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選手の主体性を高めるサッカー指導者が、人材育成メソッドを伝授

サッカーを通じて主体的な人材を育成するプロ

加藤浩

加藤浩 かとうひろし
加藤浩 かとうひろし

#chapter1

自ら考え行動して可能性へのチャレンジを続ける選手を育成

 少年サッカーチーム「山口サッカースクール」監督の加藤浩さんは、1998年のチーム設立以来、「可能性へのチャレンジ」をコンセプトに掲げ活動しています。同スクールは山口県代表として全日本少年サッカー大会全国大会やバーモントカップ全国フットサル大会などの全国大会に合計17回出場、全国準優勝、3位など県内では最高成績を残すトップレベル。加藤さんは「全国の強豪と戦うには、それ相応の努力と工夫が必要」と言い切ります。

 「少しハードルが高いことに挑戦させ、やり遂げることで自信を持たせるという指導を貫いてきました。それぞれの個性を見極めた導き方をすれは、子どもは自分の存在を肯定的に捉え、自らの判断思考で動くことができるんです。主体性がなければ全国の強豪には勝てません」
主体性を高める指導を実践してきた経験から、加藤さんは人材育成のノウハウを多くの人に伝えたいと考えています。「子どもの好きにさせることを主体性だと勘違いしている人も少なくありません。ただ好きなことをさせるだけでは進歩はありません。そこには可能性を引き出す指導者が必要。指導者とは、その子が想像もしなかった景色を見せてあげること」

 教え子の中には、Jリーグに入団して華々しくデビューした選手もいます。引退後もチャレンジを続け、現在は一級建築士として活躍。「サッカーを通じて培った主体性やチャレンジ精神があれば、未来は切り開けると信じています」

 加藤さんの精神的DNAを受け継いだ子どもたちは、卒業や就職など人生の節目に報告に来てくれるそう。「自分が巣立ったチームを誇りに思い、心のよりどころにしてくれているのはうれしいですね」

#chapter2

青春ドラマ好きのサッカー少年が指導者へ

 加藤さんは幼い頃から青春ドラマが大好き。「主人公がその瞬間を一生懸命に生きていく姿に心を打たれました」と話します。小学生になると、地元のサッカースポーツ少年団の初代キャプテンを務めました。指導者としての志が芽生えたのは、高校生の時に後輩にサッカーを教えたのがきっかけ。「私の言葉に反応して動きに変化が見られた時、自分の存在価値を感じました。青春ドラマのように、心の中にふつふつと熱く燃えるものがありましたね」と、40年以上も前のことを鮮明に思い出します。

 大学卒業後は小学校の教員に。着任した全校生徒100人ほどの小さな学校ではスポーツ少年団をつくり、大規模校に勝利する偉業を成し遂げました。その時から加藤さんのテーマは可能性へのチャレンジです。「やらずしてあきらめるんじゃなくて、常に奇跡を起こしてやろうと思っています。私が行動に移さなければ、尊敬する幕末の教育者・吉田松陰先生にしかられますから」と、はにかみながら襟を正します。

 2020年度末に教員を定年退職した加藤さんは、再任用されて週3日、理科を教えています。授業は一風変わっていて、黒板の前に立つのは加藤さんより児童の方が多くらいだそう。「説明だけを聞いていても面白くないから、子どもたちには理解したことをみんなの前でプレゼンしてもらうんです。演劇や替え歌、ニュースやテレビショッピング形式など、相手に伝わるように工夫する姿は本当に素晴らしい」。そんなユニークな授業を児童は「世界一の理科」と称賛しています。

加藤浩 かとうひろし

#chapter3

洞察力と愛で人材を育成するノウハウを伝えたい

 「39年の教員生活で、学力の伸ばし方や学習効果を高める授業づくりが分かってきた」という加藤さんは、自身のエピソードを交えたアドバイスを行い、若い教員の指導にもあたっています。学校現場もサッカースクールでも人材を育てるために大切なのは、角度を変えて見る洞察力と愛だといいます。

 「例えば『廊下を走るな』と注意するかわりに、『こんないい子がなぜ?』という見方ができれば掛ける言葉も変わってきます。『どうしたの?そんなに急ぐ用事があったの?』などと親身に耳を傾け、『あっ、そうなの。じゃあ次どうする?』と判断を委ねれば自らの行動を修正していけるのです。また、『よくできたね』とただほめるのではなく、その子をリスペクトする気持ちで接すると、『先生はうれしいよ』『ありがとう』と付け加えることができます。喜びや感謝が込められた心地よい言葉を投げかけられた子どもは、この次も人のためになることをしようと意欲を高めます」
 
 加藤さんは、人材育成の現場で学び得てきた知見を広く発信する方法として、オンラインツールやSNSの活用を検討しています。
 「インターネットが普及したことで、どこにいても誰とでも話ができるようになりました。サッカーがうまくなりたいという子どもには動画を送ってもらって改善点や練習方法を共有したり、指導に行き詰まった監督やコーチ、保護者などの相談にのったり、コミュニケーションの機会を増やしていければいいなと思っています」

 いつも前向きで、「やってやれないことはない」と語る加藤さんの今後ますますの活躍が期待されます。

(取材年月:2022年3月)

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専門家プロフィール

加藤浩

サッカーを通じて主体的な人材を育成するプロ

加藤浩プロ

サッカー指導

山口サッカースクール

「可能性へのチャレンジ」をコンセプトに少年サッカースクールを運営。主体性やチャレンジ精神を育む指導に尽力しJリーガー・東大生なども輩出した。教員の経験も活かし人材育成のノウハウを多くの人に伝える。

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