わずかな心のサインを読み取り笑顔を取り戻す癒やしのプロ有田真由美

わずかな心のサインを読み取り笑顔を取り戻す癒やしのプロ

有田真由美

「うさカフェ」の2階に設けたカウンセリングルームで心理カウンセリングや勉強会を実施

　2022年3月、福井市和田東の県道158線沿いに、「ネザーランド専門店うさんぽ＆うさカフェ」がオープン。
　ウサギと触れ合える北陸でも話題のカフェの2階には、「SPEED」の有田真由美さんが主宰するカウンセリングルーム「癒しのサロン」があります。

　職場や家庭内の人間関係、子どもの不登校、発達障害やうつといった悩みを抱える人に寄り添う心理カウンセラーとして、心の重荷を下ろす手助けをしてくれます。
　サロンでは、個別の心理カウンセリングのほか、定期的に少人数での「大人のセミナー」を実施。また小学校中学年から高校生を対象とする「子どもの自己啓発セミナー」も開講しています。

　コロナ禍前までは地元以外、大阪や東北にも拠点を置き、地域や世代に関わらず延べ10万人以上と向き合ってきた有田さん。新たな癒やしのスポットを設けたのを機に、地域に根差した活動へシフトしています。
　
　「先行きが見えづらいと言われる昨今、身近な人との関係性に戸惑いを覚えているのは大人だけではありません。『学校に行きたくない』『行きたくても行けない』と訴える子どもさんと、接し方に悩む親御さんが、そろって訪れる姿を目にする機会も多くなりました」

　セッションでは傾聴に加え、本人の体や表情などから発せられるシグナルを注意深く読み取ります。
　「本当に苦しいときは、なかなか言葉が出ないものです。子どもさんの場合も同じ。第三者の主観や願望の入り交じった情報だけを基準とせず、どんなにわずかでも本人からのサインを見落とすことのないよう、全エネルギーを注いでいます」

アスリートの夢を絶たれ現実を受け入れてきた経験が、人の心をどこまでも思いやる力に

　包み込むように語りかける穏やかな印象に反し、「逆境に耐える力と粘り強さに自信があります」とタフさも見せる有田さん。

　「国体に出場するなど、競泳の選手として好成績を残していましたので、中学・高校ではずっとスポーツ中心の毎日でした。毎朝5時起きでトレーニングに励んでいた高校時代は、放課後に友達と寄り道をするような学生生活には、全く縁がありませんでしたね」
　
　アスリートとして、毎日のフィジカルトレーニングに加え、メンタルの強化にも取り組んでいた有田さん。しかし、目指していた体育大への進学を前に、突然夢を絶たれてしまいます。
　
　「生まれつき内臓に持病を持ちながら、だましだまし競技を続けてきたんですが、精密検査の結果、ついにドクターストップがかかってしまったんです。10年以上のストイックな日々は一体なんだったんだろうと、悔しさでいっぱいになりました」

　目的を失った喪失感に戸惑いながらも、なんとか気持ちを切り替え、別のコースへの進学を果たすと、これまで考えることもなかったアスリート以外の道を模索。葛藤の末、次第に現実を受け入れていきました。

　「社会に出て以降、出会った人たちの日々の打ち明け話を、わがことのように聞いているうちに、生き方のヒントを求められる機会が増えてきたんです。私の経験が、夢をあきらめざるを得なかった多くの人々の再生の一助になるのではないか。そんな思いから、本格的に心理カウンセラーとして活動し始めたのです」

今できることに目を向け、「毎日が楽しいと思える自分」への思考の転換をサポート

　「人はいつか報われると信じて、困難と思える目標にも立ち向かいます。ところが挑戦そのものができないとなると、『全てのことに意欲が持てない』『社会に出る自信がない』といった気持ちにとらわれ、自分自身を見失ってしまうのです」
　
　誰の身にも起こる思考停止状態を回避するために、有田さんのセッションでは「足元に意識を戻し、今すぐにできることに目を向ける」という「考え方の転換」をアドバイスしています。
　　
　場合によっては、本人以外の保護者や周りの人にも個別にヒアリング。相互依存のチェックのほか、深刻なケースでは、医療的な介入が必要かどうかの見極めも慎重に行います。

　サロンで行う少人数制の勉強会では、大人クラス・青少年クラスともに、自分らしく生きるために、自らの心をひもといていく自己啓発法を中心に提案。「生きづらい」という気持ちを前向きに変換し、「毎日が楽しいと思える自分」でいられるよう導いていきます。

　オンラインによるコミュニケーションが中心だった期間を経て、「より身近で支える存在が求められている」と実感した有田さん。
　「うさカフェは、子どもや障がいのある人など誰でも集える言葉のいらない癒やしスポットです。モフモフに触れてもなお満たされないと感じときは、ステップを上がってみてください。自分らしい生き方と笑顔を取り戻せる扉がそこにあるはずです。決して自分をあきらめないでほしいですね」　とメッセージを送ります。　
　
（取材年月：2023年3月）

地域に根差した新たな癒やしのスポットで取り組む「自分をあきらめない力」の再生

「うさカフェ」の2階に設けたカウンセリングルームで心理カウンセリングや勉強会を実施

アスリートの夢を絶たれ現実を受け入れてきた経験が、人の心をどこまでも思いやる力に

今できることに目を向け、「毎日が楽しいと思える自分」への思考の転換をサポート

専門家プロフィール

Other Interview