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寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(てらだあつし) / 行政書士

寺田淳行政書士事務所

コラム

マイナンバーカードの取得

2022年9月22日

テーマ:最近の話題から

コラムカテゴリ:くらし


【今日のポイント】

 この9月末までにマイナンバーカードの取得率を100%に。

 政府が打ち出したスローガンですが、
かなり困難な状況が続いています。

 今回は現時点で紹介されている主なサービスや特典について紹介すると共に、
普及促進を阻害している要因についても考えてみました。

 まずは、そのメリットを簡単に紹介したいと思います。

【本人確認に利用】

 最初から紹介されているのが、本人確認書類として利用出来ることです。
例えば、ある手続き上マイナンバーと本人確認が必要な場合には、
マイナンバーカードがあれば、同時に確認手続きが終了します。

 最近では一部のライブ会場への入場時や、新規の会員登録時にも
マイナンバーカードで対応可能というケースもあるようです。

【健康保険証として】

 こちらは最新?のサービスとして紹介されています。
健康保険証としての機能をマイナンバーカードに内蔵させることで、
いちいち健康保険証を別途持参しなくても済むというものです。

 当然、本人の同意が必要ですが、
全国の医療機関や薬局で、服薬の履歴や特定の健診情報が確認出来ます。

【行政手続きで】

 これも以前から謳われているサービスのひとつです。
最も身近なものとしては、確定申告時のe-taxでの申請でしょう。
この他にも各種の行政手続きで、オンライン申請可能なものがあるようです。

【マイナポータル】

 これも導入当初のウリのひとつでした。
マイナンバーカードを取得することでマイナポータルが利用できます。

 詳細は省きますが、
要は自分専用のサイトで、オンライン申請や情報の確認が出来るというものです。

【公的書類の取得】

 コンビニで証明書が取得できます(例えば住民票の写し等)

 これまでその都度自治体の窓口に出向かなければ出来なかった
住民票を始めとする各種の公的書類が役場の窓口に行かずに取得できます。

【コロナ対応】

 これは最近のサービスと言えるでしょう。
コロナワクチンの接種証明書がスマホアプリで発行出来るサービスです。

 国内用、海外用の接種証明書を、スマホアプリで取得可能となり、
アプリの起動でいつでも表示も可能になるというものです。

【給付金申請】

 給付金の受取がスムースに出来ます。

 受取口座を登録すれば、
年金や児童手当等今後申請する際に従来は欠かせなかった
口座情報の記入や通帳の写しの提出といった手間が省けるというものです。

【民間との連携】

 さらに、民間サービスとの連携も拡大中。

 オンライン決済における口座情報や証券口座開設時に
将来的にはマイナンバーカードで可能になるというものです。
これによって、必要書類を郵送するといった省けることに。

【取得促進策】

 さらに、申請=取得の促進策として、

マイナンバーカードの新規取得で
「5,000円分のマイナポイントの付与」



健康保険証としての利用申し込みをすれば
「7,500円分のポイントを付与」


公金の受取口座登録でも
「7,500円分のポイント付与」


 これらが現在展開中です。

 仮に、全てを同時に行えば、
最大で2万円分のポイントが最初から付与される訳です。

【なお残る課題】

 以上、
現在確認出来るマイナンバーカードでの特典やメリットを紹介してきました。
ですが、なお取得率は芳しい進捗を示していません、何故でしょうか?

 個々のサービスについて少々掘り下げてみました。

 まず、2)の健康保険証としての利用についてです。
以前から紹介していますが、このサービスを受けるには、
当然ながらサービス対応可能な医院ありきとなります。

 個人的な情報ですが、私のかかりつけの複数の医院では、
全てサービス対応への準備はしていません。

「そういった要望が(患者側から)まだ出てきていない。」
「それなりの費用が発生するので、導入には慎重を期しています。」
 
 ニュアンス的には、
他が導入したら考えるといった「様子見」の姿勢が目立ちました。
確かに安くはない費用をかけて対応可能としても、肝心の患者側が
カードの保険証仕様でなければ、全くの宝の持ち腐れです。

 さらに、気になる事例がありました。
例えば「東京保険医協会」のホームページでは、
マイナンバーカードへの利用について疑問を呈しています。

 参考までにリンクを貼っておきます。
東京都保険医協会ホームページ

 ここに記載されている内容に近い文言の同協会のポスターも
病院内の待合室に展示されているケースも目にしました。

 医者サイドの現場の足並み自体が、未だに揃っていないと感じました。

 これをユーザー側から見た場合、
施設側で利用出来ないサービスの為に、
わざわざ新規取得を考えるユーザーが出て来るとは思えません。

 まさに「鶏が先か卵が先か」の状態が続くだけではないでしょうか? 
 
 5)のコンビ二での証明書の取得についても、
まだ全国一律で対応可能のサービスではありませんし、
利用可能時間も統一ではありません。

 まだまだ発展途上のサービスと思えてしまいます。

 よりシビアに言えば、
一例として住民票を取得する機会を考えた場合ですが、
同一人物が一生の間に何度取得する必要に迫られるのでしょうか?
転勤族のサラリーマンでも2,3年に一度あるかないかでしょう。
毎年・毎月取得するようなケースは思い当たりません。

 一見すれば便利なサービスですが、利用頻度を考えれば?となります。

 他にも阻害要因として、思い当たるものはいろいろありますが、
総括すれば、今の内容では「なくても不便じゃない」範疇のサービス
だからではないでしょうか?

 あくまでも個人的見解ですが、
6)のコロナワクチンの接種証明も、近い将来には不要になるのでは?
一般の疾病と同じ扱いにまでなれば、この機能はお役御免となります。

 さらに懸念されること(され続けていること)は
一枚のカードに多彩なサービスを納めてしまうことは
紛失時、盗難時、破損時に一気に生活の機能不全に陥る不安が払拭できません。

 「複数の卵を一つのバスケットに入れてはいけない。」

 便利とリスクは同じカードの裏表の関係というのは、
マイナンバーカードにも当て嵌まると考えるのは間違いでしょうか?

 最も取得に躊躇する要因は、
個人情報を登録することで「個人の資産情報が把握される」こと。

 未だにここに強い抵抗を感じるといった声は、軽減していないようです。

 冒頭で紹介した
政府の「今年度中の全員への普及」ですが、9月初旬で50%未満でした。
このままの推移では、目標達成はほぼ実現不可能でしょう。

 無論、上記のサービスの中に
「欲しかったサービス」「自分にとって便利と思うサービス」
があった場合には、積極的に申請手続きを行うでしょう。 

 例えば、
1)に紹介した本人確認としての利用についてですが、
大企業の場合は、社員証等で対応する場合もありますが、
従来最も本人確認の手段として活用しているのは、「運転免許証」ではないでしょうか?

 
 以前は免許を取得していない専業主婦層等が
自分の身分証明書類の用意に苦労するといったケースをよく耳にしました。

 最近では高齢者で免許返納後の身分証明をどうすればといった話もあります。

 このような場合には、
マイナンバーカードの取得は本人にとって公的な身分証明としてメリットとなるでしょう。

 逆に言えば、免許証の保有者や、その他の公的な資格の取得者には響かないものとなります。


 結局は、
自分にとって今必要なサービスがあるかどうかが、取得のポイントになるわけです。
「周りの様子を見てから」「まだ誰も申請していないから」等のような他力本願は
何の意味もありません。

 その為にも、
自分自身で現在のマイナンバーカード取得による特典や自分にとってのメリット、利便性を
積極的に調べるという行動が大切になってくるのです。

 それと同時に、「なくても不便じゃない」から「あれば便利」「欲しいサービスがある」
といった魅力的なサービス内容の充実について、もう少し時間をかけて検討を重ねて、
本当に必要とされるサービスを付与することも、また必要なのではないでしょうか?

この記事を書いたプロ

寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(寺田淳行政書士事務所)

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