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心理学を活用したアプローチで利用者の「良くなりたい、生きたい」を引き出す訪問施術

自主性を引き出す訪問マッサージ、はり・きゅう、リハビリのプロ

鈴木裕一

鈴木裕一 すずきゆういち
鈴木裕一 すずきゆういち

#chapter1

マッサージ、はり・きゅう、リハビリで不調を緩和。主体的に生命と向き合える施術空間を創造する

 けがや病気、老衰などで通院が難しい方のお宅を訪ね、健康保険適用のマッサージやはり・きゅうを行う「ひめさゆり訪問マッサージ」の代表・鈴木裕一さん。屋号は故郷の旧熱塩加納村の村花に由来します。

 「脳血管疾患、関節や神経疾患、認知症、脊髄損傷、先天性疾患、その他難病などで歩行が困難な方の痛みやしびれ、こわばり、むくみを和らげていきます。必要に応じリハビリテーションも組み合わせ、関節の可動域の拡大や筋力の維持、心肺機能の向上、血行促進も目指します」

 こうした対応の土台にあるのが、アメリアの精神科医ウイリアム・グラッサーが提唱した選択理論心理学に基づくアプローチです。利用者の本当に求めているその人らしい生き方を、「身につけたい7つの習慣」をベースに、傾聴や受容、相手を励まし尊重し、安心して話せる環境づくりなどを施術時のコミュニケーションに応用します。

 「不調が緩和したその先の姿を想像してもらうんです。例えば『体の痛みを和らげ寝返りを打てるようになりたい』と聞いたら、生活がどのように変わるのか伺います。すると『体を楽に動かすことができる』『家族に美味しいご飯をご馳走できる』『家族の笑顔を見られる』『一緒に外出も楽しめる』と、次々と希望が湧いてきます。それまで人生を悲観していた人も主体的に施術を受けてみようとなるのがうれしいですね。『もっと良くなりたい、元気に生きたい』という気持ちをアシストするのがセラピストとしての私の使命です」

#chapter2

過去の葛藤と訪問施術の現場での学びが、独立へ踏み出すきっかけに

 鈴木さんには先天性の視力障害があり小学1年生からの15年間を視覚支援学校と寄宿舎で過ごしました。高等部専攻科から3年間治療家になるための医学や治療技術を学びます。

 「母子家庭で育ち、幼いころから母の顔色を環境にあったことが、自尊心が低さにつながっていたのだと思います」

 卒業後は医療や介護現場などで研鑽(けんさん)を積み。やがて「この経験を、通院が難しい人のために生かしたい」と考えるようになります。

 「訪問マッサージの業界に転職した際、担当した男性患者に『お前の腕は下の下の下だ』と言われたのは衝撃でした。今までの経験が無駄だったのかと自分を否定された気持ちになりました。でも『どこが辛か、力加減は良いのか、聞いてばかりでなく自分で感じろ』と言われ、ハッとしたんです。訪問マッサージを利用する方は孤独を抱えている場合も多く、より深い心の通い合いが求められると気づきました」

 数カ月後、再びその男性患者を施術した際には「上手くなったな」と笑顔で声を掛けられたといいます。そうした経験を重ねるうちに自信とやり甲斐が芽生え、思い描いていた独立への準備を始めました。

 「経営を学ぶため初めて公開講座を受講した際、講師が自己愛の大切さを語っていたのが印象的でした。長年抱えていた自尊心の低さの背景には母との関係があると気づき、まずはそこを見つめ直す必要があると悟りましたね。十数年ぶりに会い、幼少期の寂しさや思いを伝えると『あの頃は精一杯だった。けれどあなたを愛していたことには変わりはなかった』と涙ながらに話してくれ母との関係修復に至りました。お陰で目指す道も固まって『ひめさゆり訪問マッサージ』は本格的に始動しました」

鈴木裕一 すずきゆういち

#chapter3

自身も脳梗塞を経験し利用者の苦しみがより分かるように。毎年のクリスマスコンサートで地域貢献も

 鈴木さんは現在も選択理論と成功哲学の学びを深めています。特にリハビリの場面では、その考え方が大きな支えになると感じているそうです。

 「負荷のかかる自主トレーニングは楽ではありません。でも大切なのは自分で決めて取り組んでいるという事実で、頑張っても1日しか続かないと嘆く方には『まず1日できた自分を認めてあげること』と発想を切り替えてもらいます。後にご家族から『毎朝おばあちゃんの部屋から体操の声が聞こえてくるようになりました』と聞き、本当に胸が熱くなりましたね」

 また、余命がわずかな男性患者を担当した際にも、選択理論の考え方が役立ったといいます。施術中の小さなつぶやきに耳を澄ますことで、その人が本当に望んでいた楽しみに気づくことがありました。
 「お好きな物を少し口にして『あぁとっても美味しい』と微笑まれた時の穏やかな表情が今でも心に残っています。実は私自身も脳梗塞で倒れ、幸いにも後遺症もなく回復しています。だから今はプロのセラピストとして一人一人と深く関わる道こそ、天が与えてくれた職業だと思っています」

 感謝の気持ちを地域にも伝えようと、鈴木さんは毎年のようにクリスマスコンサートを企画。プロのピアニストやフォルクローレ奏者を招き、自身もギターの弾き語りで出演しています。
 「誰でも入場でき、音楽を通じて非日常を楽しんでいただけます。『音楽都市こおりやま』を宣言している街で、これからもこうした地域貢献も続けていきたいですね」

(取材年月:2025年11月)

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鈴木裕一

自主性を引き出す訪問マッサージ、はり・きゅう、リハビリのプロ

鈴木裕一プロ

訪問マッサージ師

ひめさゆり訪問マッサージ

外出が困難な人に医療訪問マッサージ、はり・きゅう、リハビリを提供。心理学ベースの施術で利用者が求める思いや願いを深掘りし健康寿命延伸の意欲につなげる。毎年12月には地域向けのクリスマスコンサートも開催

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