遺品整理士山形県第1号！35年以上の実績を誇る遺品整理のプロ入澤和志郎

遺品整理士山形県第1号！35年以上の実績を誇る遺品整理のプロ

入澤和志郎

始まりはリサイクルショップから。ご遺品の整理、住居の清掃は地域のニーズでした

　「最近特に、人と人との関係が希薄になっていると感じます。」と話し始めた入澤和志郎さん。有限会社風車の代表取締役で、リサイクルショップの運営、遺品整理などを行っています。
　人間関係が希薄になっていると感じるのは、長年、遺品整理をしてきた経験からくるもの。昔は近所の人や親戚などに頼ってしてきたことも、入澤さんのもとに依頼が来るようになっているそうです。

　入澤さんは、開業以前は商社に勤務するサラリーマンでした。1989（平成元）年に知人の希望を受け、出資する形で営業を始めたのが「リサイクルショップかざぐるま」でした。開業から数年間は経営不振が続き、事業の運営を見直すために、91（同3）年に商社を退職。リサイクルショップに専念し始めました。
　「リサイクルの買い取り希望は、いろいろな方が見えられます。中には生活苦のため、最低限必要なものを売ろうとする方もいて、つい品物を受け取らないでお金だけ置いてきてしまうこともあり、息子からとがめられるんですよ」と苦笑いする入澤さん。そうした人情味のある人柄が、地域に信頼され、1989（平成元）年から続く実績につながっているのかもしれません。
　そのような中、入澤さんの元に持ち込まれる「遺品を買い取ってほしい、整理をしたい、住居をきれいにしたい……」という地域の方々のニーズが、自然と「遺品整理」という事業につながっていきました。

故人の遺志や尊厳を尊重し、ご遺族の状況に最も適した遺品の整理を提案

　「買い取りをしてほしいということでお客さまのお宅を訪問すると、半数程度がご家族の遺品だったんです。そこで自然に遺品整理をすることになって、お部屋のクリーニングなどもするようになりました。」

　有限会社風車では、まず依頼主の要望を聞き、環境や状況によってどのような方法がよいかを話し合います。長年の経験に基づくアドバイスは、依頼主が心おきなく相談できる信頼にもつながっているようです。
　次に、実際に現場を訪問します。状況を確認した上で具体的な料金を算出して依頼主に提示します。訪問する際、交通費や消耗品が必要なため、見積もりは有料（通常訪問買い取り事業は無料、特殊清掃時は有料見積もり）。しかし、終わってから予想外の高額請求が来ることはありません。この誠実な方法が、長年の信頼を築く、もうひとつの要因となっています。
　引き受けることが可能な作業は、遺品の整理や買い取りはもちろん、ハウスクリーニング、消臭、除菌、引っ越しやリフォームまで多岐にわたります。
　また、仏壇や仏具、神棚、故人の大切にしていた物、思い出深い物などは、瀧水寺大日坊の遠藤住職に依頼して、真心のこもった丁寧なお焚き上げ供養をしていただきます。
　依頼主のニーズをかなえるために、地域の中でネットワークを培い、このような複合的なサポートを実現させています。

　「遺品整理というのは、さまざまな状況があります。一人暮らしの方、老夫婦の方、ご遺族が遠方にいる場合など、自力でできない環境の方が依頼されてきます。相続の問題や人間関係など、複雑な事情が絡む場合も多々あります。亡くなった方の遺志や尊厳を尊重しつつ、ご遺族の状況に最も適した方法を提案することが多いです」

依頼主にも社会にも安心な遺品整理を心がけ　県内で初の遺品整理士に

　2011（平成23）年には、北海道の一般社団法人・遺品整理士認定協会が「遺品整理士」という資格制度を作ったため、その趣旨に共感して山形県内で第1号となる遺品整理士の資格を取得。この資格取得には、「先祖を敬い、人と人とのつながりを大切にしつつ遺品整理に真剣に向き合う」という、入澤さんの信念がこめられています。
　さらに、「事件現場特殊清掃士」の資格も取得したほか、リサイクルショップや遺品整理業者ではとても珍しい「一般廃棄物収集運搬許可」を鶴岡市と酒田市で取得し、一般廃棄物の自主運搬を可能にすることで、より一元的なサービスができるようになりました。
　「近年、異業種の方々が多く参入してきたことで、いろいろなトラブルが聞こえてきますし、相談を受けることもあります。故人に対しても、依頼主に対しても、社会に対しても安心で信頼できるところを、依頼主が選ばなくてはなりません。これからも遺品整理をとりまく環境を厳しく見つめつつ、提言していきたいと思っています。」

　リサイクルショップ「かざぐるま」を経営する中で見えた地域のニーズを、一つずつかなえていく形で歩んできた有限会社風車。今では、遺品整理やハウスクリーニングに留まらず、空き家の見回りや除草なども請け負い、時代や環境の変化から生じる地域ニーズに柔軟に対応しています。
　「うちは大零細企業ですから」と笑う入澤さん。地域の方々にとっては、いざという時に頼れる、「面倒見のいい隣人」ではないでしょうか。

（取材年月：2014年11月）