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料理の腕と語学力を強みに旅の思い出をつくり、地域の魅力を世界に向けて発信

料理×語学を掛け合わせ、地方の飲食店に活路を開くプロ

白石政法

白石政法 しろいしまさのり
白石政法 しろいしまさのり

#chapter1

福島県田村市で「割烹 加賀」を営み、地元の食材で国内外の来客をおもてなし

 地元田村の魅力を世界に向けて発信するべく挑戦を重ねるのは、人口約3万5000人の過疎地域・福島県田村市で「割烹 加賀」を営む、「アクティブモンド」の代表・白石政法さん。四季折々の素材を用いた献立と家庭的なおもてなしで、国内外の来客を迎え入れています。

 「当店は私の祖父が立ち上げ、お祝い事や法事のときにご用命いただく『街の料理屋さん』として約60年にわたり地域の皆さまに愛されてきました。私が引き継いでからは、時代のニーズに合わせて訪日客の受け入れにも力を入れるようになりました。バスツアーや修学旅行など、10名から200名さまの団体向けの食事プランもご用意しています」

 言語は英語、ドイツ語、フランス語、中国語に対応。特に台湾からの観光客が多く、年間200人を超える年もあります。

 訪れる人の舌を満足させるのは、「常磐もの」と呼ばれる旬の魚をあしらった握りや、福島ブランド牛「福粕花(ふくはっか)」といった福島県産の食材を使用した創作料理の数々。仕出し弁当、冠婚葬祭や県内外への出張料理も請け負い、近年は福島市や郡山市などの自治体や企業またインバウンド客へ弁当を配達することも多いそうです。

 「海外の方が日本の飲食店に求めるのは、味や珍しさだけではありません。今や日本食レストランは世界中にあるのに、なぜ足を運ぶのか。作り物でない日本のありのままの雰囲気を感じたいからです。特に海外の方は、コミュニケーションを旅の思い出として持ち帰りたいと願う傾向があります。完璧でなくても、たどたどしくてもいいから、親しみをもって向き合うことが心をつかむカギです」

#chapter2

ドイツやスイス、台湾でキャリアを積み、海外ツアー客らにアプローチ

 すし職人として第一線で活躍する白石さん。実は料理人になりたいわけではなかったとか。

 「私が若い頃、長男は家業を継ぐのが当たり前で他の道を選ぶ発想もなく、高校卒業後はすし店で修業しました。老舗割烹の後継ぎになってからも、職務に魂がこもっていないような感覚がありましたね。36歳になってもむなしさはぬぐえず、自分が心を燃やせるものは何なのか模索する中、『世界を見たい』という幼少期から抱いていた夢にたどり着きました」

 一度きりの人生と一念発起し、すし職人として培った技術を糧に渡航。ドイツの日本料理店やスイスのホテルで腕を振るい、ジュネーブの国連欧州本部で国際会議が開催される際は、日本政府代表団の総料理長という大役にも抜てき。台湾では飲食店の運営・料理指導、日本語教育にも従事しました。

 「2006年に帰国してからは『割烹 加賀』を切り盛りし、再び地域に根差して営業していましたが、2011年の東日本大震災、2020年の新型コロナウイルス感染症と、2度の経営危機に直面しました。特にコロナ禍以降は人口減少などによる過疎化を背景に、夜の飲食利用は大きく落ち込みました」

 「待っているだけではダメだ」と考え、仕出し弁当やケータリング部門に注力。また、日本有数の大鍾乳洞として知られる田村市の「あぶくま洞」に着目し、団体ツアー客を受け入れる大型店舗として各所へアプローチ。白石さんの国際的なキャリアや語学力も後押しし、海外の観光客から支持を得るようになりました。

白石政法 しろいしまさのり

#chapter3

メニュー開発や販路開拓など、インバウンド対応のコンサルティングにも注力

 田村市大越町商工会長を務め、地域のお祭りなどに出店する白石さん。街の活性化にも尽力しています。

 「視察で全国の観光地へ赴く中で、インバウンドの恩恵がホテルなど一部の事業者に偏り、周辺の飲食店には人が流れていない現状が見て取れます。店舗自らが観光客を取り込む工夫をしないと、生き残るのは難しいと感じています」

 自身もかつて同じ悩みを抱えた一人。特に人口減少が進む地域では、住民による消費は限られ、県外や海外需要に目を向けなければ先がないことを、誰よりも知っています。

 「自分の経験が役に立てばと、観光・飲食事業者を対象としたインバウンド対応支援やメニュー開発、販路開拓などのコンサルティング事業を始めるつもりです。皆さんがすでにお持ちのスキルを、どう見せていくかを考えれば、状況を変える可能性は十分にあります」

 その土地の名所・名勝とグルメを掛け合わせることで、地方都市の創生・振興にもつながると期待する白石さん。それぞれの経営課題を深く理解できるよう、中小企業診断士の資格取得にも取り組んでいます。

 おいしくて美しい食を届けるため、料理人の仕事にも全力投球。福島市の複合施設ではお正月向けのオードブルやおせちを納品したり、彩り豊かなメニューで結婚披露宴を執り行ったり。フェスや交流会といったイベントへの出店にも意欲を見せます。外国語で解説しながらすしを振る舞うなど外国人向けの出張サービスも考案中で、食を通じた情報発信に励んでいます。

(取材年月:2026年8月)

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白石政法

料理×語学を掛け合わせ、地方の飲食店に活路を開くプロ

白石政法プロ

寿司職人

株式会社アクティブモンド

寿司職人の技と海外の高級ホテルで培った経験を生かし、団体料理や弁当、出張料理等に柔軟に対応。インバウンド支援や販路開拓、メニュー開発など、各飲食事業者の強みを活かすコンサルティングも予定しています。

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