豊富な経験で癒やしと元気を届けるフルート演奏家日置智美

豊富な経験で癒やしと元気を届けるフルート演奏家

日置智美

主催者と聞き手の気持ちを第一に考えた演奏で、子どもから高齢者まで幅広い層に音楽の喜びを提供

　「フルートはオーケストラで高音パートを担当し、小鳥がさえずるような癒やしや、キラキラした楽しさを表現することが多い楽器です」

　そう語るのは、名古屋市名東区で「日置フルート＆ピッコロ教室」を運営する日置智美さん。演奏家として東海地方のプロオーケストラのエキストラとして所属する名古屋アカデミックウィンズのフルート奏者として活躍するほか、ソロや室内楽など幅広く活動を展開。これまでにNHK Eテレ「オーケストラの森」への出演をはじめ、豊富な実績を重ねてきました。

　長久手市の公立文化施設「文化の家」では、芸術家集団「創造スタッフ」として7年間所属し、演奏と企画業務を担当。バレエや演劇、舞台芸術を融合したコンサートや、市内の保育園・高齢者施設・病院での出張演奏を数多く手掛けてきた経験があります。

　聞く人の年齢や雰囲気に合わせた選曲で、本格的なクラシックから参加型の楽しいプログラムまで、さまざまなコンサートを開催。ハープとのアンサンブルや室内オーケストラなど、豊富な人脈を生かし、多様な編成に柔軟に対応しています。

　保育園では手遊びや物語の朗読と組み合わせ、子どもたちの笑顔や踊りで大盛り上がり。高齢者施設では懐かしい日本の歌や親しみやすいクラシックを演奏し、「感動しました」「元気が出た」という声も。東区にある大正時代の建物を改修した多目的ホール「百花百草」では、庭園の花々を望みながら奏でる癒やしの演奏が好評を博しました。

　「企業パーティーや商業施設はもちろん、小さな楽器と優しい音色の特長を生かして病室等限られた空間での演奏も行っています。学校公演やアートギャラリー、子育て講座等セミナーとのコラボ企画など、幅広いご依頼に対応可能です。主催者のイメージを大切にしながら、聞き手主体の演奏を心掛けます」

震災での慰問演奏や人生の困難を乗り越え、人との絆を大切にする演奏家へ

　日置さんは小学5年生の時、部活で先生に選ばれてフルートを担当することになりました。もともとピアノ講師の母のもとでピアノを習い、音楽に親しんでいたものの、当時はフルートの名前すら知らなかったといいます。それでも、ピカピカと輝く楽器に胸を躍らせ、以後も趣味としてレッスンを続けました。

　短期大学は英語科に進学しましたが、中部大学のオーケストラサークルに参加したことをきっかけに、フルートと合奏の楽しさに魅了され、音大受験を決意。名古屋芸術大学4年生の夏休みにはオーストリアのザルツブルク・モーツァルテウム音楽大学でも学び、本格的に演奏家の道を歩み始めます。

　演奏活動の傍ら、長久手市文化の家創造スタッフとして、美術家など多様なジャンルの芸術家と舞台を作り上げる経験を重ね、企画力や対応力も磨かれたといいます。

　転機となったのは、2011年東日本大震災。慰問演奏で訪れた陸前高田市での体験が、日置さんの音楽観を大きく変えました。

　「壊滅的な状態の街で、合唱団と一緒に演奏した時、空気が変わる瞬間を見たんです。笑えなくなった子どもたちが話しかけてくれて、音楽で心を和ませることができると実感しました」

　その後、母親の10年間の闘病介護、同時に出産・子育てが重なり、コンサートの出演回数は月に何度も行っていた時期から激減。演奏家として悩める時期を経験したことで、技術だけでなく人との関わりを重視するようになり、「聞いてくれる方が主体」という演奏哲学を確立しました。

　現在49歳。今もなお向上心を持ち、フルートの師匠からレッスンを受け続け、自主コンサートで格調高いクラシックを演奏にも挑戦。技術もセンスも日々磨き続けています。

音楽を通して、人と人のつながりを大切に育むフルート＆ピッコロ教室

　日置さんは2001年にフルート・ピッコロ教室を開始。現在では8歳から80代まで、初心者から上級者まで幅広い世代の生徒が通っています。

　フルートは小型で持ち運びがしやすく、比較的手頃な価格で始められるのも魅力。弦楽器のように音程を指で作る必要がなく、穴を押さえれば確実に音が出るため、どなたにでも親しみやすいそう。そして何より「音色が好き」「憧れていた」という人が多いとか。また、肺活量や頬の筋肉なども鍛えられ、健康や美容にもおすすめだといいます。

　指導面では、カウンセラー講座の受講や子ども英会話教室の講師経験があり、生徒の心情に寄り添ってくれるのが特徴。会話を大切に、人と人との関わりを重視し、音楽や演奏の楽しさを伝えています。生徒同士の交流を促進するため年1〜2回実施している合奏の発表会では、音色が美しいと賞賛の声も。

　フルート以外では、子ども向けのピアノ教室を開催。ソルフェージュや楽典といった音楽の基礎知識も楽器を問わず指導し、幅広いニーズに応えます。

　「日常生活に音楽が加わることで、心に残る時間を共有できたらとても幸せです。これからも演奏や指導を続け、お客さんや教室の生徒さんとの大切な時間を積み重ねていきたいと思っています」

（取材年月：2025年5月）

人の心に寄り添い、フルートの美しい音色で癒やしと元気を届ける

主催者と聞き手の気持ちを第一に考えた演奏で、子どもから高齢者まで幅広い層に音楽の喜びを提供

震災での慰問演奏や人生の困難を乗り越え、人との絆を大切にする演奏家へ

音楽を通して、人と人のつながりを大切に育むフルート＆ピッコロ教室

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