イタリアンをもっと気軽に味わってもらいたい（3/3）

料理の世界と、食文化の奥深さに魅せられて

　母親が調理師であることに加え、親戚が飲食店を経営するなど、料理に縁が深い環境で育った今泉さん。休みの日には親戚のお店で料理を作って味わうなど、「知らず知らずのうちに包丁を握っていた」といいます。高校卒業後に勤務した市場では、魚のさばき方などを、当時可愛がっていただいていた魚屋さんの手伝いをしながらマスター。料理の道に進んだ友人も多かったことから、自分も料理の道に入ることになりました。

　さまざまな場所で修業しながら、次第に魅かれていったのがイタリア料理。「スローフード」の言葉が生まれたイタリアでは、地域に根差した伝統的な食材や料理が大切にされ、多様で多彩な食文化が成り立っています。一見同じような料理でも、地方によって味付けが異なったり、食材そのものの良さを生かしたシンプルな料理があったりするところにも、日本の料理と通じるものを感じたといいます。

　そうした中で出会ったのが、ローマ近郊にある、「アグリツーリズモ」と呼ばれる施設。日本風に言えば「農家レストラン」といった感じでしょうか。友人の紹介で行ってみたところ、すっかり気に入り、さまざまな料理を学びました。

　本場で身に付けた技と、自分ならではの工夫。そして、お客さまへの心遣い。今泉さんの強い思いが込められたメニュー一つ一つが、多くの人たちを幸せにしているのです。

（取材年月：2019年11月）

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