親と子の心を結び、子育て経験をキャリアに繋ぐ専門家澤田有心子

親と子の心を結び、子育て経験をキャリアに繋ぐ専門家

澤田有心子

母親の愛情が生涯にわたって子どもの心を支える大きな力に

愛知県名古屋市を中心に、子育て支援教室で各種講座を開催している「町のお母さん保健室Hidamally（ひだまりぃ）」代表の澤田有心子さん。「アドラー心理学講座」や「Being up講座」などのオンライン受講生を全国から広く受け入れています。

　保育園や幼稚園など、これまで子どもと関わる仕事を続けてきた保育のプロであると同時に、3人の子どもの母親でもある澤田さん。幼い頃に親にほめてほしかったという思いから、保育の現場で実践していた“8割ほめて2割しかる”という教育を家庭でも行っていました。

「でも、わが子をほめるほど、子どもは自信を失くし、消極的になっていきました。アドラー心理学の考えでは、子どもはほめられることで、できている自分しか認められず、自分のダメな部分を受け入れられなくなってしまうそうで驚きました」と当時を振り返ります。

　自身の経験からも、澤田さんは母親と子どもの自己肯定感を高める「アドラー心理学の勇気づけ」、独自に開発した「Being up講座」で多くの母親の心を癒やし、それぞれの“家族の絆”を応援。親と子の心をつなぐコンサルタントとして母親の幸せな自己実現をサポートしています。

「将来、親元を巣立った子どもたちが何かつらい出来事に直面した時にも、心の支えになるような子どもへの『正しい愛情の伝え方』を多くの人に発信しています」とやさしい表情で話します。

子育中の母親たちが学びを通して自己肯定感を育む専門家へと成長

澤田さんの講座を受講するのは未就学児や小学生、中学生の子どもを持つ人がほとんど。「イライラを止められない」「一人目の子を愛せない」「罪悪感が辛い」など悩みはさまざまです。その悩みの根底に共通して存在するのは母親の子どもに対する深い愛情ですが、うまく伝えられず、自分には母親としての能力が足りないと思い込んでいる人が多いとか。

　「講座では、お母さんの自己肯定感を高めることを大切にしています。母親がありのままの自分をすべて受け入れて幸せになる必要があるからです。考え方を変えることで、今までの子育ての中にすでにある宝物を探し出すことができます」

　Being up講座では、受講生の力を借りながら澤田さんが開発した「可能性のたね開花シート」を使い、自己肯定感、自己効力感、自己有用感を育み、「感情カード」を使って心の中を整理していきます。
「なりたい自分になるためにブレーキをかけている一番の短所が、実は自分の可能性を芽吹かせる種。例えば『自分が嫌い』という特徴も裏を返せば、人のいいところ探しが上手、失敗から自分を守る力がある、理想を持つ力があるであり、素晴らしい才能です。ただその才能を発揮し過ぎているだけです」
一つひとつの感情を理解し、視点を変えていくだけで受講生からは「魔法がかかったように見える世界が変わった」といった感想も。

「お母さんが自分を知ることで、子どもとの関わり方が大きく変化します」と澤田さん。
「講座で学んだことを実際の子育てに反映するとともに、キャリアとして仕事に生かせるように、また社会貢献につながるようにリーダー養成講座も展開しています。サポート体制も充実し、多くの方が子育てで悩んだ経験を糧に認定講師として活躍しています」

ひとりでも多くの人が笑顔になり、子どもが未来に希望を持てる社会を目指す

澤田さんが2018年に設立した「Being up協会」では、子どもたちが未来に希望を持ち、大人になることに憧れを抱けるような社会づくりを目指しています。

「きっかけは年間の若者の自殺者が2100人を超え、その数が増加傾向にあること。自殺の原因の中で自分の学力に対する悩みが多いこと、そして日本の子どもたちの自己肯定感がとても低いということ。この現状を少しでも良い方向に導くために、自分にできることをしたいと思いました」

　同協会では「目に見える行為の結果」「行動を支える気持ち」「命に敬意を抱く能力」の3つのマインドを伝えています。
「目に見える行為の結果が思うように出なくても、命の尊さ・価値は何も変わらないことをお話ししています。受講した方からは『Being（存在に対する自信）』と『Doing（行為に対する自信）』を分けて考えることで、失敗を恐れず、したいことに挑戦できるようになったというお声を沢山いただいています」

入門編や実践編、リーダー養成といった講座を開いている澤田さん。その中に「プラチナ子育て講座」があり、名前には、時を経ても輝きが変わらないプラチナのように、母の愛情は時を超えて子どもの心に宿り続ける、という願いが込められているそう。

講座以外にも、澤田さんは集めたプラチナ基金を児童福祉施設に寄付するなど幅広く活動しています。

「子育てをがんばるお母さんの心が豊かになれば社会も豊かになる」、そんな“笑顔の連鎖”を実現するために尽力する澤田さんのもとで、自分らしさについて学んでみませんか？

（取材年月：2021年1月）

子育てで悩んだ経験をキャリアにつなげる心のコンサルタント

母親の愛情が生涯にわたって子どもの心を支える大きな力に

子育中の母親たちが学びを通して自己肯定感を育む専門家へと成長

ひとりでも多くの人が笑顔になり、子どもが未来に希望を持てる社会を目指す

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