美容師として活動している人のなかには、パーソナルブランディングに興味がある人も多いのではないでしょうか。美容師が正しい方法でパーソナルブランディングを進めれば、知名度や売り上げの向上につながります。

そこで、本記事では、美容師がパーソナルブランディングをするメリットや注意点、具体的な方法などを解説します。パーソナルブランディングに興味のある美容師の人は、ぜひ参考にしてください。

そもそもパーソナルブランディングとは何か

パーソナルブランディングとは、自分自身をブランド化するための一連の取り組みのことを指します。例えば、自分自身にどのような強みがあるか明確にしてコアメッセージを決めたり、Web上で情報発信をしたりといったことがパーソナルブランディングの取り組みに該当します。

美容師にパーソナルブランディングが必要な理由

美容師が売り上げを上げるためには、他でもない自分自身を指名してくれる顧客を増やす必要があります。たくさんの美容師が存在する昨今、多少値段が高かったとしても選ばれる美容師になるためには、パーソナルブランディングが必要なのです。

美容師がパーソナルブランディングをするメリット

ここでは、美容師がパーソナルブランディングをするメリットを3つ紹介します。具体的には、以下のとおりです。

  • 顧客のファン化により指名客が増える
  • 遠方からサービスを受けに来る顧客も現れる
  • 知名度が向上し仕事の幅が広がる

顧客のファン化により指名客が増える

パーソナルブランディングに成功すると、単なる顧客だった人々がファン化します。例えば、SNS上にこれまで施術してきた顧客の仕上がり写真を投稿すれば、「この美容師にカットしてもらいたい!」と感じる顧客が増えます。

ファンになった顧客は、対象の美容師を指名するようになるでしょう。指名客が増えれば、売り上げが安定しやすくなるうえに、口コミや評判が広がりやすくなります。

遠方からサービスを受けに来る顧客も現れる

パーソナルブランディングによってファンを獲得すれば、「多少遠くてもこの人の施術を受けたい!」と考える顧客が増えるでしょう。わざわざ遠方から訪れる顧客が増えれば、自身の良い口コミや評判がさまざまな地域に広まると考えられます。

幅広い顧客から愛される美容師になりたいと考えている人にとって、遠方からサービスを受けに来る顧客が現れることは、メリットのひとつだと言えます。

知名度が向上し仕事の幅が広がる

パーソナルブランディングの一環としてSNSやWebサイトで情報発信を進めれば、自分自身の知名度が向上する可能性があります。フォロワーが増えて知名度が向上すれば、新たな仕事を依頼される機会も生じるでしょう。

例えば、雑誌やテレビなどのメディア出演や、セミナー講師などの依頼を受ける機会を獲得できるかもしれません。メディアに露出すればさらに知名度が高まったり、信頼感がアップしたりといったメリットを得られます。

美容師がパーソナルブランディングをする際の注意点

美容師がパーソナルブランディングをする際には、おさえるべき注意点が3つあります。それぞれについて、詳しく解説します。

  • 悪い評判が広まらないように技術力を磨く
  • 信頼を失わないように顧客の個人情報を厳重に守る
  • ターゲットやコンセプトを決めてからパーソナルブランディングをする

悪い評判が広まらないように技術力を磨く

パーソナルブランディングの一環としてSNSなどを活用する人も少なくないですが、SNSは良くも悪くも一瞬で情報が広がることがあります。素晴らしい施術写真や良い評判などが普及しやすい反面、悪い評判も広がりやすいのです。

悪い評判が広まらないようにするためには、技術力を磨くのが一番効果的な方法です。その他にも、気持ちよく施術を受けられるよう接客態度やトークにも気をつけましょう。

まだ十分な技術力が身についていないと感じるようであれば、パーソナルブランディングを先に見送るのも手段のひとつです。まずは技術力をつけることに集中して、技術力がみについてからパーソナルブランディングに取り組んでも遅くはありません。

信頼を失わないように顧客の個人情報を厳重に守る

パーソナルブランディングを上手に進めれば、顧客からの信頼度が高まります。しかし、その反面一度信頼を失ってしまうと、取り戻すのは非常に困難です。

特に美容師は、顧客の個人情報を入手することが多い職種です。氏名や住所のみならず、施術時の会話を通じてプライベートな情報を手に入れる場面も多いでしょう。そのような情報を第三者にうっかり伝えることのないよう、厳重に注意しましょう。

一度でも個人情報を流出させてしまえば、悪い評判が広がるものだと考え、細心の注意を払う必要があります。

ターゲットやコンセプトを決めてからパーソナルブランディングをする

パーソナルブランディングを進める際には、最初にターゲットやコンセプトを決める必要があります。ターゲットやコンセプトは、自分自身の強みや提供できる価値を分析すれば決めやすくなるでしょう。

ターゲットを狭く設定することを恐れて、幅広い人に向けて発信する人もいますが、危険です。ターゲットはあえて狭くすることで、情報発信をする際に心に響かせやすくなります。具体的には、「大学生になって初めて髪を染める若者」「白髪が気になり始めた女性」といった具合に決めると良いでしょう。

また、コンセプトを決めることもパーソナルブランディングを進めるうえで重要です。ブランディングにおけるコンセプトとは、ブランドの価値を言語化したもののことです。ターゲットに向けてどのような価値を提供したいのか、根本に据える理念を明確化しましょう。

美容師がパーソナルブランディングをする際の具体的方法

美容師がパーソナルブランディングをする際には、以下の5つの手順に従って進めていきましょう。

  • 自身の施術の強みを分析する
  • 強みによって価値提供ができるターゲットを選定する
  • ブランドのコアメッセージやストーリーを考える
  • SNSやWebサイトなどで情報発信をする
  • 来客数や売り上げを見て効果測定をする

自身の施術の強みを分析する

まずは、自身の施術の強みを分析しましょう。ハイトーンカラーが得意な美容師もいれば、ショートカットが得意な美容師もいるものです。強みが違えば、効果的なアピール方法も異なるため、強みを明確にすることは大切です。

強みを分析する際には、過去の施術のなかでとくにうまくいったときのことや、顧客からの評判が良かった施術のことを思い出すと良いでしょう。紙に書き出して考えると効率的に進められますよ。

強みによって価値提供ができるターゲットを選定する

自身の強みが明確になったら、価値提供をできるターゲットを選定しましょう。ターゲットを選定する際には、以下の項目に沿って考えると良いです。

  • 年齢
  • 性別
  • 居住地
  • 悩み
  • 価値観
  • 美意識
  • 美容院へ通う頻度

ターゲットを細かく決めるほど、心に響く情報発信ができるようになるため、パーソナルブランディングを有利に進められるでしょう。

例えば、「初めて髪を染める大学生」向けにブランディングを進めたい場合、ターゲット例は以下のようになります。

  • 年齢:19歳
  • 性別:男女
  • 居住地:首都圏
  • 悩み:髪を染めたいけどうまくいくか不安
  • 価値観:バイト代で安く綺麗に髪を染めたい
  • 美意識:高校までは校則が厳しかったが、大学生になったので髪を染めてオシャレを楽しみたい
  • 美容院へ通う頻度:1~2ヶ月に1度

ブランドのコアメッセージやストーリーを考える

続いて、ブランドのコアメッセージやストーリーを考えましょう。コアメッセージとは、ブランディングを通じてターゲットに伝えたいメッセージのことです。例えば、「白髪を美しく染めて自信を与える」といった内容がコアメッセージに該当します。

また、ストーリーとは、美容師としてこれまで歩んできた道のりや理念を持つようになった経緯などをまとめたものです。「白髪を染めることで自信に満ちたお客様を見ているうちに、白髪染めに特化した美容師を目指そうと決意した」といった内容がストーリーに該当します。

SNSやWebサイトなどで情報発信をする

ブランドのコアメッセージやストーリーを決められたら、いよいよSNSやWebサイトなどで情報発信をしていきます。SNSにはさまざまな種類がありますが、美容師におすすめなのがInstagram・Twitter・TikTok・YouTubeです。それぞれの特徴は、以下のとおりです。

  • Instagram:映像や画像を発信できる。お洒落な映像や画像が人気。
  • Twitter:テキスト・画像・映像を発信できる。テキストでの発信が特に多い。
  • TikTok:従来はショート動画プラットフォームだったがロング動画も解禁された。
  • YouTube:さまざまな年代から人気を集めている動画プラットフォーム。

来客数や売り上げを見て効果測定をする

コアメッセージやコンセプトを通じて情報発信をしたら、来客数や売り上げを見て効果測定をしましょう。パーソナルブランディングを行う以前よりも来客数や売り上げが伸びているのであれば、パーソナルブランディングが順調に進んでいると言えます。

反対に、パーソナルブランディングを進めているものの来客数や売り上げに伸び悩んでいる場合は、改善点を見つける必要があります。コアメッセージやストーリーを見直したり、情報発信の方法を改めたりすると良いでしょう。

まとめ

美容師がパーソナルブランディングを活用すれば、顧客のファン化により指名客が増える・遠方からサービスを受けに来る顧客も現れる・知名度が向上し仕事の幅が広がる、といったメリットを得られます。ただし、悪い評判が広まらないように技術力を磨くことや信頼を失わないように顧客の個人情報を厳重に守ることなどを注意しましょう。

また、実際にパーソナルブランディングに取り組む際には、自身の施術の強みを分析する→強みによって価値提供ができるターゲットを選定する→ブランドのコアメッセージやストーリーを考える→SNSやWebサイトなどで情報発信をする→来客数や売り上げを見て効果測定をする、といった流れを守るとよいでしょう。

ぜひ、本記事を参考にして、美容師のパーソナルブランディングを効率的に進めて売り上げ向上に役立ててくださいね。