本格的なお茶事を一貫して教える茶道のプロ
田部井宗松
Mybestpro Interview
本格的なお茶事を一貫して教える茶道のプロ
田部井宗松
#chapter1
「茶道に触れることで、日本の伝統文化を学びながら礼儀作法やおもてなしの心を育むことができます」と話すのは、裏千家の準教授で、茶道教室「松風会」を主宰する田部井宗松さん。
群馬県太田市内に、テーブル席で椅子に腰をかける立礼席の「呑龍」と、畳敷きで床の間と炉をしつらえた桝床席の「松風庵」、二つの稽古場を運営。各種コースがあり、30代から60代まで幅広い年齢層の生徒が通っています。
「特に人気があるのは、初心者向けの茶道入門10回コースです。茶器などを清めるふくさや茶巾の扱い方といった基本動作から、必要な道具を丸盆にそろえてお茶をたてる盆略点前までを伝授し、最終会にはミニ茶会を開き、修了証を授与します。お茶事を一貫して習えるのが特徴で、ほとんどの方がコースを終えた後、入門されています」
茶事は本来、和菓子やお茶を出すだけではなく、亭主が親しい人を招き、懐石料理などを4時間ほどかけて振る舞う一連の流れを指します。田部井さんは、本格的な茶事をフルコースで教えています。
「茶道においては、客人を細やかに気遣う、おもてなしの心を理解することが大切です。たまわる側も、掛け軸や花入れなど随所に凝らされた趣向に一礼して拝見し、お料理やお茶を丁寧にいただく心得を持つことが肝要です。亭主も客人も、双方に相手を思いやる心があって初めて成り立つものだとお伝えしています」
着物の合わせにふくさなどを入れる懐中の手順を覚えられるよう、普段着に着用できるベストを案内し、道具は無償でレンタル。用事がある時は、稽古の振替も受け付けています。
#chapter2
かねてより、華道や武道といった何か「道」を極めたいと志を立てていた田部井さん。車に乗っていたとき、たまたま目にしたのが茶道教室の看板でした。
「すぐに電話して、29歳のとき茶の湯の門をたたきました。修行するうちに、なぜ戦国武将たちは4畳半ほどの小さな空間に魅せられ、時間を費やしたのだろうと興味を持つようになりました」
極限まで無駄を省く「わび茶」を大成させた茶人・千利休を祖とする三千家の一つ、裏千家に入門。修練を重ね、歴代家元の一字をもらう茶名として宗松の名前を受け、学校茶道教授者の許状を取得。2023年に、自身で教室を開く決意をします。
「私の先生が高齢になり教える人がいなくなってしまったので、師の後を継ごうと考えるようになりました。良いものを多くの人に知ってほしいという気持ちもありました」
設備や道具をそろえる必要があるため、自分で教室を開く人は少ないそうで、生徒がいない状態からのスタートは、少し不安だったと田部井さんは振り返ります。
「まずはホームページを作って情報発信しました。最初の生徒さんが入会してくださったときはうれしかったのと同時に、弟子ができたという責任を感じました。しっかりと育てて、最低でもお茶名を取らせてあげたいと思っています」
現在松風会に通っている生徒は、全員が茶道未経験。田部井さんのもとで先人の美意識が息づく茶事を体感し、「日本人に生まれてきて良かった」と日本文化の奥深さや魅力を実感しています。
#chapter3
田部井さんは、過去に他流派をたしなんでいた人も気軽に参加できる、全2回の体験コースも用意。立礼席の「呑龍」教室は、友人らと一緒に茶事を楽しめるよう貸し出し、茶道の門戸を広げるべく新たな稽古場も計画しています。
「縁があって手に入れた100坪の平屋を改築し、庭も整備しています。名工が手掛けた釜を使った茶会など、さまざまな体験ができる場として活用し、私の茶人としての集大成になればと考えています。松風会の生徒さんには茶の道の奥義を伝え、私のように教える立場の人間を育てていきたいとも思っています」
点前について前八ケ条と後八ケ条、十六ケ条を習得する小習や、許状を申請できる引次をプログラムにした門下生コースや、入門している人が子どもと一緒に稽古できる親子コースも展開。茶道具の出し方、しまい方などを解説する水屋稽古コース、茶席に招待された際の服装や持ち物、あいさつの仕方や所作を手ほどきする男性基礎コースも開催する田部井さん。
「晴れの日に着物を着るように、要所要所でもいいから連綿と続く営みを残していかなければ、いつかは失われてしまうかもしれない」と危惧し、日本文化を継承していくことを目標に掲げています。
「茶道は礼を尽くし、一服の茶を通じてもてなす側ともてなされる側が心を通わせ、清らかに敬い合う和敬静寂の精神や、自然のありさまをめでる美学から成る総合芸術です。日本人の誇りとして多くの人に知ってもらい、後世に引き継いでいきたいですね」
(取材年月:2025年1月)
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Profile
本格的なお茶事を一貫して教える茶道のプロ
田部井宗松プロ
裏千家準教授(学校茶道指導者)
松風会
茶道裏千家の学校茶道教授者が指導する茶道教室。お茶事からおもてなしまで幅広く体験でき、形式だけでなく、日本独自の礼儀作法やおもてなしの心も深く学べます。
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