故障車や不動車など広く対応する自動車買い取りのプロ伊藤大輝

故障車や不動車など広く対応する自動車買い取りのプロ

伊藤大輝

車種や年式、状態を問わず、自家用車、トラックやバスなどの大型車両を買い取り

　個人や企業から自動車を買い取り、国内外で流通させている、福岡県北九州市の「ダイレクトオート」の代表・伊藤大輝さん。車種や年式、状態を問わず、トラックやバスなどの大型車両も扱っています。

　「屋号の通り、売り手と買い手を直接つないで中間マージンを抑え、高価買い取りに努めています。アジアやアフリカにも強固な販路を持ち、コンディションが悪い車両も積極的に引き取っています」

　特に50万円以下の値が付く車両が再販しやすく、事故車や故障車、車検切れの不動車でも車体を半分にカットしたり、パーツごとに分解したりして輸出できるのが強みとのこと。近年はケニアやウガンダ、タンザニアなどからのニーズが高まっていると言います。

　「アフリカ諸国のおよそ3分の1では日本と同じく右ハンドル車が使われており、20年落ちや30年落ちでも需要があります。弊社のお客さまには砕石業者や土木業者も多く、不要になった運搬用車両も丁寧に整備して、新興国などで展開しています」

　中でも力を入れているのが2t以上のトラックの買い取りで、1990年代製は高値を付けられる可能性があるとか。

　「例えば海外では、4tトラックは2020年製よりも1993年製のほうが価値があります。なぜなら2000年前後から車両がコンピューター制御されるようになり、修理しなければ外国で乗れなくなったからです。走行距離100万km超のトラックは運送会社からすると“お荷物”かもしれませんが、私には貴重な宝物ですね」

　国内で50年前の旧車が人気を呼んだ際は、スリランカで買い付け逆輸入したこともあるそうです。

アメリカ留学で日本車のタフさを実感。必要としている人につなげるため創業

　伊藤さんはアメリカ・シアトルの大学で劇文学を専攻し、卒業後はロサンゼルスの劇団に所属。帰国後は都内を中心に役者として活動します。

　「公演の際には北海道から沖縄まで行脚し、30歳を過ぎるまで俳優の道を歩んでいました。結婚を機にビール会社の企画営業に転職し、妻がタイのバンコクに赴任したため私も現地の石油会社に転職しました。ところが腎臓を患ってしまい、人工透析を受けるため故郷の北九州市に戻りました」

　治療と並行して、税関に輸出入の申告を行う通関士の資格を取得した伊藤さんは、2014年に「ダイレクトオート」を立ち上げ自動車の買い取りを開始。背景には国産車へのリスペクトがあったと語ります。

　「アメリカでも日本車に乗っていましたが、およそ32万kmを走っても大きな故障はありませんでした。また滞在中は、各地で使い古した車が活躍する様子を目の当たりにし、タフさに感心しましたね。対して日本では10万kmも走れば乗り換えるケースもあり、もったいないと感じたことから、創業に至りました」

　1人で始めた会社も従業員を雇うまでに成長。事業を営む中で常に思いをはせるのは、愛車を手放すことになった顧客の気持ちです。

　「査定などで、廃車にするよう勧められ泣く泣く受け入れた方も多いと思います。私どもにお任せいただければ、必要としている人につなげることができます。『まだまだ現役として頑張ってくれますよ』とお伝えし、皆さんの安心した表情を見るのが醍醐味ですね」

修理、保険や運輸局の手続きなどに自動車に関するコンサルティングにも注力

　現在は、リピーターや顧客同士の紹介が案件の多くを占めると話す伊藤さん。今後は会社の認知度を高め、愛車のスクラップを避けたい人に活用してほしいと続けます。

　「休日のたびに洗車やワックスがけを行い、家族や友人との思い出も乗せながら大切にしてきた車です。どんなに傷がひどくても、エンジンの調子が悪くても『処分されてしまうのはしのびない』という方々に弊社の存在を知ってほしいです」

　対応エリアは北九州市を中心に、遠賀郡、中間市、宗像市など。車種や台数によっては全国どこでも買い取りに駆けつけると熱を込めます。

　「旅行やレジャーに出掛けるのはもとより、通勤や通院、買い物など車は生活の足でもあります。安全にドライブしてもらえるように、修理に関するアドバイス、保険の手続き代行、運輸局に提出する書類の作成サポートなど、自動車に関するコンサルティングにも取り組んでいきたいですね」

　伊藤さんは、長崎県佐世保市の宇久島でアウトドアサウナ施設「UKUSAUNA」を運営。オリジナルのサウナポンチョやグッズは、自ら株主になっている中国・山東省威海市の企業に生産を依頼し、同じ街で豚骨ラーメン店の経営も始めました。

　「中国ではEV（電気自動車）の普及をはじめ人々の物欲が満たされるようになり、教育、体験、サービスといった領域に関心が集まっています。新たなマーケットとして期待できますので、現地でのビジネスを考えている皆さんも、ぜひ一度ご相談ください」

（取材年月：2024年9月）

スクラップにしたくない愛車を日本、アジア、アフリカのドライバーにバトンタッチ

車種や年式、状態を問わず、自家用車、トラックやバスなどの大型車両を買い取り

アメリカ留学で日本車のタフさを実感。必要としている人につなげるため創業

修理、保険や運輸局の手続きなどに自動車に関するコンサルティングにも注力

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