「ちょうどいい住まい」の実現に向け顧客に寄り添う建築のプロ西村勇輝

「ちょうどいい住まい」の実現に向け顧客に寄り添う建築のプロ

西村勇輝

新築・リフォームを手掛け、建築士の視点で要望をくみ取り理想を形に

　「私どもが大切にしているのは『ちょうどいい住まい』。一点豪華主義ではなく、お客さまにとって必要なものがバランスよく詰まったマイホームをかなえたいと思っています」

　そう話すのは、富山市八尾町の「ヒロシ建築」代表の西村勇輝さん。「暮らふと」の屋号を掲げ、富山県内で住宅の新築やリフォームを手掛けています。

　「家はご家族が長きにわたり生活を営む場です。お客さまのご要望を丁寧にくみ取り、使いやすく、心地よく過ごせるプランをご提案します」

　営業担当者はおらず、家づくりに精通した建築士が顧客の思い描く暮らしや、好みのテイスト、こだわりなどを細やかにヒアリング。家事動線、光の入り方、風の通り道といった利便性、快適性を考慮し、時間をかけてじっくりプランニングします。

　「お客さまの中でイメージが固まっていない場合や、お望みの内容が現実的でない場合もあります。技術者の視点から、できること・できないことをきちんとお伝えします」

　西村さんのもとでは、設計から施工まで一貫。顧客とともに理想の住まいを形にしていく上で、「手刻み」と呼ばれる木材の加工から自社で行います。

　「近年は機械によるプレカットが主流ですが、当方は1本1本手作業で『継ぎ手』『仕口』といった仕様を施し、木の特性を見極めてどの場所に、どの向きで使うかを判断します。木材に関する深い知見を備えているのが強みです」

　西村さん自身、生まれも育ちも八尾町。「地元の環境を熟知していますので、気候風土になじみ、木のぬくもりに満ちた住空間をお届けしたいですね」と熱を込めます。

物心ついた頃から大工を志し、家づくりに取り組み2023年に3代目に就任

　富山と岐阜を結ぶ飛騨街道の要所として栄え、江戸時代のまち並みが残る八尾町で1977年に誕生した西村さん。物心ついたときには、大工になりたいという思いを抱いていたと言います。「木の香りが好きでしたし、自分の手で建てた家がずっと残り続けることに魅力を感じていたのです」

　建築を学ぼうと工業高校を志望しますが、両親の希望もあって普通科高校に進学。家づくりへの志は変わらず持ち続け、卒業後は地元の「井上建築」に入社します。

　「当時は就職難の時代で、専門性を身に付けていない私にとって厳しい状況でした。求職に苦戦する中、親方の井上秀一さんが私の熱意を買って、迎え入れてくれたのです」

　「井上建築」では、「ヒロシ建築」の初代社長である砂田弘さんから大工仕事を請け負っていましたが、2007年に砂田さんが井上さんへ「会社を引き継いでほしい」と打診。申し出を快諾した井上さんが「ヒロシ建築」の2代目代表となり、西村さんも同社の社員として働くように。2023年、70歳を迎えた井上さんが代表を退く意向を示し、西村さんを3代目に指名します。

　「私より経験豊富な職人さんもいて、自分に務まるのかと不安もありましたね。しかし、後継者として任を受けたからには役目を果たそうと覚悟を決めました」

　代表を譲った井上さんですが今も現役で活躍。数々の案件で西村さんをサポートしているそう。

　「先代は事務方よりも現場が好きな職人気質。学ぶことも多く、とても頼りになる存在です」

断熱改修、バリアフリー化、間取りの変更など多様なニーズに対応

　「一つ一つお客さまと一緒に作り上げるため、当方が年間で建てる棟数は多くありません。建具、造作家具、クロスや床材、キッチン、バスといった水回りの設備などを自由にお選びいただき、“自分たちらしいわが家”をオーダーメードしています」

　西村さんのもとには、50年以上の経験を持つ職人から10代の若手まで約10人のメンバーが在籍。大きな窓をから自然光が降りそそぐリビング、木や竹を編んだ網代天井をしつらえた和室など。培った技術やみずみずしい感性を生かし、モダンでありながら古き良きたたずまいを巧みに取り入れています。

　「夫婦2人になり住み替え、建て替えを検討している場合は、ワンフロアに生活空間をまとめた平屋もおすすめです。ご自宅の手入れをお考えであれば、暑さ、寒さに備えるための断熱改修、将来を見据えて手すりやスロープを設置するなどバリアフリー化も承ります」

　他にも間取りを変更したり、収納スペースを増やしたり、多様なニーズに対応。家族が増えた、子どもが独立したなど、ライスステージの変化に応じて住まいをデザインしています。

　日々、忙しく働く西村さんには別の顔もあります。八尾町のスポーツ少年団で、20年以上子どもたちに柔道を教えています。週3回平日に指導に当たっている他、休日には審判員、引率者として試合に同行する機会も多く、柔道を通じて地元の人たちと交流。「地域に根ざし、暮らしに寄り添いながら皆さまの住まいを守っていきたいですね」と語ります。

（取材年月：2025年6月）

暮らしに寄り添い、本当に必要なものが詰まった「ちょうどいい住まい」を提案

新築・リフォームを手掛け、建築士の視点で要望をくみ取り理想を形に

物心ついた頃から大工を志し、家づくりに取り組み2023年に3代目に就任

断熱改修、バリアフリー化、間取りの変更など多様なニーズに対応

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