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往診×里山の診療所で人・動物・自然が共生する社会へ。経験豊富な獣医師が幅広い動物種に対応

人・動物・自然の共生のために活動する獣医療のプロ

外平友佳理

外平友佳理 そとひらゆかり
外平友佳理 そとひらゆかり

#chapter1

家庭、動物園や畜産業者で訪問診療を行い、手術や緩和ケア、病気の予防にも尽力

 「動物の側には、その子を大切に思う人がいる。ペットは飼い主さまにとってかけがえのない家族です。とにかく治療すればいいということではなくて、調子がよくない部分があったとしても『どこを許容し、どう過ごしていくと家族が楽しくなるか』を中心に考えます」

 そう話すのは、北九州市の「外平動物総合事務所(SALU)」の代表で、フリーランスの獣医師・外平友佳理さん。電話やLINEで相談を受け付け、家庭をはじめ、動物園や畜産業者へ定期検診や訪問診療を行っています。

 「知人の病院を借りて手術にも対応しており、ヤギ、ハリネズミなど種類や大きさを問わず施術してきました。苦痛を和らげる緩和ケアや病気の予防にも力を入れ、漢方による養生など中医学も採用しています」

 夜間救急や個人の動物病院にも勤め、日々研さんを積んでいる外平さん。「飼い主さまから『安心しました』という言葉をいただけるのが一番のやりがい。動物と平穏に過ごすことが、ご家族の喜びにもつながります。人と動物が良い関係を築き、両者が幸せに暮らす力になれれば」と語ります。

 フットワークの軽さとネットワークを生かし、飼育教室など幼稚園や小中高校で出張授業を実施するほか、市民団体といった地域の講演会、大学の講義にも登壇。ツシマヤマネコのような絶滅危惧種の保全にも取り組んでいます。

 「月に1回、ウサギやモルモットなどにふれあい、疑問に応える『1日動物園』も開催しています。獣医師として100種類・500頭以上の動物と向き合う中で培った知見を、皆さんに届ける機会になればと願っています」

#chapter2

獣医師として動物園の飼育動物や野生動物の治療・保護に携わり独立

 幼い頃から自然の中で過ごすことを好んだ外平さん。小学生のとき「シートン動物記」を読み、野生動物の生き抜く能力に感動。高校生の頃の悲しい出来事が動物学者を志す進路を決定づけました。

 「自宅に迷い込んだ野鳥のケガを治してもらおうと近所の動物病院に連れて行くと、『犬・猫以外は診察できない』と断られてしまったんです。どうすることもできないまま翌日、野鳥は死んでしまいました。この時、野生動物に関わるなら、研究だけでなく命を助けられる獣医師になろうと決めました」

 宮崎大学農学部獣医学科に進み、卒業後は、子どもたちが動植物とふれあえる「長崎バイオパーク」に就職。3年間の勤務を経て、大学病院では高度獣医療に、小動物病院では犬と猫の診療に従事します。

 技能を磨くなか、故郷・北九州市の動物園「到津の森公園」が民間から市へ移管。再スタートにあたり獣医師に着任し、園内の飼育動物や、傷ついた野生動物の保護・治療にも数多く携わりました。また、臨床のかたわら研究や教育分野にも視野を広げ、獣医学博士号と学芸員資格を取得します。

 「園で小学生プログラムを行うと、たった2時間の授業で子どもたちの意識や行動が変わるんです。また、聴診器で動物の心臓の音を聴いて瞳がパッと輝く瞬間がうれしくて。実際に生き物にふれることでしか得られない貴重な学びがあると知りました」

 二十余年にわたる獣医師としてのキャリアをもとに、2019年、命の尊さを伝えるべく独立し、事務所を立ち上げました。

外平友佳理 そとひらゆかり

#chapter3

自然豊かな里山に大型動物にも対応する診療所を整備。命を救い、命を学ぶ拠点に

 「激しい痛みを伴い、開腹の緊急性を要する腸重積のラマや腸管結石のポニー。救えなかった命を思うと、さまざまな動物を迅速かつ的確に診断・治療できる場所を用意することは急務です。個人で家畜種を飼うケースは増加傾向にあるのに、残念ながら受け入れ態勢が十分とは言えません」

 外平さんには、「里山で人と動物がともに暮らし、自然と共生できる未来を創造したい」という長年の夢があり、診療と活動の拠点づくりにも注力。福岡県糸島市のJR大入駅の近く。海、山、田畑に抱かれた場所に、血液検査や超音波・画像診断ができる医療機器を備え、ヤギやウマといった大型の家畜種も手術ができる施設を整備しています。

 「研修やボランティアを通じて“命を感じて学びあえる場所”にしたいと考えています。若手の獣医師や学生、動物に興味がある小中学生のお子さん、地域の人たちが集い、研究・学習の場として機能させていくことを目指します」

 設立に際し、外平さんは周知と資金調達を兼ねて、ネットで賛同者を募るクラウドファンディングも活用しました。

 「人間は地球上に生きる生物の中の一種。生命すべてが一つの共同体であることを、私たちは忘れてはいないでしょうか。地球環境を変えてきたのは人間だから、守るのもやはり人間の役目。人間が自然や他の生き物を思いやり、尊重していけば、気持ちよく共存共栄していけるはず。これからも、人と動物と地球のためにできることを考えて実践していきたいですね」

(取材年月:2024年4月)

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外平友佳理

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外平友佳理プロ

獣医師

外平動物総合事務所

ペットは一緒に、野生動物は地球規模でともに暮らし、より幸せな未来へ。100種500頭以上の動物と向き合ってきた獣医師が全国の往診に対応。より迅速・的確な診断・治療と知見の共有のため里山の診療所も開設。

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