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花が秘める無限の力で、人をケアするプロフェッショナルを育成!

世界から医療福祉分野まで花仕事のプロを育成する学院長

松戸圭子

「アトリエPOSY」松戸圭子さん
松戸圭子さんワークショップ風景

#chapter1

「植物ケアデザイナー」の育成と「植物パズル療法(R)」の普及に尽力

 植物が持つ大いなる力をさまざまな角度からアプローチし、医療・福祉・教育の場に役立てているのがアトリエPOSYの松戸圭子さんです。その松戸さんが花と出逢ったのは、看護師時代に通った公民館教室でした。
「整形病棟を担当していた時にリハビリに意欲がない患者さんを見て、何か手はないかと考えていましたが、当時は花が力になると思い付きもしませんでした。でも、本格的に植物と関わるようになって、医療福祉現場で生かしたいと思うようになり、1999年、花の世界に飛び込みました。」

 そして松戸さんは、2011年に日本植物ケアザイナー協会を設立し、現在『植物ケアデザイナー』を育成しています。これは、さまざまな植物素材で心身の健康維持・ストレス緩和・慢性疾患等の機能維持などを目的に応じてアプローチできるプロ。具体的には、植物の知識やスキル、アロマテラピー知識、介護・医療の基本的な知識・技術を総合的に身に付け、植物ケアを行います。この資格を目指す人は、看護師、作業療法士、介護士、介護福祉士などの、医療や福祉の現場に携わってきた人が多く、取得すると、一般企業から学校、福祉施設、医療・療養現場など多様な現場で活躍できる可能性が広がると言います。

 さらに松戸さんは、育成した植物ケアデザイナーとともに植物を使った作業療法の普及にも力を入れています。「植物パズル療法(R)」は、看護師、作業療法士のチームで開発し特許取得した専用アレンジブロックとキットを使い、独自の作業療法プログラムで手指機能の維持改善、認知機能の維持を目指す作業療法。
 「よくフラワーアレンジメントと混同される方がいらっしゃいますが、違うものなのですよ。『植物パズル療法(R)』はあくまでも作業療法で、その目的は上肢機能や手指機能の維持向上、および記憶や空間認識の改善などです。」
 具体的には、吸水性フローラルフォームの専用アレンジブロックに花や茎、葉などの植物全ての素材を使い、作品をとして仕上げ、完成品は飾って楽しむこともできるそうです。ちなみに「植物パズル療法(R)」は商標登録済みで、専用アレンジブロックは2015年に特許、意匠を取得しています。

#chapter2

手指・腕の機能、脳機能の活性化などに期待できる

 子どもからお年寄りまで五感をフルに使い、上肢や手指機能の維持改善を目指す目的で作られた「植物パズル療法(R)」。
「今は主に幼稚園や保育園、福祉や医療の施設などに講師を派遣して行っていて、幼児や学童の教材としても向いています。準備に時間がかからないですし、レクリエーションとしても楽しめますよ」と松戸さんは笑顔で語ります。

 「植物パズル療法(R)」は、基礎編と応用編の2つのコースを用意しているそうですが、それぞれの期待できる効果について、具体的に教えてもらいました。
「基礎編は3か月をワンクールとして行い、受講して期待できる効果には、物をつまむ、握る、押さえるなどの指先の基本的な動きの改善やつまむ力の向上、さらに介護の予防や、協調性・記憶・空間認識の維持改善などがあります。応用編は手指や上肢機能の総合的な訓練を行い、期待できる効果は、基礎編で得られる効果にプラスして、さらにストレスの緩和及びホルモンバランスの調整などです。」

 また、「植物パズル療法(R)」を自宅で気軽に楽しみたい方には、単体のセットも用意しているそうです。メールや電話でのサポート、完成写真も付いているので、初めての方でも簡単に作ることができると言います。

講習風景

#chapter3

花活動の本質を次世代に継承したい

 松戸さんは、一般社団法人日本植物ケアデザイナー協会を立ち上げ、植物ケアデザイナー育成のためのカリキュラムを作成し、さらに植物パズル療法も考案、特許まで取得しています。
 多彩なアイデアの原動力ついて伺ってみました。
「手術室や整形外科に所属していた看護師時代は、常時ドクターや作業療法士、理学療法士などのメンバーと会議の連続でした。皆で話し合い患者さんのプログラムを組み、社会復帰に向けたサポートを当たり前に行っていたので、その経験が現在の活動に生きているのだと思います。」

 今後はさらに植物ケアデザイナーを増やし、メンバーとともに「植物パズル療法(R)」普及と医療・福祉分野での地位確立を目指したいと、松戸さんは言います。

 「受講中の生徒さんを全力でサポートし、『植物ケアデザイナー』活動の実践、貢献度を上げていきたいです。そして医療の一つのアイテムとして『植物パズル療法』を取り入れて欲しいと思います。植物療法への関心が集まっていますので、需要は高まるでしょう。そして何より、花活動の本質を次世代に継承していきたいです。」

 大昔から人間のすぐそばにあった植物。そこには人間が持つ「恒常性」の力を最大限に発揮する為の、目に見えない優しさや未知なる力が備わっているのだと感じさせてくれました。

(取材年月:2017年1月)

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Profile

専門家プロフィール

松戸圭子

世界から医療福祉分野まで花仕事のプロを育成する学院長

松戸圭子プロ

マスター植物ケアデザイナー

株式会社アトリエPOSY

自身が代表を務める協会では「植物ケアデザイナー」を養成。さらに手指・腕の機能改善、脳機能の活性化を目的とした「植物パズル療法」の普及に努める。企業から医療分野まで幅広い人々の心と体の健康を支えている。

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