打ち合わせを大切に“住みこなせる家”をつくるプロ
布川潤一
Mybestpro Interview
打ち合わせを大切に“住みこなせる家”をつくるプロ
布川潤一
#chapter1
布川建築は、初代の修作さんが40年前に創業。大工として確かな腕を持つ修作さんは、2014(平成26)年度木造建築「熟練の匠」の認定を受けていて、現在も現役で仕事をする傍ら、若手大工の育成にも力を入れています。修作さんのもとで腕を磨いている大工は現在6人。最年少(23歳)の大工は、昨年行われた技能五輪・建築大工の部にも出場するなど、日々研鑽を欠かさない頼れる職人集団として成長を続けています。
こうして歴史を築いてきた布川建築に、新しい風が吹き込んだのは7年前。2010年に一級建築士である長男の潤一さんが帰郷し、布川建築設計事務所を立ち上げたのです。さらに潤一さんはもう一人、新しい人材を連れてきました。修業先の京都で出会った、妻で二級建築士の智実さんです。
こうして、これまで木造軸組工法(在来工法)をメーンに建築一本で歩んできた布川建築は、若い感性を持つ潤一さんの設計と、グラフィックデザインの経験がある智実さんのデザインセンスが加わり、設計・建築・デザインと幅広い業務が可能になったのです。
#chapter2
家づくりのスタートは、「どんな家を作るか」を決めること。設計を担当する潤一さんは、施主さまとの打ち合わせが何より大切だと話します。
「仮に35歳~40歳で家を建てる場合、子どもの誕生、成長、独立、そして夫婦の老後…と、ライフスタイルは大きく変化していきます。今、住み心地が良くても、10年経った時に住みにくい家ではいけません。変化に対応できる“のりしろ”を仕掛けておく必要があるのです。まずはお客さまがどのようなライフスタイルを思い描いているのか、またどういったライフスタイルが想定されるのかを、時間をかけて聞き取り、設計を進めていきます」
緊張した関係から、腹を割って話せる関係になることが重要ということで、時には一緒に食事をしたり、お酒を酌み交わしたりしながら、施主さまの本音をヒアリングすることもあるという潤一さんと智実さん。じっくりと十分に希望を把握していきます。材料がそろったところで、潤一さんと智実さんがそれぞれ2~3の設計案を作成し、二人でコンペをして最終案を決めていきます。
「お互いのベストを持ち寄るので、意見が分かれることもあります。でも相手のアイデアに学ぶところも多く、ここをもう少しこうすればさらに良くなる、と建設的な意見を重ね、最終的な形になります。一人で考えるよりもより良いものが出来上がっているという実感がありますね」
次に、完成した設計を基に模型を作成。立体的になることで、具体的な説明ができます。合わせて3Dグラフィックを作成し、室内の様子をより分かりやすくプレゼンテーションします。こうして立体的な完成イメージを提供することにより、ここは思った通り、ここはもう少しこうしてほしい、などさらなる希望を引き出すことができるのです。
#chapter3
設計担当の潤一さんは施主さまとの打ち合わせに加えて、もう一つ大切にしていることがあります。それは、何度も建設予定地に足を運ぶことです。
「設計は敷地ありきなんです。周囲に立つ家の窓の向きや大きさ、太陽の向き、道路状況、そして冬の雪対策など、環境を把握しないことには、間取りは設計できません。また、朝・昼・晩や季節によって敷地をとりまく状況は変化します。私は、可能な限り足繁く敷地に足を運び、情報収集をすることを心がけています」
“住みこなせる家”づくりを心がけている潤一さん。10年、20年経ってから『あのとき色々と話し合いを重ねて決めたことは、こういう暮らしにつながっていたのか』と感じることで、さらに家に対して愛着がわくような設計を目指しています。
「私が心掛けている家づくりは、ご縁をいただいて出逢った施主さまとしっかりと話し合い、その方がその敷地でしか実現できない、シンプルでおおらかな建物を作ること。これからも、私達夫婦、そして父親が率いる職人みんなで力を合わせて、施主さまの幸せな暮らしづくりのお手伝いをしていきたいと思います」
今後は、空き家が増えている現状を受け、中古住宅のリフォーム販売にも力を入れていきたい、と考えている潤一さん。「中古住宅のリフォームには、熟練の大工の腕が必要です。私たち夫婦の設計、父親が率いる布川建築の大工の腕があればこそできることだと思っているので、空き家の活用などでお困りの方もぜひお声掛けください」
(取材年月:2017年1月)
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打ち合わせを大切に“住みこなせる家”をつくるプロ
布川潤一プロ
一級建築士
布川建築株式会社一級建築士事務所
「熟練の匠」認定の大工の腕と、一級建築士の2代目夫婦が設計・デザインする、シンプルでおおらかな家づくりが強み。施主様との打ち合わせを何より大切にしています。
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