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45年以上グラフィック制作に携わり、“一点物”のデザインでクライアントの思いを具現化

クライアントの思いを具現化するグラフィックデザインのプロ

岸田馨

岸田馨 きしだかおる

#chapter1

紙媒体からWEB、プロダクト、パッケージ、空間まで幅広くデザイン

 群馬県安中市を拠点に、45年以上グラフィック制作に従事してきた「岸田デザインオフィス」の岸田馨さん。デザイナーとして、カタログやポスターといった紙媒体からWEB、プロダクトやパッケージ、空間演出まで幅広く手掛けています。

 「昨今はアプリなどで簡単に画像やテキストをレイアウトできますが、当方は安易なテンプレートや流行には頼らず、オリジナルにこだわっています。常にゼロから組み立て、その企業、商品・サービスならではの魅力や強みを描く“一点物”を追求しています」

 手描きからコンピューターを使ったDTPへ制作手段は変わっても、「自分の目で見て、手を動かす」という基本姿勢は変わらず、職人のごとく細部まで技巧を凝らす岸田さん。

 人材を束ねて統率するディレクション力も備え、各分野のクリエイターと連携して企画の骨格づくりから撮影・コピー・デザインまでを構成。ヒアリングを起点にクライアントの思いやメッセージを引き出し、軌道修正を図りながらコンセプトを策定し、一貫性のある世界観にまとめ上げます。

 商材のブランド力を高めるにあたり、クライアントが言葉にしきれない「違和感」や「もやもや」とも丁寧に向き合います。
 「“こうしたい”が明確でなく、漠然と“今のままでは伝わらない”と感じて相談に来られる方も多いですが、それでいいんですよ」

 声なき声をすくい上げ、具現化する力もまた、岸田さんが長年にわたり信頼を集める理由のひとつ。10年、20年と継続して広告、販促物を託す企業も多く、中にはオフィス設立以来、付き合いのあるクライアントもいると言います。

#chapter2

企業の理念やビジョンを視覚的に表現するVI設計も手掛け、認知拡大

 岸田さんは、企業や団体が大事にしている理念や、成し遂げたいビジョンを視覚表現に落とし込むVI(ビジュアル・アイデンティティ)の計画にも数多く携わってきました。

 創業時にロゴや印刷物の制作を請け負ったのを機に、イメージ戦略のパートナーとして伴走。企業の存在意義を広く認知させるブランディングや、時流に沿ったブラッシュアップを任されることも少なくないと言います。

 「ロゴなどは視認性に優れ、記憶に刻んでもらうとともに、あえて余白を設けたり、抽象的なシンボルにしたり。正解をきれいに描くのではなく、見る人が“考えるきっかけ”を持てるような仕掛けを意識しています。文字の書体、色、線の強弱に至るまで意味を込めています」

 ある結婚式場からの依頼では、「時代遅れの印象で集客ができない」という課題に対し、ロゴ、キャッチコピー、パンフレット、空間までトータルにプランニング。ビジュアルの統一とイメージの刷新を通じて、経営破綻寸前から再び晴れの日に選ばれる場へと生まれ変わらせました。

 また、群馬県のプロジェクトで取り組んだ「ハートフル瓦」では、屋根材以外の可能性を見直し、「壁材としても生かせないか?」という視点から形状や色、見せ方を再構築。伝統的な建材に新たな用途と価値をもたらす提案として注目を集めました。

 「ただ見た目を整えるのではなく、伝えたいことの“芯”を見つけ、的確に訴求するため構造から作り上げていく。自分にとっては、それがデザインです」

#chapter3

クライアント“らしさ”を打ち出すため、唯一無二の表現を目指す

 1980年に始業し、豊富な実績を築いてきた岸田さん。「お客さまや仲間に恵まれ、運がよかった」と笑顔を見せます。

 「年齢を重ね、この先もし入院するようなことがあっても、病院にパソコンを持ち込んでデザインしているでしょうね。誰かにやらされているわけじゃなく、好きでやっている仕事ですから」

 自分の感性と直感を信じ、気負わず自然体で歩んできた道のりを振り返り、創作に励む若い世代に向けてアドバイスを送ります。
「“こうあるべき”にとらわれず、好きなことをやればいい。必ず誰かが見ています」

 イラストも得意とし、水彩画のような淡いタッチや現代的でポップなテイスト、ディテールまで精緻に仕上げる細密画など、多彩な作風を展開。飲食や物販など、さまざまな業種の多様なオーダーに応えてきた今も岸田さんの探求心は衰えることなく、独自の表現を模索しています。

 「例えば陶芸。全くの素人ですが、立体的な造形や土の質感などに触れることで、自分の中のイマジネーションが広がるんじゃないかと感じます」

 未知の世界に飛び込む好奇心と、自らのスキルを高める情熱を持ち続ける岸田さん。クライアントだけが持つ個性、それぞれの“らしさ”を打ち出すため、唯一無二の表現を目指します。

 「“こうしなきゃ”じゃなく、“こうしたい”で動ける人が増えれば、もっと面白い社会になるのではないかと考えています。お客さまの要望をつかみ、柔軟な発想で理想を形にするお手伝いがしたいですね」

(取材年月:2025年7月)

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岸田馨

クライアントの思いを具現化するグラフィックデザインのプロ

岸田馨プロ

グラフィックデザイナー

岸田デザインオフィス

ロゴや印刷物、配色や書体に至るまで、ブランドの印象を視覚的に統一・設計する仕事を数多く手掛ける。企業の“らしさ”や理念を掘り下げ、見る人に伝わるブランド表現へと導くことを得意としています。

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