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古き良きたたずまいを生かした「ヴィンテージリノベーション」で住まいを再生

住宅の価値を高めるヴィンテージリノベーションのプロ

齊藤和義

齊藤和義 さいとうかずよし
齊藤和義 さいとうかずよし

#chapter1

アンティークやヴィンテージとして古い木の部材を生かし、費用を抑え人に優しい住空間をデザイン

 「自然素材である木の柱や梁(はり)には表情があり、年月を経るごとに味わいを増します。建て替えに近いリフォームが増えていますが、住まいが重ねてきた歴史を伝えるリノベーションの魅力を知っていただきたいですね」

 そう語るのは、群馬県高崎市の「ReLIFE」の代表取締役で建築家の齊藤和義さん。自社ブランド事業「リノベTakasaki」を展開し、既存住宅の価値を高める「ヴィンテージリノベーション」をテーマに家づくりをしています。

 「リフォームは改善・改良という意味があり、住宅を新築のような状態に『戻す』イメージ。一方、リノベーションは修復・刷新という意味で、付加価値を『高める』住宅再生だと考えています」

 建物の劣化状況を調べるインスペクションからプランニング、再生工事、引き渡しまでワンストップで手掛ける齊藤さん。人件費や資材費が高騰している昨今、どこまで手を入れるかを慎重に見極めます。

 「必要以上に壊しすぎず、生かすことで個性が際立ち、さらにコストを抑えることができます。住宅にお金をかけ過ぎず、家族旅行やお子さまの教育など、バランスよくお金を使ってほしいんです」

 暑さ、寒さを和らげる断熱性、地震に備える耐震性を強化し、家族や友人らが安心して集える広々としたリビング・ダイニングを設けたり、段差のないバリアフリーな床にしたり、暮らしやすさも熟考。レトロなガラスが使われた格好戸、障子といった建具も活用して、洗練された住空間をデザインします。

 「昭和の家が持つ、どこか懐かしい雰囲気が好きなんです。古き良きもの生かし、人に優しい住まいをかなえることが目標です」

#chapter2

依頼主の困りごとをくみ取り、地域や生活に寄り添った家づくりを提案

 齊藤さんは大手不動産会社のリフォーム事業部に20年以上にわたって勤務し、200棟以上の物件を担当してきました。「お客さまが何を求めているかを理解しようとする」姿勢で顧客の支持を獲得。営業成績が全国4位になったこともあります。

 「決して社交的ではない私が、多くのお客さまと出会うことができたのは、親から『相手に対する気遣い』を持つように育てられたからかもしれません。お客さまの話にじっくりと耳を傾けて言葉の裏にある真意をくみ取り、どんな困りごとがあるかを読み取ることを心掛けています」

 例えば「ここに棚が欲しい」とオーダーされた時に、「なぜそこに必要で」「何を置きたいのか」という理由や目的にまで思いを巡らせます。

 「棚のサイズを聞くだけのヒアリングは避けたいです。朝起きてからのルーティン、お仕事や趣味、お子さんの習い事や部活、実家はどちら?と、さまざまな会話をする中でキーワードを拾い上げていくと、お客さまが本当に望んでいることが見えくるんです。欲しいのは棚ではなく、収納スペースだったということもあります」

 景観や気候風土など家には地域性があり、家族ごとにライフスタイルも異なります。生活する人の意思を尊重して、ともに作り上げるスタイルを大事にしています。

 「要望を伺い、構造や動線、通風や採光といったハード面をご提案するのが私の役目。意見を押し付けるのではなく、納得を得ながら丁寧に寄り添うことで、ご満足いただける家づくりを目指しています」

齊藤和義 さいとうかずよし

#chapter3

建築家仲間で移住者の中古住宅選びをサポートするネットワークを結成

 齊藤さんが建築士という職業を意識したのは、中学生の時に実家の増築工事をした時です。
 「魔法のように1階建てが2階建てになる様子を飽きもせず見ていました。トンカントンカンと木をたたく音が心地よく、今でも大好きです。建築って面白いなという気持ちに導かれて建築士になりました」

 築年数が100年を超える古民家再生にも意欲的に取り組む中で、ちょっと苦い忘れられないエピソードも。
 「木の風合いを大切にするお客さまのお宅で、ほとんど無垢材で仕上げましたが、安全面で一カ所だけ階段の手すりにメーカーの既製品を使ったんです。『きれいな手すりではなく、味がある木の方が良かったなぁ』と正直に感想を言ってくださり反省しました。今でもお付き合いが続いていて、人生についても学ばせていただいています」

 また、地域の活性化に力を入れる齊藤さんは、高崎市周辺に移住する人たちの中古住宅選びもサポートしています。
「建物の劣化調査や設計の知識をもとに、雨水が建物に影響を与えないか屋根の水仕舞いを見たり、土台の水平具合を測定したり。購入前に不具合がないかを確認し、物件の良し悪しを適切に判断ができるようにアドバイスします」

 関東甲信越で志を同じくする建築家と「R-NET(アールネット)」というネットワークも結成。幅広いエリアで対応できる体制を整えています。

 「社名の『ReLIFE』は、『Re』リノベーションをきっかけに生活環境を改善し、『LIFE』人生を豊かに過ごせるようにサポートしたいという意味を込めています。快適な住まいでリフレッシュしていただき、心豊かに過ごせるお手伝いをしていきたいですね」

(取材年月:2024年7月)

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専門家プロフィール

齊藤和義

住宅の価値を高めるヴィンテージリノベーションのプロ

齊藤和義プロ

建築士

株式会社 ReLIFE

約200棟以上の住宅再生に携わった経験を生かし、柱や梁、屋根などをそのまま使いコストを抑えるリノベーションを手掛ける。中でも古い家の魅力と現代生活に合う構造が融合したヴィンテージリノベーションが人気。

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