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建物や建造物の骨組みとなる鉄筋の加工から施工まで自社で対応

正確性の高い熟練の技で鉄筋加工・鉄筋の取り付けを行うプロ

平尾具行

平尾具行 ひらおともゆき
平尾具行 ひらおともゆき

#chapter1

手掛けた工事が表彰されるなど職人集団による高い技術力が強み

 「鉄筋は、コンクリート構造物の補強を目的に使用されるため、建物が完成した後は目にすることはできませんが、人間の体の骨格にあたる重要な部分です。弊社は鉄筋加工と設置に五十余年の実績を持つ企業として、地域の皆さまが安心して生活できるよう堅固な骨組みを作ります」

 そう語るのは、1972年に福岡県北九州市で創業した「サンロード・スチール」の代表取締役・平尾具行さん。自社で五つの工場を有し、鉄筋コンクリート用棒鋼と呼ばれる構造用材料を、使用用途に合わせて製造。資材や製品の保管は屋内で行い、品質管理にも努めています。施工に際しては、数々の案件で蓄えた豊富な知識と長年の経験を持つ職人が、現場の状況に応じて組み上げます。

 「狂いがないよう基本を守るだけでなく、日々進化する新しい機器・工具などを取り入れ、技能を磨くことで、関係各社さまの期待に応え今の私たちがあります。ありがたいことに、北九州市を拠点に九州全域からお声掛けをいただいております」

 手掛けるのは、マンションをはじめとする集合住宅や、体育館、事業所、倉庫などの施設・建物のほか、橋脚やダムといった大型の建造物まで多岐にわたります。

 「図面を読み取って鉄筋を成形し、計画に沿って緻密に組み立てる技術はどこにも負けません」と自負する職人集団の実力は、高い評価を得ています。その一例が、橋にかかる荷重を支える「福岡208号筑後川橋床版」の工事。2021年に、国土交通行政への功績が著しい優良工事業者として「国土交通行政功労事務所長表彰」を受賞しました。

#chapter2

作業者が正しい共通認識を持ち、作業の正確性を高めることで安全性に配慮

 平尾さんのもとでは、材料や施工部位に適した鋼材を提供するため、設備投資を惜しまず、切断機や曲機といった各種加工機を装備。人材については、雇用を守ることで実践的なノウハウを継承し、業務の安全性と効率化を両立しています。

 「当方が重要視しているのは『正確性』です。建設現場などに求められる『安全』は、危険などに対する作業員の正しい共通認識があってこそ実現できます。個々が労働災害防止への理解を深め、整理整頓を徹底するなど適切に行動することで集団としての規律が高まり、事故やミスを防ぐことができます」

 また、実務における正確性の具体例として、工事で鉄筋が入る箇所にフェルトペンで印をつける作業を挙げます。
 「10cm間隔で配筋する場所のピッチを書く際、端から順番に印をつけているとペンの芯の太さの分だけズレが生じるんです。一カ所で1mmズレていたら100カ所で10cm、200カ所で20cmと差が生じてしまいます。必ず10m、50mといった区切りを設けて、その中で的確に本数を打てるように、きめ細やかに調整する必要があります」

 架橋やダムといった大型の建造物になればなるほど、ミリ単位の違いが大きなズレにつながります。
 「正確性は人によって左右されるので、若い世代に技術を伝承するなど、自分も含めた全従業員が鍛錬する雰囲気を大切にしています。弊社には、意識が高い職人が集まっているので『鉄筋を星型にしてほしい』という難しい依頼があっても、柔軟に対応することができます」

平尾具行 ひらおともゆき

#chapter3

自分たちの仕事が「地域の発展に貢献している」という誇りを胸に事業にまい進

 平尾さんは母親が経営する「サンロード・スチール」に職人として入社。当初は鉄筋工が嫌で仕方がなかったとか。
 「雨の日でも雪の日でも、焼けつくような炎天下でも凍えるように寒い時でも、長時間屋外で作業する過酷な環境です。何でこんなにきついのかと不満をもらし、早く辞めたいと思っていました」

 現場から逃げたい気持ちは、「何のためにやっているか」を考えることで変わっていきました。
 「自分や家族が生活する給料を得る目的がありますが、自分たちが作った構造物で皆さまの生活が便利になる。地域のお役に立っているから地域からも大事にしてもらえるのだと気づき、職務に対してプライドを持てるようになりました」

 地域に貢献しているという矜持は、熊本地震後に復興のシンボルとなった新阿蘇大橋を架橋したり、火災が発生した魚町銀天街の復興事業に携わった時により強く感じたと言います。
 「現状、建造物の強度を上げるにあたり鉄筋に代わる材料はありません。私どもの事業が、地域社会や日本社会の発展の一助となっているのはうれしい限りです」

 代表取締役として、平尾さんは従業員の採用やスキルアップ、待遇まで考慮しなくてはいけない立場になりました。
 「従業員が誇りを持って生き生きと活躍できる会社にしたいです。良い仕事をするためにはメリハリが大事。時に危険も伴うので、休む時はしっかり休むことで仕事に集中できます。働きやすい職場づくりで、自社はもとより業界全体を盛り上げていきたいですね」

(取材年月:2024年2月)

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平尾具行

正確性の高い熟練の技で鉄筋加工・鉄筋の取り付けを行うプロ

平尾具行プロ

鉄筋加工工事

サンロード・スチール株式会社

建造物の骨格となる高品質の鉄筋を、高い技術力を持つ職人が全て自社工場で加工。安全性はもちろんのこと、正確性を重要視し、現場の状況に応じて取り付け。北九州市を中心に九州全土の工事を手掛けます。

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