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ノーリフティングケアの普及を軸に職場の労働環境改善をサポート

「抱え上げない介助」を軸に定年まで働ける職場づくりの専門家

宮田尚彦

宮田尚彦 みやたなおひこ

#chapter1

一人一人が成長できる満足度の高い職場づくりのために「抱え上げない介助」を目指す

 「職員が長く安心して働ける職場づくりを」と、人材不足に悩む介護業界の労働環境改善を目指す「ミヤタリフト」。
 代表の宮田尚彦さんは「抱え上げない介助」で、職員の身体的精神的負担を軽減する介護用リフトの導入をトータルでプランニング。介護リフトを中心とした移乗機器の普及を軸として、介護職員や地域の人が笑顔で過ごせる未来のために活動しています。

 「介護用リフトは体の負担を軽減する優れたツールの一つですが、現場で使いこなせなければ、労働環境の改善にはつながりません。効果的に活用するためには、新しい技術や考え方を積極的に取り入れ、未来を見据えて進んでいこうとする施設の組織風土そのものを見直す必要があると気づきました」

 数多くの施設の現状を目にしてきた宮田さんは、「職場への定着も含めた満足度の高い組織運営から人材育成を考える必要がある」と、第三者の立場で組織運営にも踏み込んだ人材マネジメントを展開。
 人材採用定着育成コンサルタントとして、適切な道具や技術の導入と意識改革を進め、職員が身体的・精神的ストレスを抱えることなく円滑に働くことができ、一人一人が成長できる満足度の高い職場づくりを支援しています。

 介護リフトについては、使用場所や用途に合わせて、国内メーカー14社70機種以上からチョイス。出張デモンストレーションや実務研修のほか、フォローアップセミナーも実施。
 「身体状況や使用するシーンに合わせて一人一人適正に選定します。日常の介助姿勢や介助方法についてもレクチャーし、腰痛を引き起こさない介助を目指します」

#chapter2

介護現場の課題に対応するため創業して見えてきた「生涯を掛けて進む道」

 宮田さんは「いつかは生涯をかけるべき事業を手掛けたい」と、好機を探りながら、さまざまな職種を経験してきました。バイクブランドのメカニックや代理店営業などで実績を上げながらも、なかなか将来像を描けずにいたそう。

 「30代目前で飛び込んだのが介護リフトメーカーです。これまでも手応えを感じたことはあったのですが、お客さまからの切実な思いを受け、心からの感謝の言葉をいただいたのは初めての体験だったのです」

 以後16年にわたって勤め、年間300人以上、延べ6000人以上の移乗手段の構築に尽力してきました。

 「介護施設などへの移乗機器の導入支援を数多く行う中で気づいたのは、同じように設備を整え訪問支援を行っても、うまく現場が回り出す施設と、改善の見られない施設とがあるということ。道具の使用法に大きな違いはなく、人材が定着しない、職場内のコミュニケーション不足など、“人”に関わる部分に課題があることがわかってきたのです」

 「介護が必要な人が、家庭内だけでなく地域で心穏やかに過ごせる場所が一つでも増えれば」と、根本課題に挑戦するべく独立。

 慢性的な人材不足に悩む介護業界。人員の確保に追われ、組織内の環境改善にまで手が回らないケースも見られます。宮田さんは移乗リフトの活用を促す一方で、「人材定着のための意識改革の面からも手立てを講じるべき」と立ち上がりました。

 「笑顔で生き生きと働く人が増え、『この職場を選んで良かった』と誇りを持って思える、そんな職場づくりを応援したい」
 宮田さんが探し続けていた「生涯を掛けて進む道」が見えたようでした。

#chapter3

介護を担う人の「困っている人に寄り添いたい」という高い志を尊重し、応援

 新しい技術を導入する組織風土を成熟させることを目指して、施設運営の課題にも切りこむ宮田さん。
 「改善が見られた施設で共通しているのは、何のためにリフトを導入するのかをしっかり理解し、新しいことに一致団結して向き合い、前向きに物事を進めていく文化が土台にあること。限られた人員でも高いサービスの提供が実現できています」

 宮田さんは施設の職員に向けて、より良い働き方やモチベーションの向上、チームとしての現場の在り方などを、1年間を通して講習。グループワークを中心に、働く人の意欲を引き出す試みを続けています。

 ワークショップは「いつも笑いが沸き起こる」と参加者からも評判。実務以外での交流を促し、職場内の雰囲気を和ませることにも気を配ります。

 「トップダウンで機器や技術の運用を推し進めるのではなく、現場の隅々からも声を上げやすい環境づくりが重要。経験の有無に関わらず、常に情報共有できる風通しの良い環境づくりを基本としています」
 
 宮田さんが介入することで「介助中のトラブルが回避できた」「離職者が減った」との声もあるとか。

 「介護職に就く人の大半は、『困っている人の気持ちに寄り添いたい』という高い志を持っておられます。押し寄せる技術革新の波や限られた人員での業務負担は、人と人とがじっくり向き合う時間や気持ちのゆとりを奪いかねません。目の前の作業を優先するために、初志に蓋をせざるを得ないこともあるでしょう。職当初のかけがえない思いを、しっかり持ち続けていただけるよう、職員も利用者も、そして家族も『この施設で良かった』と笑顔で過ごしていただきたいですね」

(取材年月:2024年7月)

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専門家プロフィール

宮田尚彦

「抱え上げない介助」を軸に定年まで働ける職場づくりの専門家

宮田尚彦プロ

人材採用定着育成コンサルタント

ミヤタリフト株式会社

定年まで働ける職場づくりを目指し、身体的・精神的負担を軽減する労働環境と、施設運営者と職員、現場の職員同士の人間関係を改善。入居者が笑顔で過ごせ、預ける家族も安心できる施設づくりで地域の未来を考える。

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