解体と建築を軸に製材や不動産まで幅広く手掛けるプロ佐々木雅敏

解体と建築を軸に製材や不動産まで幅広く手掛けるプロ

佐々木雅敏

解体、建築、製材、不動産業を手掛け、全てを一貫して対応

　「お住まいに関することは、私どもにお任せください」と話すのは、福井県丹生郡を拠点にする「ニューチップ」の代表・佐々木雅敏さん。解体、建築、製材、不動産部門を構え、土地探しや宅地の販売から、新築・増改築・メンテナンス、解体、建て替えや土地の活用に向けた家屋の取り壊し、整地まで手掛けます。

　「廃棄物の不法投棄など、特に、解体業者に対して良い印象を抱いている方は少ないと感じます。不信感を拭うことで、業界に対するネガティブな目を変えていきたいのです。当方では、適正に処理されたかを確認する『産業廃棄物管理票（マニフェスト伝票）』の交付を徹底しており、法令順守に努めています」

　木くずやコンクリート片などを正しい手順で処分し、資源の再利用につなげることで環境に与える負荷を低減。広く世に貢献していきたいと語ります。

　「当方は、地元福井で育ったスギ、ヒノキなどの天然木を用い、地域の気候風土に適した家づくりをしているのが特長で、設計から施工管理、お引き渡しまで一貫して担います」

　調湿作用がある木材は、湿度が高い時や乾燥している時は水分を吸収したり放出したり。空気の層も数多く備えるため外気温の影響を受けにくく、夏は涼しく、冬は暖かい室内環境を保ちます。

　家族の気配が感じられるオープンな間取りや、和風、洋風といったデザインも施主の希望に添い、木の香りや優しい風合いに包まれた心地よい住空間に仕上げます。「当社が長年商いを続けてこられたのは、従業員一人一人が義理人情にあふれ、誠実に対応しているから。自分たちのもうけだけを考えるのではなく、お客さま第一を掲げ、その方針を皆が理解してくれています」

　例えば「リフォームをしてほしい」という場合でも、時期ではないと判断したら率直に伝えているそう。「大事にすべきは、お客さまのためになるご提案をしていくことだと思っています。正直な仕事をすることで信頼を築き、紹介や口コミ、リピートによってご依頼をいただきます。今までやってきたことは間違っていなかったんだと自信を持てますね」と笑顔を見せます。

祖父が創業した家業に入って親方の下で修行を積み、3代目社長に就任

　1983年に越前町で生まれた佐々木さん。福井工業大学附属福井高校を卒業後、父親の知人が営んでいた建設会社に就職。2年間の勤務を経て、祖父が立ち上げた「ニューチップ」に入り、何人かの親方の下で技能を磨きます。

　「当社は、木材チップを製造する会社として1957年に創業し、父が2代目となりました。ありがたいことに、社長の息子だからといって特別扱いせず、一人の職人として指導していただきました。あまりの厳しさにもう辞めたいと思ったことは1度や2度ではありませんが、修行の全てが今に生きています」

　作業員として住宅の基礎工事に5年、解体業務に5年携わったあと、現場監督として10年間経験を積みます。2023年6月、65歳を迎えた父・敬三さんの退任に伴い3代目に就任。佐々木さんには兄・康倫さんがいて自身と同様に家業に就いていますが、「自分が社長をやりたい」と立候補したのだとか。

　「経営方針は父が全て決めていましたが、20年にわたり勤める中で、『こうしてみたい』と思うことが多々ありました。兄は他社での勤務が長く、当社の在籍年数は私の方が長かったので、社長を譲ってくれたのでしょう」

　一方、世間では「兄弟で事業をやるとうまくいかない」といった懸念もあることから、互いの役割を細かく決めたと言います。「兄には、『一緒に一般論を覆そう。2人だからこそ、できることがきっとあるはずだ』と伝えました。今、私に足りない部分を兄が補ってくれ、頼もしい限りです」

年功序列の廃止、休日の増加など改革を進め、解体業のイメージアップにも注力

　父からバトンを受け継いで以来、数々の改革に乗り出してきた佐々木さん。勤続年数や年齢に関わらず、個々の頑張りをきちんと評価するため年功序列を廃止するほか、労働過多にならないよう勤怠管理システムを導入。会議の内容は書面化して従業員に共有し、認識を合わせたり、一体感を出すため作業着を作ったりしました

　「年間の休日も増やしました。父には反対されましたが、売り上げは変わらなかったので、いかに無駄が多かったか分かる。プライベートも尊重する働きやすい職場にすることで、やりがいを持って仕事に打ち込むことができます」

　親睦を深めるため、社内旅行や食事会なども開催する佐々木さん。今後取り組んでいきたいことの一つが、会社のイメージアップです。

　「ニーズに合わせ、庭木の伐採、池や塀の撤去など外構工事もしますし、学校や公民館の建設、改修といった公共工事も請け負っております。培った技術で、地域の皆さまのお役に立つことが目標です」

（取材年月：2024年1月）

「何でも頼みやすい」と評判の、真面目で義理人情に厚い老舗店

解体、建築、製材、不動産業を手掛け、全てを一貫して対応

祖父が創業した家業に入って親方の下で修行を積み、3代目社長に就任

年功序列の廃止、休日の増加など改革を進め、解体業のイメージアップにも注力

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