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各地の特性に合わせた「エネルギーまちづくり」で、安定供給と地域振興を目指す

地域に貢献する再エネ活用コンサルティングのプロ

松尾啓三

松尾啓三 まつおけいぞう
松尾啓三 まつおけいぞう

#chapter1

再生可能エネルギー活用のノウハウを持ち寄り、計画立案から実行まで支援

 石油・石炭・天然ガスといった資源に乏しい日本は、先進国の中でもエネルギー自給率の水準が低い国です。国際情勢に影響されることがないよう、また地震や豪雨などの災害に備えるため、他国に依存することなく国内で安定供給する仕組みが必要です。

 「私たちの使命は『エネルギーまちづくり』。エネルギーの純国産化を推進することで、全国各地を盛り上げたい」と話すのは、「マツヲ3企画」の代表でコンサルタントの松尾啓三さん。再生可能エネルギーを活用した地域活性化に注力し、計画の立案から実行まで支援しています。

 「もし各地域が独自に発電所を持っていたらどうでしょう。高温の泉源があれば地熱、森林が多ければ間伐材等を用いたバイオマス、水が豊富であれば小水力、広い溜池があれば水上太陽光など。各地の気候・自然条件に合った発電所があれば、災害時に避難所などの電力が賄えます。地域の防災力が高まれば、好きな場所に住み続けることができますよね」

 国家資格である建設部門の技術士を保持。都市および地方計画、インフラ整備、地域振興と広範な知識と経験を持ちますが「自分一人では大したことはできません」と松尾さん。

 「大事にしているのは、人の個性や能力を生かして仕事を動かすこと。土木設計、熱利用、蓄電、地質、AI(人工知能)といった各分野の専門家、デザイナー、まちづくりに取り組む活動家など、関わる人が気持ちよく仕事できる環境づくりを心掛けています。ノウハウを持ち寄り、チームで臨むことで、お客さまのニーズにワンストップでお応えしたいと考えています」

#chapter2

地熱開発のコンサルティングに従事し、エネルギー事業者や行政の相談に対応

 佐賀大学で土木工学を専攻し、大学院では道路計画を研究。建設コンサルティング会社に入社した松尾さんは道路設計を任されます。

 「上司の推薦を受け、入社6年目を迎えた2004年に長崎県の地域シンクタンク『ながさき地域政策研究所』へ出向しました。人気観光地である長崎は当時、県立美術館の開館工事など港湾周辺の開発が進む一方で、人口減と高齢化が加速していました」

 日本一の数を誇る離島も過疎化により水産業や農業などの後継者が不足。アクセスも脆弱で、地方が抱える課題が凝縮されている状況だったと言います。

 「物流問題を担当した時は、物流会社を片っ端から回ってヒアリングしました。面と向かって目的をお話しすると、次第に応援してくださる方も増えました。技術者として一人で図面と向き合っていた時とは、仕事の仕方が180度変わりました。自分一人の力は小さいと痛感すると同時に、周囲と協働して解決策を見いだしていくことに楽しさを感じましたね」

 2007年に元の職場に復帰。2016年に個人事務所を設立するとともに地熱開発のコンサルティング会社でも管理職に就き、有望地域の選定や地質調査、発電所建設といったプロセスを学び、ネットワークを確立しました。

 やがて手掛ける案件が増え、2019年に株式会社化。電力会社など全国のエネルギー事業者や行政、大手金融サービス会社、農業法人と、幅広い業種から寄せられる多種多様な相談に応える中で、「エネルギーまちづくり」というコンセプトが固まっていきました。

#chapter3

事業成功のカギは“人”。開発事業者や技術者、地域住民らの意思疎通をサポート

 「どんなに素晴らしい事業も、生活者の目線に立ち心に寄り添って進めなければ、本当の意味での成功は望めません。知識も技術も大事ですが、やはり最後は“人”です」と松尾さん。開発事業者、専門家や技術者、地域住民、それぞれの立場を理解して意思疎通をサポートする“通訳”を自負しています。

 「地熱の現地調査などをする際は住民の方の承諾を得るため、訪問してご説明することがあります。ご不安があればお伺いして、必ずクライアントである事業者さまとも共有し、心配ごとや疑問点を解消できるよう言葉を尽くします。何度かお話をして皆さんと打ち解けてくると、期待に応えなければとますます気合が入ります」

 技術者出身のエネルギーコンサルタントとして現場で培った経験を次世代に伝えるべく、2024年から福岡工業大学の非常勤講師を務めます。
 「インターネットで手軽に知りたいコトが調べられる時代ですが、人に会わないと“生きた”情報は集まりません。人と話すという双方向のやり取りから、一人では思いつかないようなアイデアが湧き、次の展開にもつながりやすいと感じます」

 技術者は専門性を追求するあまり思考の幅が狭くなりがちなので、見聞を広げることを促します。
 「好奇心を持ってさまざまな立場の人の話を聞き、社会で起こっている問題と結びつけて考えることで、地域に暮らすみんなが幸せになれる発想が生まれます。日本や地域の未来を担う学生の皆さんに、コミュニケーションの大切さを伝えたいと思います」

(取材年月:2024年8月)

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松尾啓三

地域に貢献する再エネ活用コンサルティングのプロ

松尾啓三プロ

エネルギーまちづくりコンサルタント

株式会社マツヲ3企画

地熱をはじめ再生可能エネルギーを活用した地域活性化・防災力強化に取り組む「エネルギーまちづくりコンサルタント」。事業者・専門家・地域住民等のコミュニケーションをサポートし、事業の成功に貢献します!

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