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相続分野に力を入れ、生前対策や事業承継など財産や思いを引き継ぐためサポート

弁護士として生前対策など相続問題を得意とするプロ

伊藤清

伊藤清 いとうきよし
伊藤清 いとうきよし

#chapter1

終活の入り口として、財産の残し方や家族への感謝などをつづる遺言書の作成を

 県庁にも程近い広島市の中心部で、主に相続分野の支援に注力している「いちじょう法律事務所」。相談に応じるのは二人のベテラン弁護士です。

 「私は約15年のキャリアで、もう一人はおよそ40年です。それぞれ真面目で淡々と仕事を進めながらも、義理人情に厚いタイプです。初回相談は無料なので、悩みや不安、憤りなど、心の中にたまっているものをどうぞ打ち明けてください」と、伊藤清さん。

 事務所名の「いちじょう」は「一本の丈」「一条の光」の意味。「依頼者のための一本の杖になれるように、依頼者に一筋の明かりを照らせるように」との思いが込められています。

 「相続に力を入れているのは、私が広島県弁護士会で高齢者の権利に関する委員会に所属し、社会福祉協議会などと連携するようになったからです。私たちも、擁護で接する方々と年齢が近くなってきたこともあり、共通する話題も多くて打ち解けやすい雰囲気が特長です」

 相続において特に重要なのは、親世代が元気なうちに子世代への財産の残し方などを決めておく生前対策。人生のエンディングを考える終活の入り口として、遺言書に興味を持つ人が多いと言います。

 「皆さん、認知症などへの不安から『自分がしっかりしているうちに作成しておこう』とお越しになります。遺言書は法的効力を持たせるだけでなく、付言事項に相続人への思いを記すことができるので、家業を継いだ息子の労をねぎらったり、献身的に支えてくれた娘に感謝の旨を伝えたりする方もいます。数文字の中に、各家族のドラマが見えてきますね」

#chapter2

相続登記の義務化に伴い、代々受け継いできた土地や建物は早めの対処が肝要

 2024年4月から、土地・建物といった不動産を引き継いだ際に名義変更する「相続登記」が義務化。正当な理由が無く期限内に手続きを怠った場合、10万円以下の過料を科せられる可能性もあるため、伊藤さんは「早めに確認、対処しましょう」と呼び掛けます。

 「やっかいなケースもあります。例えば祖父が建てた家を親が継ぎ、次に自分が住むことになったけれど『所有者が祖父のままだった』という場合。相続人は自分だけでなく、親のきょうだいやその子どもたちも含まれます。わが子に家を渡す際にもっと複雑化するので、今のうちに協議を進める方も増えています」

 状況に応じて、「家族信託」を提案することも。賃貸マンションやアパートを持っている場合、経営は子どもに任せ、家賃は自分の収入として得ることができます。また「長女の後は孫娘に物件を譲渡したい」など、遺言ではかなわない二世代先まで指定することができます。

 「他に『財産管理契約』もあります。お子さまや弁護士を指名し、不動産や預貯金の管理を委ねる仕組みで、高齢者施設に入る時も売却してもらえば入居費用に充てられます。判断能力が低下してから機能する任意後見制度もありますが、気力・体力が衰えた時点など、いつから利用するかは自由で、早い段階から自衛することができます」

 「一人で、あるいは家族で抱え込まず、まずは連絡してください」と伊藤さん。「相続人が誰なのか知りたい」「親族との話し合いを仕切ってほしい」といった依頼も引き受けています。

伊藤清 いとうきよし

#chapter3

遺言執行者として、不動産の登記変更をはじめ相続人の複雑な手続きを代行

 伊藤さんと共に遺言書を作り、さらに遺言執行者に指定すれば、内容に沿って不動産の登記変更なども一任できるとのこと。全ての相続人に必要書類を送って押印を求めたり、何度も法務局に足を運んだりと、面倒な手続きも代行します。

 また、遺言書が無ければ遺族で遺産の分け方を協議しますが「自分が最も多く受け取るべき」「土地よりもお金が欲しい」などと主張がぶつかり、折り合わないケースもしばしば。裁判にもつれると年単位で費用の負担も大きいため、手前で防ぐことが自分の役割だと考えています。

 「時に『全財産を長男に譲る』などと書かれた遺言書も目にします。しかし、これでは配偶者や他のきょうだいが何も受け取れません。最低限の取り分を保障する、遺留分侵害請求についてもアドバイスします」

 実家など空き家の扱いに困っている人には、全国ネットワークの不動産会社を紹介。税理士や司法書士、介護施設とも連携し、適切なサービスにつなげる点も伊藤さんの強みです。

 「事業承継もお手伝いします。子どもに会社を託したいけれど『社長業に息苦しさを感じやしないだろうか』、家業を継ぐつもりだけど『他に優秀な社員がいる中で自分に務まるだろうか』といった両者の思いを聞き、間に立って次の体制に移行できるようサポートしています」

 広島でも後継者不足に悩む中小企業は少なくないとのこと。中には希少で魅力的な事業を手掛ける会社もあり、「看板をしまう前に声をかけてほしい」と力を込めます。

(取材年月:2023年11月)

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伊藤清

弁護士として生前対策など相続問題を得意とするプロ

伊藤清プロ

弁護士

いちじょう法律事務所

弁護士歴約15年、相続関連の経験が豊富。依頼者との年齢も近いことから「共通の話題が多くて話しやすい」との声も多い。2024年度からの「相続登記の義務化」に伴い、遺言書の作成について対応実績も多数。

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