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金属パイプを自在に、精密に加工し、人々の安全を支える

金属パイプ加工をワンストップで引き受けるプロ

古川仁章

古川仁章 ふるかわとよふみ
古川仁章 ふるかわとよふみ

#chapter1

パイプの切断、端末加工、曲げ、炉中ろう付け、組み立てをはじめ、パーツ調達にワンストップで対応

 自動車や重機などの製造に欠かせない金属パイプの加工を得意とする「MATSUMURA」の4代目代表・古川仁章さん。図面を基に協力会社と連携し、顧客が求めるパーツをワンストップで製作しています。

 「前身の『松村機械製作所』は1967年の創業で、長年にわたりパイプ加工の専用機を世界中に送り出してきました。手前みそですが素晴らしく頑丈で、先日もインドのあるCEO(最高経営責任者)と話した際に『あの“マツムラ”の流れをくむ会社ですか。御社から30年前に購入したマシンは今も現役で動いています』と感動されました。しかし、堅牢さゆえに販売台数が伸び悩み、ビジネスの路線を切り替えました」

 現在はパイプ加工に特化。鉄やステンレスをはじめ、さまざまな直径・板厚の金属管を「指定の長さに切断する」「断面を滑らかに仕上げる」「先端部分を膨らませたり狭めたりする」といった対応が可能。出来上がったパイプを曲げたり、他の部品とのAssyにも応じています。

 「パイプ同士を接合させる『炉中ろう付け』もお任せください。また、電気自動車(EV)や水素燃料電池車(FCV)用のステンレス管をろう付けする水素炉も導入しています。当社は品質が厳しいことで知られる自動車業界のお客さまと40年以上にわたり取引してきたこともあり、技術に自信があります。さらに近年は、建設機械や農機、船舶のメーカーからも依頼を受けるなど幅広い分野に進出しています

 試作、小ロット生産、量産、納期の調整も相談可能。多様なニーズに応え、“ものづくり”の愉しさを、顧客、従業員と共有できるのが強みだと語ります。

#chapter2

故郷を離れ、自社ひと筋で30年以上。創業者に恩返しするため社長に就任

 古川さんは社会に出てから「MATSUMURA」ひと筋。かつて出身の宮崎にあった自社工場を見学したことが入社のきっかけです。

 「若さもあり『家から自転車で通えるし、パイプを機械にセットするだけの簡単な仕事』と軽い気持ちで就職しました。実際は品質検査の高度な知識や技術が必要で、当初は何もできず本当に苦労しました。研修で出向いた群馬本社では、小言の多い年配スタッフがいてよく衝突していましたが、入社式で創業者だと知り、開いた口がふさがらなくなったこともあります」

 やがて“ものづくり”の面白さに目覚め心機一転。朝6時から20時半まで働き、土曜も出勤していたと言います。

 「宮崎の方言が抜けず黙々と働き、おかげで誰よりも早く仕事を覚え、半年もすると一定の工程を任されるようになりました。『もう一年だけ本社にいてほしい』という要請に応じる間に宮崎工場が閉鎖され、故郷には戻れなくなりました。群馬に来て30年以上が経ち、今ではここが地元になりました」

 先代の急逝に伴い、最も社歴の長い古川さんが次期経営者として社内外から期待されるように。周囲への恩返しも込め、会社を引き継ぐことを決めます。

 「社長に就任してからは会社のブランディングに注力してきました。中でも『パイプ加工の機械を造っていた企業から、あらゆるパイプを加工できる集団に生まれ変わった』と積極的にアピールしています。群馬の皆さんにとってはまだ従来の印象が強いので、打破することが目標です」

古川仁章 ふるかわとよふみ

#chapter3

自動車業界を中心に提携先に困ったら連絡を。加工技術でキャンプ用品も開発

 最も顧客が多い自動車業界は100年に1度の変革期と言われ、電動化が加速。部品の製造業者も厳しい現状に直面し、事業承継できない経営者も少なくないと話します。

 「パイプ加工を任せていた会社が廃業し、提携先が見つからないという相談も多いです。専用の設備を導入しようにも数千万円を要し、共倒れするケースも耳にします。お困りの際は当社が力になりますので、ぜひ連絡してほしいですね。先日も千葉まで出向いてお客さまの話を伺い、一緒に対応策を練っているところです」

 従業員を大切にし、仕事と育児や介護の両立、女性活躍、従業員のワーク・ライフ・バランスの実現に取り組む事業所が認証される「群馬県いきいきGカンパニー」にも選出。より上位の「ゴールド認証」で知事から表彰されています。

 「社会人女子サッカーチームのアシスタントパートナーも務め、選手の就労機会を創出しています。ちなみに入社の時点で“やる気”は不要です。意欲は、仕事を覚え、人を喜ばせてから向上すると考えています。それよりも、気持ちよくあいさつができることを大切にしています」

 重要保安部品を手掛ける上で“ひとづくり”も指標に掲げる古川さん。安全に走行する自動車を見るたびに“当たり前”を支える自社を誇りに思うと続けます。

 「近年はパイプ加工技術を応用し、キャンプ用品の開発にも着手していきたいと語ります。いざという時、使えるアイテムを創造出来たら、普及を手伝えればと考えています。同じ思いの方々とコラボレートしたいですね」

(取材年月:2025年2月)

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専門家プロフィール

古川仁章

金属パイプ加工をワンストップで引き受けるプロ

古川仁章プロ

パイプ加工業

株式会社MATSUMURA

自動車や建設機械、農機等に欠かせない金属パイプの加工に特化。切断、面取り、パイプと金具の多点・大量ろう付け「炉中ろう付け」などに対応し、水素炉によるステンレスパイプのろう付け生産も可能。

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