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「老後の問題を解決します」。少子高齢社会に新しい価値観を提案する司法書士・行政書士

後見人・遺言・尊厳死など老後のプロ

橋口貴志

橋口貴志さん
相談に訪れた高齢者の話にじっくり耳を傾ける橋口さん

#chapter1

最期まで自分らしく生きるために―。高齢者を受け入れ、支える「きらり」の誕生

 「現代の超少子高齢化社会では、これまで家族が行ってきた役割を社会が担う必要が出てきました。私たちは、高齢者が安心して最期まで自分らしく生きるためのお手伝いをいたします」と力強く言い切るのは、司法書士・行政書士の橋口貴志さん。老後に直面する後見人、連帯保証人、資産管理、遺言、尊厳死、葬儀…。数十年の長期にわたる生活上の問題をまるごと解決するために、一般社団法人「人生安心サポートセンターきらり」を創設しました。広島市中区基町、広島商工会議所ビル8階にある司法書士法人ありがとうの代表社員をしながら理事長を兼務しています。高齢者に対する総合的なサービスを提供する組織は、一般社団法人としては「きらり」が広島で初といいます。
 橋口さんは2001年、橋口司法書士事務所の開業以来、10年以上成年後見人として高齢者や障がい者の生活を支援し、死亡後の相続手続や遺言執行なども数多く手がけてきました。しかし、そこで成年後見制度の問題点に直面したのです。たとえば、家庭裁判所から法定後見人として橋口さんが選任された場合、本人の入院時や転居時の連帯保証人や身元引受人は別の人に頼まないといけません。また、法定後見人には医療行為に関する同意権がなく、尊厳死を実現することが困難です。本人が亡くなった場合も、法定後見人の権限がなくなるため、葬儀や遺産分割など死後のことを希望通りに実現することはできなくなります。「最後まで責任を持って、ひとりひとりと向き合いたい。もし私が倒れても、私の代わりに高齢者を受け入れて支えていく、信頼できる組織が欲しい」。「きらり」にはそんな強い思いが込められています。

#chapter2

総合的にサポートする、「きらり」の組織的ネットワーク

 「きらり」の理事・監事には、橋口さんをはじめ、弁護士、税理士、企業経営者などエキスパートが名を連ねます。監事による直接監査が定期的に行われるため、ニュースでよく取りざたされる後見人による横領事件等を防げれます。賛助会員には、医療機関、介護施設、リフォーム工事業者、清掃業者、葬儀事業者など高齢者の老後を支える団体や企業が数多く加入し、組織的な対応ができる体制を整えています。
 また、県庁や社会福祉協議会での経験が長い元公務員が、相談員として会員の相談に応じています。会員にも人気のこの相談員制度は、薬剤師や理学療法士など、各種の専門家にも登録をしてもらう予定とのことで、ますます組織の厚みが増していくことでしょう。「きらり」は、行政の行う福祉サービスと異なり、民間の会員制の組織として、公益性を求めつつ民間事業としてお客さまと対等な立場でサービスを提供し、広島の高齢者を支える組織となることを目標としています。
 会員制で、65歳以上、または65歳になる前から、相談や法的手続きなど必要な分野の支援を受けることができます。例えば、介護施設等の入居。身近に親類がいないため保証人を立てられない、といった場合も、「きらり」が代わって保証人を引き受けます。介護手続きから資産管理、葬儀や埋葬まで、あらかじめ専門家と一緒に方向性を決めておくことで悩みが解消されます。ある一人暮らしの男性会員は、入会直後に病に倒れました。入退院の手続きや保険申請など「きらり」が代わって行うことで、治療やリハビリに専念できたそうです。「自分は一人じゃないと思った」「多くの人が助けてくれたら、まだまだ生きなきゃいけないと感じた」。彼の話す一言一言に、橋口さんはこの上ないやりがいと胸に込み上げる熱い思いを感じたといいます。
 「きらり」では、“もしものとき”だけに重点を置いているわけではありません。会員が無料で参加することのできる週1回の相談会では、人生の終結にむかって、家族に遺しておきたいメッセージや、希望の葬儀方法などを綴っていくエンディングノート作りが盛況です。老いや死を悲しみとしてとらえるのではなく、自分らしい最期をデザインしていくことで、より生き生きと残りの人生を謳歌することができます。

まずは電話で気軽にお問い合わせください

#chapter3

高齢者みずからが、自分の足で立ち上がる場所

 まだまだ認知度も低いのが実情ですが、「このような仕組みづくりは社会全体で取り組むことが必要」と橋口さんは語気を強めます。定期的に行われている会員交流会では、会員以外の方も参加が可能です。市内の飲食店でお茶を楽しみながら、家族のことや健康づくりのことなど話に花が咲きます。また時には医師等を講師にむかえ、老後を健やかに過ごすための秘けつなど参考になる話を聞くこともできます。「会員さんが増えることで、そこに見えない絆が生まれる。絆が生まれることで、会員さん同士がサポートしあえるような場所になっていく。“きらり”は専門家が高齢者を支える組織というだけでなく、高齢者の方が、残りの人生のために自らの足で立ち上がる場所だと思うんです」。橋口さんの言葉に、力強く、豊かな広島の未来を垣間見る思いがしました。
(取材年月:2012年2月)

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橋口貴志

後見人・遺言・尊厳死など老後のプロ

橋口貴志プロ

司法書士

一般社団法人 人生サポートセンターきらり 司法書士法人 ありがとう

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