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安心して飲める水を届けるため、水道水や地下水を浄化する浄水システムを開発

浄水システム・飲料水製造コンサルタント

上野勝洋

上野勝洋 うえのかつひろ
上野勝洋 うえのかつひろ

#chapter1

個人向けの浄水器をはじめ、マンションやビルの浄水システムなどを展開

 日本は水道水をそのまま飲める、世界でも数少ない国の一つです。厳格な基準に基づいて高い品質を保ちますが、消毒による独特の臭いや雑みを緩和するために浄水器を設置したり、健康を意識してミネラルウオーターを購入したり、飲用や調理用の水にコストをかける人も少なくありません。

 「私どもは“社会と水”をテーマに、集合住宅などの専用水道や井水、地下水の浄化に取り組み、安全性の向上に努めています」

 そう話すのは、「アクアシステム」の代表・上野勝洋さん。かつてはパイプやバルブといった水道資材を販売する会社を経営し、福岡市で水に関する事業に携わって約30年になります。

 「業務を通じて、『どんなろ材,工程を使えば水を清浄できるのか』『この成分を除去するために必要なものは何か』ということを追求するようになりました。全国のメーカーを訪ね回って研究しましたが、それぞれにやり方や方向性も違う。納得のいくものがないなら自分で作ろうと考え、水処理設備や飲料水の生産装置を手掛ける事業へと転換しました」

 現在、上野さんのもとでは個人向けの浄水器をはじめ、マンションやビルの浄水システム、湧き水などの天然水をろ過して給水する自動販売機などを展開。クライアントは、大手デベロッパーや地方公共団体と官民双方にわたります。

 「環境汚染や配管の劣化などが理由で、水質を気にする人は多くなっています。きれいな水を供給することは企業や地域の“売り”にもなります。当方が積み上げてきた技術を生かして、水を強みにできるようお手伝いします」

#chapter2

不純物などをろ過し「マンションをミネラルウオーターの製造工場に」

 「安心して飲める水を多くの人へ届けたい」と願う上野さんは、「マンションをミネラルウオーターの製造工場に」というコンセプトのもと、2000年に「セントラル浄水システム」をリリースしました。しかし市場調査を行うと、セラミック、麦飯石、大理石などの鉱物質や磁石を使用し、遠赤外線やミネラル分の溶出をうたうものが「セントラル浄水器」として導入されていることがわかり、これらの特徴を持つ製品と自社の製品の違いを説明することも重要な取り組みとなっているといいます。

 「化学物質に過敏で、水道水でアレルギーが出るという方に出会ったことが開発のきっかけです。水質を検査し、イオンなどの不純物を取り除いて軟水化したところ体調が良くなってきたというお声をいただきました」

 受水槽が外気で汚染されることを防ぎ清潔に保つため、通気口にろ過フィルターを設置。加えて、タンク内の水量を調節する吐水口(オバーブロー)から、虫やほこり、火山灰などが混入しないよう形状記憶型のバルブを取り付けてシャットアウトする機能も装備しました。

 各家庭で使用する水を浄化する仕組みを構築しましたが、規模の大きい集合住宅に導入するまでには苦労もあったそう。
 「九州内でも地区によって水道水の水質が大きく異なります。また建物の戸数で受水槽の大きさも違う。どういった物質を除去するのか、衛生面の保ち方や維持管理方法なども細かく計画する必要があり、製品化するのに5年ほどかかりました」

 苦節を経て完成したシステムは、九州の20棟以上のマンションで採用されています。
 「最初に取り付けた物件は20年以上がたちますが、今も当方で定期メンテナンスをしながら順調に稼働しています。住人の方々からは『水道水がおいしくペットボトルに入れて持ち歩いている』『柔らかい水で洗剤の泡立ちが良くなった』と、喜ばれています」

上野勝洋 うえのかつひろ

#chapter3

地域の水資源を生かした自動販売機「名水ショップ」は自治体の貴重な収入源に

 水に関する知見を備え、浄水設備の普及に尽力する上野さんのもとには、行政から相談も寄せられると言います。

 「元町長さんから『水道水の味が以前と違う。元の水をまた飲めるようにできないか』と連絡がありました。原因は、市町村合併で水道局が使用する原水が変わったためと考えられました」

 地元の豊かな水源に着目した上野さんは、くみ上げた水を適切に精製する自動販売機「名水ショップ」を開発。保健所の許可を得て設置したところ、清らかな水を求める人が足しげく訪れるようになりました。

 さまざまな水質に対応できることから各自治体に評判が広がり、4カ所で採用。ある地区では、かねてより地下水の利用者に任意で料金箱にお金を入れてもらっていましたが、「名水ショップ」として整備したところ、年間約1000万円の売り上げになったそう。

 「有料化しても利用者は減らず、今では行政の貴重な収入源になっていると聞いています。水を活用して新たなビジネスができないかという話も出ていて、可能性はさらに広がりそうです。『水は地域の大切な観光・経営資源である』という認識が深まっていると感じますね」

 人間の営みに欠かせない水に長らく関わってきた上野さんは力を込めて語ります。
 「おいしい水、質の良い水を飲みたいというニーズは高まっています。私どもは日々口にする水のクオリティーにこだわり、実証実験を重ねて自信を持って商品を提供することで、皆さんの期待に応えていきたいと思っています」

(取材年月:2024年2月)

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専門家プロフィール

上野勝洋

浄水システム・飲料水製造コンサルタント

上野勝洋プロ

飲料水コンサルタント、浄水システムの製造販売

アクアシステム株式会社

戸別浄水器不要の受水槽浄水システムで、マンションなどの建物の受水槽の汚染を防止、浄水するシステム。福岡、鹿児島地区で20棟以上の実績。地下水をろ過、殺菌して販売する水質対応型自動販売機の設置も好評。

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