信末さん

#chapter1

最終目的は「ビジネスの成功」。特許取得だけでなく、ビジネス戦略まで一緒に考える

 広島市中区八丁堀の三原・信末特許事務所で所長弁理士を務める信末孝之さん。2018年4月に、三原特許事務所と信末特許事務所が合併し、新たな形でスタートを切りました。
  「前身の三原特許事務所は1953年に開業した広島市内でも屈指の老舗特許事務所。長年に渡り多くのお客さまの案件を扱ってきた幅広い経験が蓄積されています。また2007年に開業した信末特許事務所では、知的財産にビジネスのアプローチを加えた提案を重視してきました。それぞれ特色の違う事務所が合併したことで、これまで以上にお客さまのニーズに応えられると考えています」と信末さん。
 弁理士の仕事は、知的財産の専門家として、特許や実用新案、意匠や商標に関する相談や出願のお手伝いをすることです。多くの弁理士がいる中で信末さんの強みは、ビジネス戦略の視点をもっていること。慶応義塾大学理工学部出身の元銀行マン(広島銀行で12年間勤務)というユニークな経歴を生かし、技術的なことはもちろん、ビジネス戦略の面からもアドバイスしています。「特許を取得すること自体が目的なのではなく、あくまでも最終目的はビジネスの成功。その技術をどう売り出すのか、販路や営業方法などについても細かく聞き取り、一緒に考える姿勢を大切にしています」。
 開発した商品を事務所に持ち込んだお客さまと、どの部分を特許申請するか2人で長時間話し合ったことも。「元々好きだった技術開発の分野を、弁理士として法の立場から保護し、銀行で培った経営のノウハウでビジネス戦略も考えることができる。これこそ、この仕事の醍醐味ですね」と優しく笑います。

#chapter2

特許や商標登録は「保険」のようなもの。ビジネスを継続・成功させるために必要であると考えてほしい

 近年事務所で扱うことが多いのは、店舗名や商品のネーミングの商標登録についての相談です。例えば、「こんな名前でお店をやろう」とビジネスを始め、それが定着し上手くいっていると思ったら、ある日突然トラブルになり、その名前が使えなくなる。せっかく認知されていたのに、また一からやり直し。看板や印刷物などを作り直すのにも大きなコストが掛かってしまう…。「ビジネスを継続的にやるつもりであれば、事前に商標登録をしておけばこのような事態も防ぐことができます。特許の取得もですが、権利を取得するのが目的ではなく、ビジネスを続けて成功するのが最終目的なんです。何かあった時のダメージが大きいからこそ、『特許や商標登録は保険のようなもの』『手遅れになる前に早めにご相談を』と皆さんにはお伝えするようにしています」と信末さんは言います。
 かつては権利を取得したり、そのことをお客さまから感謝されたりすることにやりがいを感じていたという信末さん。今はそれらに加え、トラブルを円満に解決し、ビジネスが継続できるよう力を尽くすことにもやりがいを見出しているそうです。

「いつかは同じ志を持つ仲間と仕事がしたい」と語る信末さん

#chapter3

一つ一つの仕事に真摯に向き合う。知的財産に関して気になることがあれば早めに相談を

 合併したことで、これまで経験したことのない案件やトラブルに接する機会が増えたという信末さん。「日々、新鮮な気持ちで仕事に取り組んでいます。新事務所ではこれまでの経験から積み上げてきた対応力を生かしつつ、新たな時代に即した知的財産に関するサービスも提供していきたいです」と言葉に力を込めます。
 現在事務所は弁理士2名とスタッフを含めて7名。「この仕事は権利の更新などでお客さまとのお付き合いも長くなります。今後は後進の育成にも力を入れて、人材の充実を図ります。また一つ一つの案件に対しても、より正確でスピーディーな対応を追求し、お客さまのニーズに応えていきたいと考えています」。
 信末さんは弁理士になってからも、山口大学大学院・技術経営研究科(MOT)で経営戦略を学び直すなど、常に真摯に仕事に向き合ってきました。お客さまに寄り添い、少しでも役に立ちたいという思いがその生き方にも表れています。「相談を受けて常に感じるのは、もっと早く相談してほしかった、ということ。知的財産に関して気になることがあれば、お早めにご相談ください」。トラブルになるその前に、信末さんに相談してみてはいかがでしょうか。(取材年月:2018年6月)

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