楽しみながら着実な技術習得を目指すピアノ指導のプロ八巻和也

楽しみながら着実な技術習得を目指すピアノ指導のプロ

八巻和也

幼児から大人まで幅広い世代を対象に、具体的な指導とスモールステップで進めるレッスンを展開

　「ピアノや音楽を好きになってもらえるよう、常に明るく楽しい雰囲気を心掛けています」と話すのは、「ピアノ教室おんがくのじかん」を主宰する八巻和也さん。幼児から大人まで幅広い世代を迎え入れています。

　「レッスン時間は30分が平均とも言われますが、当方では、学生さんは小学校の授業と同じ45分、大人の方は60分が基本です。個々の生徒さんに、いま必要なものは何かを見極め、やるべきことを丁寧にレクチャーしています」

　特に小さなお子さんは、飽きないように音符カードを使ったり、リズム活動をしたり。音楽の基礎である“ソルフェージュ”も、遊び感覚で楽しみながら学んでいます。他に、パズルを組み立てるような感覚で、1小節ずつ丁寧に仕上げていく工夫も。

　「ご家庭での練習を促す際も、『何をすればいいか分からない』とならないよう『あなたはこの曲のここが苦手だから、こういう練習をこれくらいやってみてね』と具体的に伝えています」と八巻さん。保護者からは、「子どもが迷わずに練習するようになった」「自発的にピアノを弾くようになった」などの声が寄せられているとか。

　「いきなり大きな目標を掲げるのではなく、小さい単位で進める『スモールステップ』を大事にしています。少しずつであっても着実に成長することが大切で、できるようになったらきちんと褒める。成功体験を重ねることで意欲もわいて、成果につながります」

　生徒がコンクールの地区大会を突破できるようになったり、希望する大学の音楽系コースに合格したり、実績を重ねています。

声楽家らと一緒に作品の世界観を描く「共演ピアニスト」としても活躍中

　5歳からピアノを始めたという八巻さん。熱しやすく冷めやすい性格なのに、なぜかピアノには強く心をひかれたと振り返ります。

　大学・大学院では音楽を総合的に学び、ピアノの演奏技術や表現力を磨きました。そんな今、教室運営と並行して力を注いでいるのが「ピアノ共演」です。
　「一般には伴奏と呼ばれますが、単に主奏部に合わせて弾くのではなく、『あなたの音楽と私の音楽で、よりよい音楽を目指しましょう』というニュアンスが感じられる『共演』という言葉が好きで、よく使っています」

　中でも、得意としているのが声楽との共演。2019年に、第6回ピアノ声楽伴奏コンクールで、ヴェニスミュージックアカデミー賞を受賞したことを機に、より一層素晴らしい作品を届けていきたいと、志がさらに高まったと言います。

　「自身が主役となるソロピアニストと異なるのは、共演ピアニストには、演奏技術に加えて協調性や共感性などが求められる点でしょうか」

　細やかに寄り添う姿から、ステージを共にした人からは「八巻さんが紡ぐ音は柔らかく、歌心がある」と評され、励みになっているそう。

　「私自身、伴奏をしていて、歌手の方がのびのびと歌っているのが分かるととてもうれしいです。その結果として、コンクールやコンサートでよい評価や反応をいただくと、共演者ならではの感動はもちろん、達成感も分かち合うことができます。互いの本分を発揮して一緒に世界観を描く過程で、指導者として、プレーヤーとして新たな視点が生まれることがあり、得るものが多いですね」

ピアノの演奏や指導をはじめ、発声指導や作曲もできる「地域の音楽の先生」を目指して

　八巻さんの活動は多方面にわたり、作曲も行っています。2022年には、地元に開校した福島県立だて支援学校の校歌を作曲しました。

　「合唱の伴奏を依頼されたのをきっかけに、『発声指導もしてほしい』とお声掛けいただくなど、ピアノを弾く以外のお仕事も増えてきました。そこで、2022年5月から私自身が声楽のレッスンを受け始め、そこで得たものを活かして学校などで指導しています。また、現在は指揮の勉強もしています」

　学生時代に数々の教授に師事し、音楽への造詣を深めてきた経験をもとに、生徒たちと向き合う日々を送る八巻さん。「子どもたちが主体的に練習するようになった」「声の質が変わり、よく通るようになった」「以前より、生き生きと歌うようになった」など、教師や保護者からうれしい報告があると笑顔を見せます。

　「さまざまな現場に赴いたことをきっかけに、私にできることで、もっと地域の役に立ちたいと考えるようになりました。今後は、専門であるピアノはもちちんのこと、発声指導や作曲もできる、いわば『地域の音楽の先生』になりたいと思っています。生まれ育った福島で、『音楽のことは、この人に頼めばとりあえず解決できる』という存在を目指します」

　ピアノの魅力を伝えるレッスン。共によりよい音楽を目指す共演。まちの音楽を支える先生。どれもが「自分にとって大切な要素」と語る八巻さん。
　「自分の中で、それぞれがよい影響を与え合っていることが実感できます。これからも一つ一つに磨きをかけ、音楽の世界を広げていきたいですね」と力を込めます。

（取材年月：2023年1月）

レッスンや演奏活動を通じて、ピアノと音楽の魅力を広く伝えたい

幼児から大人まで幅広い世代を対象に、具体的な指導とスモールステップで進めるレッスンを展開

声楽家らと一緒に作品の世界観を描く「共演ピアニスト」としても活躍中

ピアノの演奏や指導をはじめ、発声指導や作曲もできる「地域の音楽の先生」を目指して

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