「こころの知能指数」を高めるダンス指導のプロ
加藤由美
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「こころの知能指数」を高めるダンス指導のプロ
加藤由美
#chapter1
ダンス。その歴史は人類の歴史と同じぐらい古いといわれます。人々を鼓舞する手段として、教育や生涯学習の場で、また芸術として、振り付けを通して自分を表現する活動が盛んに行われています。
伴奏の音楽や振り付けのスタイルなどで、さまざまな種類に分類されるダンスですが、山形市で「ダンススペース」を主宰する加藤由美さんが提唱するのが「ダンス+(プラス)」です。
形にこだわらず、気持ちの赴くままに体を動かし、芽生えた感情を表現する。日常のあらゆる経験をダンスにしていく「感覚のダンス」ともいえるものです。このような体の動かし方をしていると、自分自身の心の内面が掘り下げられ、さまざまな「気づき」が生まれ、悩みなどへの解決策を見つけることができるのだとか。
「体を動かしながら、自分に自信がついたり、自分自身を肯定できたり、世の中が明るく見えたりします。想像力、判断力、決断力などが養われ、こころの知能指数(EQ)が高まります」。加藤さんが「ダンス+」の効用を説明します。
こうした考え方を基に加藤さんは、一般人のほかに子どもたち、年配の方、障がいのある方など、さまざまな方々と踊りの世界を創造し、深めてきました。海外の人たちと踊りを通して心を通わせ、喝采を浴びたことも。自ら踊ったり、振り付けや舞台演出を担当したり、学校や公共施設などで指導に当たったりと、幅広いフィールドで活躍しています。
「踊る人も、見る人も、自由に『感じて』ください。感じ方は人によっていろいろですが、それで良いのだと思います。私たちは『感じる』時間を提供させていただきます」
#chapter2
加藤さんが提唱する「ダンス+(プラス)」のような、踊り手・作り手の考え方や感覚を大きく反映するダンスは「コンテンポラリーダンス」と呼ばれます。「同時代性のダンス」という意味で、あらゆるジャンルのダンスの独創的な作品がコンテンポラリーダンスと称されます。
幼少期からクラシックバレエに親しんでいた加藤さんは、大学時代にジャズダンスに出合います。決まり事が少なく自由な踊りの世界に魅了され、卒業後は山形でダンスの指導をしながら東京に通ってスキルを磨きました。東京で指導を受けた人がアメリカの有名な映画の中で踊っていたこともあり、「ニューヨークの本場で学びたい」と留学。約3カ月、ダンス漬けの日々の中で「ダンスの真骨頂を見た」と振り返ります。その後も毎年のようにニューヨークに行き、本場のエンターテインメントに触れて感性を磨いてきました。
「踊りの世界をさらに広げたい」と模索している中で出合ったのが、イギリスで盛んになっていた「身体表現」。今度はロンドンに赴いて学んでいるうち「ダンスはダンス以外のことから学ぶ」ということに気付きます。
踊り手の感性を最大限に生かし、芽生えた感情を気持ちの赴くままに体で表現する「ダンス+」は、こうした実践の中から生まれました。
社会生活に必要な「協調性」「誠実性」「情緒安定性」「開放性」「外向性」の5要素を、ダンスを通して高めることができる―。長年の経験から感じていたことについて大学院で研究し、修士論文としてまとめました。そうして確立したメソッドを、自身の表現活動、そしてさまざまな指導の場で生かしています。
#chapter3
「誰にでも楽しめるダンスを、多くの人に」。現在の加藤さんの活動は、このコンセプトが軸になっています。教育機関や福祉施設などでダンスや身体表現の講師を務めているほか、教員向けの研修なども行っています。小・中学校の授業でダンスが必修化され、児童・生徒の感性を引き出すような授業が求められる中、加藤さんが活躍するフィールドは広がっています。
自身の表現活動も、土地のエネルギーを得ながら踊る「即興的場踊り」などを通してアップデートし続けています。山辺町の「大蕨の棚田」を舞台に即興で踊ったり、平和への祈りをダンスに乗せて発表したり。単独で、そして仲間や生徒の方々と一緒に。その時々に応じて形は変わりますが、底流にあるのは「ダンスをもっと身近なものにしたい」という気持ちです。
「社会人の方々は、踊ることでさまざまなことから解放され、ストレスが軽減されて新たな活力が生まれます。シニア世代の方々も、ダンスを通して自信や自己肯定感を高めることができます。私自身が感じてきた『ダンスの力』を、もっと多くの人たちに伝えていきたい」と語ってくれました。
(取材年月:2023年10月)
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ダンスを通し、社会生活に必要なさまざまな要素を養うことができます。体を使って思いを表現することで心身が解放され、豊かな生活につながります。ダンスの魅力や効能を、多くの人たちに感じていただきたいです。
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