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イメージを形にし、着心地の良い服をかなえるため、細部まで考え抜いたパターンを提案

パターン製作から小ロット量産まで手掛ける洋服づくりのプロ

中村浩之

中村浩之 なかむらひろゆき

#chapter1

パターンの作成、マーキング、グレーディングを一貫し、多様なアイテムに対応

 「1枚の布を、美しいシルエットの服へ仕立てる上で欠かせないのが設計図です。お客さまのイメージを形にするため、細部まで考え抜いて製図します」と語るのは、岐阜市に本拠を構える「ソシエ」の代表・中村浩之さん。

 パターン(型紙)の作成から、生地上にパターンを効率よく配置して生地量を計算するマーキング、標準寸法のパターンをもとに大小のサイズを展開するグレーディングまで一貫。自社に工場を併設し、サンプルや小ロットの生産を請け負っています。

 「理想の柄合わせやドレープ感、着心地の良さもかなえるため、CADを用いて立体的にシミュレーションします。また、実際に着用した際のバランスやフィット感などを調整するため、ボディに着せて仮縫いした試作品をご確認いただき完成度を高めています」

 パタンナーとして40年以上の経験値を持つ中村さん。素材の特徴を熟知し、縫い代の収まりや体のラインを踏まえて1本ずつ丁寧に線を引いていきます。

 「Tシャツやワイシャツ、パーカー、トレーナー、コートにズボン、帽子と幅広いアイテムに対応しています。基本的に女性の下着以外であれば承ります」

 メンズ、レディース、キッズ、フォーマルやスポーツウエア、作業服、医療服などジャンルも多彩。アパレルメーカーやファッションデザイナーのほか、オリジナルの洋服を作りたい個人・法人の依頼も受けています。

 「簡単なラフスケッチでも思い描く一着を具現化します。最近ではアニメなどテーマに沿ったコンセプトカフェの制服を製作しました。具体案が定まっていなくても気軽にお声がけください」

#chapter2

パタンナーとして経験を積んで独立し、レスキュー隊のユニホームも製作

 中村さんは1957年に富山県高岡市で生まれました。生後すぐに岐阜県稲葉郡長良村(現・岐阜市)へ移り住みますが、伊勢湾台風によって自宅が損傷して以降は茜部村で暮らしました。地元の高校から芸術大学に進学し、グラフィックデザインを学ぶ中で、次第に服づくりの分野に興味が湧きます。

 「平らな布から立体の洋服が出来上がる過程が魅力的に思えたのです。服飾の専門学校へ入り直し、卒業後は岐阜市にあるアパレルメーカーへ就職しました」

 パターンの製作に携わり、1年程度勤務した後、市内にあるアパレル企画の会社へ転職。パタンナーとして10年間修業し、知人と2人で独立を果たします。その後いったん会社を退職、中村さんは1995年に「ソシエ」を立ち上げ、再出発を図ります。

 「創業当時は昼夜を問わず働いていました。朝まで作業をして、一度シャワーを浴びに帰ってまた会社に戻る目まぐるしい日々でしたが、苦しいとは思いませんでした。お客さまの期待に添いたい気持ちがありましたし、何より好きな仕事だから続けられたんでしょうね」

 これまで数多くの洋服を手掛けてきた中村さん。特に印象に残っているのが、レスキュー隊のユニホームです。

 「防火性や耐久性が高いアラミドという生地を使うのですが、加工が難しい側面がありました。救護の現場では動きやすさを追及する必要があり、何度も試作を重ねました。可動性も兼ね備え、無事に完成した時は社会のお役に立てることもあり、うれしかったですね」

#chapter3

以前に上海にオフィスを持ち、OEMをサポート

 中村さんのもとでは、委託を受けて他社のブランド製品を製造するOEMもサポート。パターン以外に、縫製方法や注意点を図解で分かりやすく示した仕様書などを作成。以前に上海にもオフィスがあり、現地工場を手配し、コストやロットに合わせた生産方法を提案していました

 「ネットワークを活用して、トレンドを反映した商品の企画、製造を担ったり、大量の品物を検品・修整したり。『アイデアはあるのでトータルで任せたい』『試作品だけ作ってほしい』といった相談にも、柔軟に応えていきたいと考えています」

 打ち合わせを通じて、仕上がりを細やかにすり合わせる中村さん。「着用するシチュエーションに合わせて型紙を選んでほしい」という声にも寄り添います。

 「年齢や好み、結婚式や入学・卒業式など、どんな場面で着るのかをお知らせいただければ、シーンやテイストに応じたものをご案内します。初めてアパレル品を作るお客さまも当方がお手伝いしますので、ご要望をお聞かせください」

(取材年月:2025年11月)

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専門家プロフィール

中村浩之

パターン製作から小ロット量産まで手掛ける洋服づくりのプロ

中村浩之プロ

パタンナー

有限会社ソシエ

パタンナーとして45年の経験を持つ。パターン製作に加え、洋服の試作から小ロットの量産まで幅広く対応。曖昧な要望でも、素材の特徴を踏まえながら希望通りの形へ導き、「つくりたい服」を実現する

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