地域密着型カーサービスと福祉サポートのプロ吉本準也

地域密着型カーサービスと福祉サポートのプロ

吉本準也

創業55年、「車の一生まるごと面倒みる」企業

　創業から50年以上にわたり、富山市を拠点に地域のカーライフを支える「吉本自動車工業」。車の販売から整備・車検・鈑金塗装、ロードサービス、レンタカー、カスタム、買い取りまで、自動車に関するあらゆるニーズに応える“総合カーサービス”を展開しています。

　「車の一生まるごと面倒みます」のコンセプトのもと、日常のメンテナンスはもちろん、万一の事故や故障時も24時間365日体制でサポート。すべての国内・外資損保会社と提携し、県内なら1時間以内にレッカー車が駆けつけます。保険手続や修理、代車の手配も、豊富な経験と判断力を備えたスタッフが的確に案内します。

　また、旧車のレストアやエアロパーツの取り付け、キャンピングカー仕様のカスタマイズなど、ニッチな要望にも対応。コーティングやナビ・ドラレコ設置などのサービスも充実しています。

　創業者である父の背中を見て育った吉本準也さんは、高校卒業後、短大で専門的な知識を学んで専門資格を取得。以来25年、この業界一筋に経験を積んできました。整備工場やディーラーで実務経験を積むことで経営感覚・技術・接客のスキルを磨き、満を持して実家の会社に入社。地域ニーズに応えるサービスを展開し、同社を車の総合サービス企業へと導きました。

　そして本業のかたわら、地域貢献活動にも注力。富山商工会議所青年部（YEG）では会長を務め、ライオンズクラブでの奉仕活動にも取り組むなど、地域のさまざまな立場の人と交流し、視野を広げてきました。

地域に必要とされる支援をかたちに。放課後等デイサービスを開業

　同社が2024年、新たに始めたのが放課後等デイサービス「キッズホームリリーフ」。障がいのある子どもたちが放課後を安心して過ごし、生活力や社会性を育むための療育支援施設です。

　「地域活動を通じ、業界を超えて人と関わる中で、“自分たちでも子どもたちのためにできることがあるんじゃないか”と考えるようになったんです。さらに、障がいのある子どもたちが、放課後に安心して過ごせる場所が十分に確保できていないことや、親が仕事を休んで対応せざるを得ない現状も知り、たどり着いたのが放課後等デイサービスの運営でした」

　同施設では、1日のプログラムに基づき、遊びや工作、軽運動、日常生活訓練などを組み合わせた個別支援を提供。
　「保護者さまの困っていることや気になっていることを話しやすい雰囲気づくりにも配慮しています。学校などの関係機関ともしっかり連携を取りながら、その子にとって“安心できる放課後”を大切にしています」

　建物は自社で保有する店舗跡地を改装し活用。小学生から高校生までの幅広い年代の子どもたちが、のびのびと過ごせる空間づくりが行われています。送迎には自社整備の車両を使い、安全第一で運行。保護者の負担を軽減し、信頼を築いています。

　「福祉は未経験の分野でしたが、車の事業で培った“仕組みづくり”や“安全管理”の知見、地域活動で築いてきた多様な業種とのネットワークが、福祉にも生かせる事を信じスタッフと一丸となり地域に必要とされる“支援のかたち”を、自分たちなりに模索し日々努力をしています」

18歳のその先へ。“働く”を支える福祉と企業の新しい関係

　リリーフで日々の支援を続ける中、吉本さんの中に生まれてきたのが、「この子たちは18歳を過ぎた後、どこでどうやって社会と関わっていくのだろう？」という問い。

　障がいのある子どもたちが成長し、やがて社会に出ていく過程で、「働くこと」や「地域と関わること」をどう支えるか。保護者にとって大きな関心事であり、支援者として避けて通れないテーマであると同時に、吉本さんにとっては、地域に根ざす企業の経営者として見過ごせない課題です。

　「子どもたちが、自分の住むまちの中で役割を持ち、必要とされる場面をつくるために、企業として何ができるかを考えるのは、地域への責任だと感じています」と吉本さん。現在、就労支援事業所の設立を視野に入れ準備を進めています。

　「例えば、洗車や清掃、軽整備の補助作業など、“経験を積める現場”は自社業務の中でも意外とあるし、他の業種でも可能性がある。地域の仲間とも連携し、少しずつ、子どもたちの特性や興味に応じた働く体験の機会をつくっていけたら」

　整備と福祉は、一見異なる分野に思えるかもしれません。しかし吉本さんにとっては、どちらも「人の暮らしを支える仕事」。共通するのは“安全”と“仕組み”を支える視点です。これまで培ってきたノウハウやネットワークを生かしながら、「福祉で育んだ子どもたちの力を、企業の現場につなげていく」という次のステージを見据えています。

　「車の整備も、人の支援も、“困ったときに頼られる存在でありたい”という思いは同じ。これからも地域に必要とされる会社であり続けたいですね」

（取材年月：2025年5月）

車と福祉の両面から地域を支える“まちの安心拠点”

創業55年、「車の一生まるごと面倒みる」企業

地域に必要とされる支援をかたちに。放課後等デイサービスを開業

18歳のその先へ。“働く”を支える福祉と企業の新しい関係

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