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生地×印刷から広がる、広告の世界

生地に印刷を施して広告やノベルティをつくる宣伝広告の専門家

奥村卓真

生地に印刷を施して広告やノベルティをつくる宣伝広告の専門家 奥村卓真さん
株式会社服部の外観

#chapter1

気軽で、安価で、交換しやすい、フラッグ広告

 街で見かけるさまざまな広告の中でも、自然と目に入ってくるものの一つが、“のぼり”をはじめとしたフラッグ広告ではないでしょうか。コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、ショッピングセンター、商店街…私たちの身の回りには、想像以上にたくさんのフラッグ広告が溢れています。そんな生地と印刷を組み合わせた各種広告物をつくっているのが、名古屋市中区に本社のある服部株式会社。同社の創業は、1872(明治5)年。その8代目として代表取締役を務めているのが、奥村卓真さんです。「もともと当社は、旗の卸売りとして創業しました。当時から全国のお客さまと取引があり、これまでにも世界的なスポーツ大会やJリーグ、サッカーのワールドカップ、国際博覧会などのオフィシャルフラッグを取り扱ってきた実績があります」

 広告主にとってフラッグ広告の魅力は、安価で交換がしやすいこと。また、屋外では風に揺れることで存在感をアピールすることができるため、目に止まりやすいというメリットもあります。「“のぼり”などは大掛かりな工事が必要ありませんので、設置や交換、撤去が簡単にできます。そのため短期間で特定の商品をアピールしたいときなどに有効な手段として、幅広い業界で利用されています」。また看板などに比べて制作費や輸送費が掛からないため、短期間で大量に行き渡らせたり、ノベルティグッズとしてユーザーに配ることもしやすいといいます。

#chapter2

卸売りからメーカーへ。家業から企業へ

 創業当時は卸売りとして、仕入れてきた商品を売ることで商売をしていた同社ですが、1998年に大きな転機を迎えます。「それまでにも、業界に先駆けて海外の事業所を開設したりなど、常に新しいことにも挑戦してきました。しかし、時代とともに同業社が増えてきたことなどから、単なる卸売りではなく、製造機能のあるメーカーへとしても展開をすることになったのです」。同社は、自社で製品を製造するために印刷機を導入。自社製品の開発にも取り組みます。そして、卸売りからメーカーへの転換が進む2006年に奥村さんは入社します。「社会人になって改めて外から家業を見たときに、この会社をもって発展させたいという気持ちが強くなっていきました」

 同社に入社した奥村さんは、さまざまな経験を積みながら、業界のことや経営について学んでいきました。そんな奥村さんと同社にとって、再び大きな転機が訪れます。2010年に名古屋市内にあった工場を、みよし市に拡大移転したことでした。「メーカーとしての仕事が増えたことで、工場を拡張する必要性が生じました。営業活動も強化し、生産性も拡大したことにより受注は増えましたが、従業員への負担も増えました。当時は移転に伴う退職の人手不足も重なり、しばらくは総動員で工場を稼働している状況。会社が成長していく中、社内体制の強化がこれからの課題であることを実感しました」。2014年に30歳で代表取締役に就任した奥村さん。それまでの家業から企業としてのさらなる成長を目指して、経営体制の見直しや新しい事業部の立ち上げ、新商品の開発などへの決意を新たにします。

イタリア製の最新型の印刷機

#chapter3

新しい技術と生活様式で生まれる、新しいマーケット

 2020年2月、以前より準備を進めていたイタリア製の最新型の印刷機が、みよし工場に導入。「これにより、これまで以上に高品質な製品を短納期で製造することができるようになりました。またこの機械では、2019年より取り組んでいる環境に配慮した資材やアパレル商品などへの印刷も可能です」。紙媒体からインターネットへ、あるいはデジタルサイネージなどへの広告が増える一方で、以前と変わらないほどのニーズがあるのがフラッグ広告であり、そして“生地への印刷”という手法です。さらに新しい技術と生活様式は、新しいマーケットも生み出します。「実際、街を歩いてみてもフラッグ広告が減ったという感覚はないと思います。むしろ印刷や加工技術が進化したことで、新しい商品も生まれてきています。費用対効果的に見ても、『生地に印刷をする』という手法には、まだまだ十分な可能性が広がっています」

 2022年に創業150年を迎える服部株式会社。その想いは、企業理念でもある「創造×紡ぐ」に集約されています。「紡ぐという言葉には、これまでつくり上げてきたものをつないでいくという意味もあります。今日の当社があるのは、これまで多くのお客さまや取引先、従業員の想いを紡いできた結果。そこにこれからの時代を生き抜くための新たなアイデアを加えることで、当社は今後もより成長していくことができるでしょう」。生活のさまざまな場面で見かける“のぼり”などの生地広告。一見アナログに見える手法ですが、もしかしたら、これこそが一番、私たちの記憶に残る広告の形なのかも知れません。

(取材年月:2020年8月)

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専門家プロフィール

奥村卓真

生地に印刷を施して広告やノベルティをつくる宣伝広告の専門家

奥村卓真プロ

広告プロデューサー

服部株式会社

生地への印刷や製品の製造を、自社工場で行っています。2020年には海外から最新の印刷機も導入。従来の布広告だけでなく、環境に配慮した資材やアパレル商品などにも、高品質な印刷ができるようになりました。

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