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Mybestpro Interview

地域の魅力と人から人への思いを込めて、手作りの甘いスイーツでつなぐ

人と人の思いをつなぎ、福を届けるお菓子づくりのプロ

森本真由美

プロフィール
正面

#chapter1

優しい味わいの看板商品「福まんじゅう」やブランド果実使用のご当地スイーツを製造販売

 「皆さまにたくさんの福がおとずれますように」
 
 広島市に製造工場を持つ「福々庵」では、創業時からの変わらぬ思いを込めて、一つ一つに「福」の文字を焼き付けた「福まんじゅう」を作り続けています。
 
 「おなかと心を満たすおやつにどうぞ」と話すのは、代表の森本真由美さん。モチモチ食感の生地と素朴な甘さ、気軽に手に取れる小ぶりのサイズはそのままに、「ありがとう」や「おめでとう」のメッセージを伝えるオリジナルの焼き印も用意しています。

 「校章のほかスポーツチームや企業のロゴマークといったお客さま独自の焼き印もお作りします。さまざまなシーンで『特別なお菓子』としてご利用いただけます」

 ほかに和菓子の材料・葛粉を使用した「シャリもち葛バー」は、“溶けないアイスキャンデー”とSNSでも注目を集め、宮島産の希少なはちみつを使った「宮島はちみつシリーズ」の焼き菓子も話題に。
 魅力的な商品を次々と生み出して地域を盛り上げると同時に、フードロス削減を目指す新しい試みも。

 「各地の特産品の中で、少しのキズや形がふぞろいのため出荷できなくなったブランド果実を使い、ご当地スイーツを開発、限られた道の駅でしか買えない“幻のお菓子”に生まれ変わらせました。また安田女子大学のゼミ生たちと共同でリサーチや試作を行い、アイデアを取り入れるなど、産学連携にも力を入れています」
 
 現在の場所への移転を機に、HACCP(ハサップ)仕様を視野に入れた工場を建設。衛生管理とスタッフの働きやすさにも留意した工場から、広島市内の土産物店ほかオンラインで各家庭へと笑顔を届けています。

#chapter2

「思いだけでは経営は成り立たない」と知り、魅力ある商品づくりをメインに原点回帰

 育ちざかりの子ども3人の子育てと、家計や家事を一手に担うようになった森本さんが、「わが子を含め地域の子どもたちを見守れる居場所を作りたい」とはじめたのが、JR西広島駅西側の約7坪ほどの手焼きまんじゅうのお店。

 「おこづかいで買えるように」1個50円の小さなおまんじゅうの優しい味わいと、森本さんの元気な声掛けに引き寄せられ、お年寄りや子育て中の親子が集い、夕方以降は小中高生が宿題をしたり、部活帰りに立ち寄る人気のスポットになりました。

 デパートの催事に出店するなど努力を重ね、2号店を開店するものの経営は悪化。「思いだけでは経営は成り立たない」と知り、創業店舗を閉めて卸売り一本にシフト。
 広島カープの焼き印でプロ野球ファンをつないだ「カープ福まんじゅう」のヒットもつかの間、2018年の西日本豪雨災害、コロナ禍と苦難が降りかかります。

 「苦境の中、長男から『原点に戻れ』のメッセージをもらったんです。仕事にかかりきりの私に反発して道を踏み外しかけた息子でしたが、懸命な姿を見てくれていたんだと思うと、覚悟が決まりました」

 「お客さまが喜ぶものづくり」を改めて自問し、かつてのチャレンジ魂を呼び起こして商品開発に没頭。学生との開発プロセスを大事に“アマビエ福まんじゅう”を2020年に発売しました。

 「商品にならない特産品を活用することで、フードロス削減と新たな魅力発見につなげることを意識しています。何より心掛けたのは、独自の物語がある商品づくりですね」

正面2

#chapter3

ご当地ならではの商品開発とSNS戦略、新しい挑戦が見せた創業当時のにぎわい

 「日本三景の一つ安芸の宮島は、観光スポットの対面に豊かな緑の山が座しています。この“神の島宮島”で限られた期間しか採取できない『宮島はちみつ』を使わせていただくことは、とても意義深いと考えています」

 宮島はちみつと広島県北部産のリンゴを掛け合わせた“ダブル広島”のご当地スイーツは、2025年3月の広島駅ビル「minamoa」グランドオープンの際に新商品としてデビュー。

 「商品を主役に」という森本さんの挑戦の根本にあるのは、「作りたいもの」ではなく「人々が求める商品を届けたい」との思い。
 「会社を大きくするより、志を同じくする人と力を合わせる『共創』に重きを置いていきたい」と語り、広島県内外に関わらず、特色ある商品づくりに悩む地域にヒントとなる支援の手を差し伸べます。

 商品の知名度を上げる手法も、実演販売からSNSへ。
 「高齢者施設の声を参考に工夫を重ねた『夏場に冷たくて、口当たりの優しい新感覚アイスキャンデー』は、インスタグラム投稿を買って出た長女のおかげで若者の間でバズり、催事では実物を目にした子どもたちが群がる様子も見られました。まるで創業当時のにぎわいが戻ったようなうれしい風景でしたね」

 学生の頃、散々手伝わせた長女は、「海外進出も夢じゃない」と言い放ち、世界へのチャレンジにも背中を押してくれているそう。 
 
 どの場面にも明るく真摯(しんし)に取り組んできた森本さん。その手から生み出された「福」は、子どもたちにもスタッフにも、口にする全ての人にも届けられているようです。

(取材年月:2025年3月)

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専門家プロフィール

森本真由美

人と人の思いをつなぎ、福を届けるお菓子づくりのプロ

森本真由美プロ

菓子製造・販売

株式会社福々庵

「福」を届ける素朴な味わいの福まんじゅうを看板商品に、作るプロセスやお客さまのニーズを大事に、その土地ならではの特産物を使用するなど、地域ならではの特徴や傾向をストーリーを込めた商品づくりに努める

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